北の道8 イズラレス − サントーニャ
5月22日(日)今日は店が閉まっている日曜日だ。ドミンゴ注意報を発令する。雨仕様でIsraresのアルベルゲを7時5分に出発する。すぐにスティックを持っていないことに気づいて引き返す。たまに両手にスティックを持たずにフラッと出てしまうことがまだある。でも、あれ?何か変だなと数分以内に気づくので無くしてしまうことは最後までなかった。
雨風が強く手が冷たく感じる。昨年はスティックを持つときに良かろうと思い、滑ってしまう軍手でなく皮の手袋を持参したが、スティックを持つにも季節的にも手袋は不要なのが分かったのでアルベルゲのお兄さんに上げたことを思い出した。手が冷たいと言っても雨の中で手袋しても濡れて暖かくはならないのでやっぱり手袋は不要だ。そんなことを考えながら黙々と歩き続ける。
前方100mには赤いバックパックのペリグリノが歩いているのでぴったりマークして付いていくが途中で見失う。でも、暫くしたら村のラウンドアバウト(ヨーロッパに良くあるグルグル回りながら方向を変える交差点)でまた見つけたので追いつき、教会で雨宿りしたときに話しかけてみる。顔つきがフランス人に見えたので英語で話しかけたら「ノーイングレス」だそうだ。予想が外れスペイン人だった。適当なスペイン語で今晩はどこに泊まるのか聞いたら、ここから20.1kmにあるLaredoだそうだ。Laredoか、覚えておこう。
教会から歩き始めると、すぐに泥の山道になる。歩き続けていると、ずっと先を歩いていた筈のスペイン人が後ろから現れた?え、何でと思ったら道を間違えて迷っていたそうだ。地元のスペイン人でも山の中では言葉は関係ないから迷うんだな。
次の大きめな村の中で運良くバルを見つけたので合羽を脱いで入っていったら、さっきのスペイン人と他に二人のペリグリノがいた。挨拶はどこの国の人でもオラだ。小さめのボカディージョとジャガイモのトルティージャひと切れとビールを飲んでやっと朝飯を食べられた。バルでは写真のように、食べ物にフォークをブスっと突き刺して出してくるのでお行儀が悪い。びしょ濡れで寒かったが店内は暖房を入れてなくても少し暖かかったので助かった。
隣にはミニスーパーがあったので、干しブドウとクッキーに小さなパンを仕入れる。4.8ユーロ。干しブドウはちょっと高いようだが、やっと食料を手に入れられたので少し安心する。
また山の中を進むが村からは舗装路が伸びていて距離がはかどる。でも舗装路を歩いていると黄色い矢印は脇に伸びる泥道へと誘導するので、はいそうですかと下りていくと、どうも村の中にある小さな教会へ寄っていけという巡礼路のようだ。こういうのは良くあって、グルッと回り道をさせられてから、また元の巡礼路に接続するパターンだ。わざわざその教会まで行っても、スペインの教会の殆どは入り口に鍵が掛かっていて入ることはできないのだが。
村の中にあった小さな公園にベンチがあったので、靴を脱いで小休止をする。GPSで位置を確認してみたら、目的のLaredoの町がここから2キロ程なので気を良くする。町が見えてきたのに大きく回り道をさせられて長い階段を下りやっと町の中へと入っていく。
公営アルベルゲは坂を降りて左に曲がった所にあったのですぐ見つかった。まだ時間が早いので近くにスーパーがあるか探してみる程余裕があったが、そこにペリグリノのおじさんと長い杖を持った若い娘がやって来たのでアルベルゲはこっちだよと一緒に歩いて行くが、二人の持っているガイドブックにはどうもここは夏だけオープンするアルベルゲのようだ。良く見たら入口の張り紙にもそんなようなことが書いてあるようだし。せっかく見つけたのにダメか。二人は次の町のサントーニャを目指すと言うので私もその後ろに続くことにする。海岸の近くを歩く道なので向かい風がもの凄く、足の速い二人に付いていくのが大変。
1時間以上歩いた所に船着場があって、巡礼路はここから海を渡って行くようだ。チケット売り場で次の船は5時と教えてもらったのを伝えてくれる。二人はレストランに入って行くが、私は朝飯のような昼飯のようなのを食べたのでビールでも飲むかと付いていく。店の外にはペリグリノが数人、強い海風の中を船着場目指して歩いていくのが見える。離れたところにある船着場はここからは見えないが、きっと船が出るまでにはかなり時間があるので戻ってくるだろうと思ったが誰も戻ってくる気配はない。女の子も船着場に行ったので、どんなことになっているのか私も様子を見に行くことにする。レストランから船着場までは砂浜を100mほど歩いた先にあって、砂浜から船に板が渡してある程度だった。渡し舟は既に待機していて運転席にはホタテのマークが貼ってあるので巡礼者御用達なのが分かる。乗り込んでもいいらしいので入っていくと既に女の子を含めて5・6人が椅子に座っていた。私が乗り込んだらすぐに出航したので、定員になり次第出発するのかな?時間なんか関係なさそうだった。渡し賃2ユーロ。だとすると、レストランで出航時間まで待っているペリグリノはいつまで立っても向こう岸に行けないことになるんだが?!
