競馬の実態を解き解す
by morics


何で、株式投資は「投資」と呼ばれ、競馬は「ギャンブル」と呼ばれているのでしょうか?
恐らく一般的に、株式投資の方が投資した金額がプラスになる可能性が競馬に比べて高いはずと考えられてい
るからと思いますが、現実に、競馬で投資した金額がプラスになる可能性はどのくらいあるのでしょうか?

ある競馬関係者の方がこんなことを言っておられました。「競馬をしている殆どの人は、競馬で損しても当たり前
と思っていますよ。なぜなら、競馬も娯楽と思っておられ、映画を見てもお金が必要だし、遊園地に行ってもお金
がかかるのと同じように、競馬もお金がかかるものだと思っているのです」と。

株式投資をしている方は、株式投資で損をすることを当たり前とは思っていないはずです。
ご存知のように、競馬は株式投資のように手数料の数%を取られ平均97%位の配当率にはなっていません。
競馬は日本中央競馬会が運営費として25%ほど取っており、平均配当率は75%にしかなりません。
私が、そんな厳しい競馬環境を承知で、本格的に競馬投資の研究を始めたのは、今から17年ほど前でした。

競馬大国のアメリカでは、ハーバード大学出身者がベイヤー指数というタイム理論を考え出しその後も競馬研究
に専念していたり、優秀な競馬理論家が大勢いるようです。
私は、大学院で「オペレーションズリサーチ」という学問を専攻して修士号を頂きました。
40年以上も前の学問なので、今の人は「オペレーションズリサーチ」という言葉自体をご存知ない人がほとんど
と思います。
要は、物事には因果関係があるということでありまして、原因と結果の関係を分析やらシミュレーションして、最
適な解答を見つけ出すという学問です。
40年以上の学問したが、私の競馬研究には、このオペレーションズリサーチという学問がとても役立ちました。
1着に来た馬の勝利要因を分析するとか、多くの勝利要因の中でどの勝利要因が一番影響が大きかったのか
シュミレーションするといったことは、オペレーションズリサーチの世界では常識中の常識で、私の競馬研究は、
当然のように、膨大な分析やシミュレーションを何回も何回も繰り返した結果でした。
当時の私は、パソコンの最大の利点は「短時間に膨大なデータを処理できる」能力と思っおり、パソコンの持つ
「短時間に膨大なデータを処理できる」能力を活用して競馬の研究を開始したところ、膨大なデータを分析してい
くにつれて、従来、競馬の格言として言われていたことが、実際にはめったに起こらない事象だったことが判った
り、事実と違うということが判ってきました。
私の性格から考えて、この分析を始めた時点での分析結果が、競馬の格言として言われていたこととほとんど
同じ結果でしたら、その後は競馬の研究は続けていなかったと思います。
分析結果が競馬の常識と異なっていたことが、私を競馬研究に没頭させることになったようです。
普通の人は常識に従って馬券を買うはずですので、常識と違う馬券の買い方をすれば必ず儲けられる筈だと考
えたのです。
毎週、自分のお金を使って、自分の開発したプログラムに基いて馬券を電話投票(PAT)で購入していますと、
毎週の結果分析に基づき、こうしたらもっと回収率が上がるはずだということが判って来ました。
私が、競馬の実態分析を開始して最初に驚いたのは、その配当金額の大きさでした。
配当金額の平均は、単勝で約10倍、馬連で約55倍でした。

1着馬を当てる単勝という馬券の配当の平均が10倍で、1着と2着を順位に関係なく当てる馬連の配当の平均
が55倍という分析結果を見て、
「競馬は、皆が考えるような結果にはなっていない」
ということを確認でき、常識と違う馬券の買い方をすれば必ず儲けられる筈だとの思いは更に増大したのでした。

平均配当の高さから、上位人気馬同士で決まるレースは殆ど発生していないということを確認できましたので、
手始めに、誰もが考える過去の入着順位の分析をして見ました。
過去5年のデータ分析では、10頭立て換算で前走1着から3着までの馬が1着に来る割合は62%近くありまし
た。又、前走のみではなく過去3走の平均順位でみても過去3走平均順位が1着から3着までの馬が1着に来る
割合も56%近くありました。10頭立て換算で1着に来た馬の半分以上が、前走や過去3走平均で1着から3着
の馬なのですが、問題は配当でした。前走や過去3走平均で上位に来ている馬は人気になることが殆どで、特
に1・2着に来ている馬(10頭立て換算)はかなり人気になり配当妙味が低いのが実際でした。
ただ、近走や前走の着順位が4着以下の馬が1着に来るケースはそれほど多くないのですが、実は2着にくる
ケースが非常に多いという事実が見つかりました。
10頭立て換算で前走が4着以下の馬が1着あるいは2着にくる割合はどのくらいあるかというと、実に、58%
のレースで前走4着以下の馬が2着以内にきていました。
このことは、前走3着以内の馬どおしの2頭で決まることは少ないということです。
実は、10頭立て換算で前走が4着以下の馬が1着あるいは2着に来た場合の馬連の平均配当は約90倍で馬
連の平均配当の55倍の実に1.6倍もの高額配当になっていたことは、私にはかなりの衝撃でした。

