データベース

短期集中連載
日本におけるCMLL世界女子王座の歴史



VOL.3

朱里のCMLL遠征奮闘記2014



2014年4月14日から25日までのスケジュールでメキシコCMLL遠征を果たした朱里。
アレナメヒコ4大会出場という快挙を成し遂げ、朱里ブームを巻き起こしたその10日間をここに振り返ってみよう。

○初日
「フィリピン人の父に投げっぱなしジャーマン」
 公演終了翌日という強行スケジュールで成田に現れた朱里。前夜の興奮覚めやらぬまま、機上の人に。
 途中、乗り継ぎのロスアンゼルスでは4時間の待機時間が発生。ようやく搭乗となり、メキシコに到着したのが午後11時過ぎ。ところが到着後、なかなか空港から出られないハプニングに。「20分くらい、ずっと入国カードとにらめっこしてて、スペイン語で書いてあるからわからなくて、その間に人もだんだんいなくなって、不安になってきたときに、掃除してるおじさんが英語ができる人で、あまりメキシコには英語の出来る人がいないんですけど、たまたまその人が助けてくれて、やっと空港から出ることができいましたと、初日から苦労がありつつも深夜無事チェックインにこぎつけた。

○2日目
 午前中からCMLL事務所にて打ち合わせやスタッフへの挨拶。たまたま居合せた選手とも記念撮影。その後、少し取材を受ける。「選手やスタッフ、いろんなメディアのかたがたくさん出入りしていて、すごい団体だなって実感もしましたし、ありがたさも感じました」という朱里は一度ホテルへ戻った後、夜はいよいよ第一戦に挑む。
 ちょうどこのとき、日本でのキックの大会から舞台稽古、本番と続いた一連のスケジュールもあり、疲れがピークだったとか。それでも試合は疲れを見せないほどのたたずまい。
 朱里&エストレジータ&シルエタ組がアマポーラ&ダリス&ティファニー組と対戦するも1対2で敗れる。決勝ラウンドをアマポーラに取られ、「アマポーラは初めてあたりましたけど、やはり力が強かったです。でも20日は必ず防衛を果たして、この団体でもっともっと上を目指していきたいです」と決意を新たにした。
朱里

○3日目
 朝からホテル近くのジムにてOKUMURA、カマイタチ、闘龍門の花岡大輔らとルチャいい練習。ジャべや空中技をみっちりと練習し、「すごく中身が濃くていい練習が出来ました」と笑顔。なかでもコルバタからのスクールボーイは練習に参加していたカマイタチが「練習するうちにどんどん凄くなってきた」と驚くほどの完成度に。試合での披露に期待。
 その後、これまでの疲れとメキシコ入りしてから、果物とお菓子しか食べていなかったこともあって体調を崩し、ホテルで休養。
 起床後はスパゲティを自炊して食べるなどすると回復。
朱里

○4日目
 午前はアレナメヒコにて練習。その後、いったんホテルへ戻り、夕方前には現地日本人のホームパーティに参加。
 日本食が並ぶ食卓に頬が緩むも、一気に食べたせいで胃が痛くなるというハプニングも。その後は明日からのスケジュールに備え休養に当てる。

○5日目
 いよいよアレナメヒコで第二戦。出発前にホテルでテーマ曲を選択。1試合目でのテーマソングはCMLLが用意した仮の曲だったことで、吟味の結果、前テーマである「ストリートファイター4・さくらのテーマ」を採用。
 これを選んだ理由は入場時にハッキリとわかる。
 テーマ曲がかかると1回転して登場、観客席に手を振り、ハイタッチをかわし、テレビカメラには投げキッスをするなど、アピール度十分の入場に。そのバックBGMとして同曲はマッチしていた。
 試合はマルセラ&朱里&ダーク・エンジェルという、超豪華なテクニカ組が実現。プリンセサ・ブランカ&プリンセサ・スヘイ&セウシス組を2対1で下し、決勝フォールを朱里自身の手で奪う。
 2日前の練習で会得したコルバタからのスクールボーイも見事に決まり、さらには蹴りも効果的に決まる。第2戦にてメキシコのファンへ、大きく“SYURI”の名を刻んだ。
朱里

○6日目
 午前、アレナメヒコにて練習。その後、一度ホテルへ戻り、午後からは撮影に。革命記念塔やチャペルテック公園を回る。途中、昼食に入ったレストランで「実はこの遠征、初めてレストランに入りました」と意外(?)な告白。
 注文したビーフステーキがタコスの具材だったらしく想像とは違ったものが出てきて、ステーキにありつけず。スタッフの注文したハンバーガーと取替え、とりあえず初のレストラン食は終了。