サントーニャに着いたところで全員がアルベルゲはあっちだこっちだと協議を始めたので、どうも私営アルベルゲに泊まりたいようだ。だったら私とは別だろうと、GPSを取り出して公営のアルベルゲの位置を確認してから独自に歩き出す。他の人たちは着いてこないが女の子は一緒に歩きだしたので、この子も公営を目指しているようだ。その途中、女の子は巡礼路上に張ってあったポスターの私営アルベルゲの中に入っていったので公営でなくてもいいらしい。私営の割りに入り口はしょっぱい雰囲気が漂っていた。
町を離れ大きな橋を渡ったところで地図にあったとおり公営のアルベルゲを見つける。大きな施設で、壁にアルベルゲと大きく書いてあるが体育施設も併設されていたのでユースホステルのようだ。中に入って受付をしていたら、ほかの皆もゾロゾロとやってきたので私営は見つからなかったのかな?いったん私営に入っていった女の子も一緒に来たのでチェックインはしなかったようだ。どう言うことなのか聞いてみたいがそれを聞けるだけの英語力がない。
夕飯・朝飯が付いて14.5ユーロは安い。私があてがわれた部屋は6人部屋だがとてもゆったりベッドが配置してある。部屋には大き過ぎるロッカーとトイレとシャワーもあるので快適に過ごせそうだ。昨日泊まったアルベルゲは20人も泊まるのにシャワー1、トイレ2だけだった。この部屋には長い杖を持った女の子が入ってきた。国はアルバニアで、ドイツ語を喋るらしい。今のところはこの子と二人だけだが、結局この部屋にはこれ以上人は入ってこなかった。
快適なアルベルゲだが、残念なのは町外れなのでスーパーへ行くなら又かなり歩かなくてはならないことだ。おまけに今日はドミンゴ(日曜日)なのでスーパーを見つけたとしても閉まっている確立が高い。今日も1リットルビールはお預けか。
食事は宿で食べられるけど、どうしてもビールが飲みたいので来た道をまた歩いて町を目指す。案の定、せっかく歩いて行ってもスーパーはどこも閉まっていた。仕方ないので広場にあったバルに入って生ビールを飲ませてもらう。Wi-Fiがあったので接続してフェイスブックを更新する。ちょっとしたツマミもサービスしてくれて、2杯飲んでも3ユーロ。円なら360円だ。スペインのビール安すぎ。これに慣れたら日本のビールは高くて飲む気がしないだろう。もっとも、自宅で飲むときはビールなんて絶対に飲まなくて、いつも発泡酒より安い第3のビールだ。逆にスペイン人が日本でビールを飲もうとしたら高くてビックリすることだろう。
アルベルゲに戻っても喉は渇いていたので自販機のコーラを飲む。ここの自販機は高め設定で1.3ユーロもしていた。普通は利用し易い1ユーロが多いのに公営なのに高すぎるぞ。コーラはビールと同じ値段で、水は少し安くなるが場所によっては水とビールは同じ値段だ。いつでもどこでも絶対にビールを飲む。欧米人でも毎日ミネラルウォーターを買っている人は珍しくないが、私は今年も80数日間のあいだ一度も水は買わないで無料の水道水で通した。幾ら500mlで1ユーロしないと言っても毎日買っていたら大変だよ。
アルベルゲの夕飯にはフランス人4人グループと昨日一緒だったカップル。40代に見えるが夫婦でなくガールフレンドだと言っている。どういう関係なのか興味津々だ。フランス人は全員が同じグループかと思ったが、次ぐ日は別に行動していたのでソロも混ざっていたようだ。料理の方はまぁ普通かな。サラダ、スープには細切れパスタが入っているので私も利用するインスタントスープだと分かる。それにラザニア。メインは魚の切り身が2枚で、これは旨かった。それに加えてパンとワインはこっちでは定番だ。近くのテーブルには次ぐ朝の用意が既にしてあった。だから朝食時間は何時でもいいと言ってたのか。
同じ部屋になった女の子は夕食に来なかったので申し込んでなかったようだ。お金が不足しているのか、いつも食べないのかちょっと気になる。
明日の作戦を立てる。女の子に明日はGuemesに行きたいと言ったら、Guemesに行くには23kmと29kmのふたコースがあると言っている。分岐があったら注意しよう。
北の道9につづく
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