その後、この入着順位分析に続き、当時「馬は血で走る」というのが競馬の常識でしたので、血統についても分
析を開始しました。
「この馬は血統が良いから走る」とか「この馬は京都競馬場では良く走る」とか「この馬は長距離が強い」等血統
論が、巷ではよく言われていました。
実は私は、単に血統的に見てよさそうだといった抽象的な話だけで、競馬予想で本当に役に立つか疑問を持っ
ておりました。
例えば、父がA馬で母がB馬の場合の血統では、「前走の阪神競馬に比べて京都競馬では15%能力が上がる
」とか「前走の1400M戦に比べて今回の2500M戦では、前走に比べて10%高い能力を発揮する」といった
ような具体的数値がない限り本当の予想には役に立たないというのが私の考え方でした。
具体的に言うと、前回芝を使った馬が、ダートに変更してきた場合、「芝に比べてダートはよく走る」といった抽象
的な話ではなく、「この馬は芝に比べて、ダートでは能力を30%上げる」といった、具体的な数値(%)としての
基準が必要というのが私の考え方で、抽象的に良い悪いというのではなく、「どの位」良くなるのかという具体的
数値が重要と思っていました。
そして、私の血統に対する考え方が間違っていないということに、絶対的自信を持ったレースが、2001年6月3
日のG1レースの安田記念で、私の開発したプログラムが指示した印は、◎印がブラックホークで、○印がブレ
イクタイムでした。
特に、ブレイクタイムの前走はダートレースで、今回は芝のレースでした。
私は、芝からダートあるいはダートから芝に変更してきた場合に、能力を変換する芝ダート変換基準値なるもの
を父系の血統と母系の血統に基づき設定しており、この芝ダート変換基準値により算定されたブレイクタイムの
前走の能力値は、断然の一番高い数値を示していました。
結果は、私の本命対抗で決まり、◎印のブラックホークが1着で、○印のブレイクタイムが2着にきて、馬連で
120,600円の12万馬券を的中できました。
人間、たまたまではなく、こつこつと自分の時間やお金を競馬の研究に投資した結果、ひょっとすると、かなりの
財産ができる可能性があると信じ始めたのがこの頃でした。

このころはかなりの競馬ブームで、競馬必勝本の類が巷に氾濫していましたが、誰にでも解るような易しい必勝
本が多いのには私は驚いたものです。
世の中で売られている競馬必勝本に書かれていることと、私がこつこつと分析・シミュレーションした結果がかな
り違っていたのをよく覚えています。
私が、近年の競馬で勝利者になるには、膨大な分析・シミュレーションと緻密な理論でしか勝利できないと信じ
始めたのもこの頃でした。誰にでも簡単に利用できる競馬理論で競馬の勝利者になれるほど、近代競馬は甘く
ないと思っておりました。
マイクロソフト社のミーハー戦略でいう「誰もが簡単に使いこなせるパソコン」ではなく、私が「膨大なデータを短
時間で処理」する能力を持ったパソコンを最大限に利用する必要性を感じていたのが15年前でした。



ブービーや最低人気の馬や過去3走ともに2桁着順の馬といった誰もが能力が低いと思う馬が上位入着し、上
位条件で活躍していた過去の実力馬や近走殆ど上位入着している成長途上の34歳馬といった誰もが能力が
高いと考える馬が大敗するのは競馬の世界では不思議なことなのでしょうか?
近代競馬でのクラス分けされた馬同士で競走するという競馬の原点に立ち競馬の最重要目的の回収率向上と
いう観点から予想要因の重要度を判断することが重要です。
近年の競馬では、
1.脅威の能力を持ったサンデーサイレンス系の血統が浸透して馬の能力差があまりなくなってきた。
2.調教技術等の進歩で出走馬の体調の良し悪しの差があまりなくなってきた。
等により、出走馬の能力差が非常に少ないレースが多く、馬の能力が高いだけでは上位に来るのは難しく、能
力が高く且つコース適性(特に開催時点のコース適性)の両面から馬券検討することが必須条件になってきて
おります。