 撮影用に乗ったボートではまったく前に進まず、ひたすら周りをくるくる回るだけのハプニングも。その後、フェイスペイントにも挑戦。
 意外(?)にも似合っていて将来のペイントレスラーもありかも??
 夕方にはスーパーで買い物を済ませ、夜は日本人ルチャドーラたちによる女子会を開催。
朱里

○7日目
 タイトルマッチ当日。ランチはステーキで腹ごしらえ。夜の試合に備える。
 4時会場入り。大型連休最終日のタイトル戦は4試合めというセミ前のラインアップ。5時の生中継開始にあわせ、まずはアマポーラのインタビューから始まるというオープニング。
 朱里も第2試合終了後にインタビュールームに登場し、「勝ちます!」と日本語で答える。
 試合は1対1のあと、バッククラッカーが決まり王座転落。

 最強女帝の前にベルトを失うも、アレナメヒコでのタイトル戦の経験、プランチャやティヘラの披露など、得るものが大きい一戦となった。試合後、ソナロッサにある日本食レストランへ。
 鉄火丼とてんぷらを注文。「ぜんぜん、日本の味と変わらないですー」と感激していた。
朱里

○8日目
 タイトルマッチから一夜明け、午前中はCMLL事務所にてミーティング。その後、メキシコの民芸品が立ち並ぶシウダレラ市場に足を運び、お土産品を購入。「どれも同じに見えるー」などと言いながらグルグル回る。夜のアレナプエブラ大会の出発までまだ少し時間があったので、ファミレスにてお茶。それからバスの中での食事として、元レジェンドのベビーフェイスさんが経営する屋台レストランで「OKUMURA」なる日本食メニューを注文。ベビーフェイスさんとの記念撮影ではなぜかヘッドロックをかけられる。
 その後、ネグロ・カサスと偶然アレナメヒコの付近で会い、記念撮影。前夜、マヒストラルを繰り出したのも何かの因縁か??
 そしてバスに乗り込むこと3時間、アレナプエブラに到着。試合まで時間があったのでダーク・エンジェルとお茶。慣れない英語でがんばって話していました。
 夜のプエブラ大会でのはじけっぷりはすさまじかった!日本とはまったく違う朱里の一面が見られたかも。試合詳細は各メディアの報道をご覧ください。
 ちなみにこの日発売の「ルチャドスミル」誌の表紙にも抜擢されるなどメキシコでの注目度は日に日に上がっていく。先週の火、金、日曜日の試合が全てテレビ中継されたこともあり、知名度は抜群にアップ。朱里コールのほか、会場の外で待つファンの数も驚異的に増え、メキシコに朱里フィーバーが到来!
朱里

○9日目
 午前中はCMLLのルチャクラスに初参加。これまで、試合の連戦などでなかなか参加する機会がなかったが、この日は約20名のルチャドールに混じって練習。今まで知ることの出来なかったルチャの奥深さに触れ感動的だったようで、「もっともっと長くメキシコにいて、ルチャを勉強して、いろいろ自分に取り入れたいです」と向上心の強さを見せた。
 その後は近所のファミレスでお茶した後、CMLL事務所にてお世話になった方々へ挨拶。その後は再びファミレスへ。メニューを見てステーキがあるのに驚き、さっそく注文。「メキシコといえばタコスとかばっかりだと思ったのに、普通のメニューもあるんですね」とちょっぴり天然的な回答も。ガッツリ食べた後はいよいよアレナメヒコにてラストマッチ。
 延べ9日間の滞在でアレナメヒコ4大会、プエブラ1大会の5大会に出場し、すべてテレビ中継されるという快挙。メキシコでの知名度は格段に上がり、朱里の名前は広く知れわたった。
 試合後はメキシコのメディアの方と交流したあと、ネグロカサスと再び会う。ここでマヒストラルをメキシコ入りしてから使っていることを伝えると、その場でマヒストラルのコツを伝授されるというサプライズ。さらにジャベなのコツも教えてもらい最後には「次にメキシコへ来るときはさらに進化するように教えます」と次回の指導の話までいただく。
 この日ファンの方からメキシコの一般紙「El Grafico」をいただき、新聞にも掲載されていたことを知りビックリ。「こんな大きく載ってるなんて…」と喜びを隠せない様子。ホテルに戻ってからは翌早朝発のため、寝ないで行こうとがんばって深夜も起きていた模様だが、果たして無事に飛行機へ乗れたかどうか…。

○10日目
 無事、ダラス乗り継ぎで帰国の途に着いた朱里は早速翌日、WNC後楽園ホール大会にてネグロカサス直伝のラ・マヒストラルでアレックスリーから快勝。
 CMLLの頂点めざし、また新たなる日々が始まった。