巷で良く耳にする「**指数」・「**レイテイング」といったような「固定的な数値」は一体何なんでしょうか?
競走馬の能力は、出馬表が確定して初めて決まります。
競馬場・距離・芝ダート・出走馬・騎手等が決まらない限り馬の能力を想定することはできないはずです。
競走馬の能力は競馬場・距離・芝ダート及び展開等状況に応じて変化します。


「血統が良いから走る」とか「京都競馬場は良く走る」とか「この馬は長距離は強い」等比較論が巷では、よく聞
かれます。
単なる比較で競馬予想の役に立つのでしょうか?
例えば、父がAで母がBの場合の血統では、「前走の阪神競馬に比べて京都では15%能力が上がる」とか「前
走の1400M戦に比べて今回の2500M戦では、前走に比べて10%高い能力を発揮する」といったような具
体的数値がない限り本当の予想には役に立ちません。
科学的競馬予想では、具体的な基準値が重要なのです。


競馬理論本が巷に氾濫していますが、誰にでも解るような易しい理論の本が多いのは何故なんでしょうか?
近年の競馬投資で勝利者になるには、膨大な分析・シュミレーションと緻密な理論でしか勝利できません。
誰にでも、簡単にできる競馬理論で競馬投資の勝利者になれるほど、競馬は甘くありません。
マイクロソフト社のミーハー戦略に騙されてはいけません。「誰もが簡単に使いこなせるパソコン」なんぞでは、
競馬投資の勝利者にはなれません。
パソコンの最大の利点である、膨大なデータを短時間で処理する能力を使いこなした者が競馬投資の勝利者
にはなれるのです。


強い馬と対戦してその強い馬より上位に入線した馬がよく人気になりますが、事実はどうなんでしょうか?
強い馬の定義は、その後に同条件あるいは上位条件のレースで勝ってしまう馬のことです。
過去のデータを分析してみると、事実は異なります。
勝つこともありますが、あまり多く発生していないのが事実です。
理由は、まだハッキリ解明できていませんが、強い馬と対戦して力を無理に出しすぎて目に見えない疲労等が
たまってしまうようです。
その証拠に、強い馬に勝った後休養に入った馬は、その後勝つことが多いのも事実です。
実際は、過去3戦以内で強い馬と対戦してその馬より上位に来た馬は、負けることが多いのです。


よく先週のレースのタイム分析等をして、次走の狙い馬等を検討していますが、どんな意味があるのでしょう
か?
走破タイムに関係なく、走破タイムが悪くても強い馬が存在するし、走破タイムは、必ず上下する。走破タイム
は、続けて良くなり続けることはまれにしか発生しません。良くなったら、次は悪くなることが多いのです。
競走馬のタイムは、レースのペースや騎手の手綱捌等によって大きく変化します。


血統理論がはやっていますが、血統の良い馬は、すべて能力の高い馬なのでしょうか?
人間の家系にも血筋の良い家系がありますが、中に頭の悪い人間もいます。
確かに血統の良い馬が高い能力を発揮することが多いのは事実です。
ただ、同じ馬が同じ条件・競馬場・距離・芝ダートで1着になる場合も惨敗することも発生しており、同じ血統でも
成績が上下していることも事実です。
血統は、その血筋からくる適性が重要です。
血統からくる、その馬が得意とする「競馬場」、「距離」、「芝とダート」が存在します。


前走の着順位がいいので、人気になる馬が多いですが、本当に前走の着順位はあてになるのでしょうか?
実際には、前走の入着順位が上位の馬が来ない場合が多く、一番多いのが、前走3−4着(10頭立換算)の
馬が1着に来る確率が一番高い。


その他に、展開に基づく予想や、調教に基づく予想等、色々あります。

現在世の中にある競馬予想理理論を否定するつもりは全くありません。
要は、その発生率です。
展開予想理論は、その展開予想通りになった場合は、正しいのです。
しかし、展開予想通りになることはなかなか発生しないのも事実です。
タイム理論も、タイム理論通りに各馬が走った場合は、正しいのです。
しかし、タイム理論通りに走ることはなかなか発生しないのも事実です。
前回高い指数を出した馬は、次は低くなることが多いのも事実ですし、スローの場合は、タイムとは関係なくな
ることが多いのも事実です。
血統理論も、血統通りに走った場合は、正しいのです。
しかし、血統とおりに走るとは限らないのも事実です。
調教理論も、馬が調教通りに走った場合は、正しいのです。
しかし、いつも調教通りに走るとは限りません。
要は、勝ち馬の勝利要因を多角的・総合的に判断する必要があるのです。
能力が高く且つコース適性(特に開催時点のコース適性)の両面から馬券検討することが必須条件になってき
ております。



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