北の道10 Guemes − サンタンデール


 
5月24日(火)家を出発してから17日、イルン(歩きスタート)から13日目。Guemesのアルベルゲでいつもの簡単スタイルの朝食。肉や果物なんかはない。ドナティーボにはジルバートが5ユーロ入れたらしいので10ユーロ入れとく。
 7時半に出発する。みんな今日は短い距離のサンタンデールを目指しているのか、出発が遅いようで私はこれでも早い方だ。
 山の中、朝のうちは肌寒いが半袖で出発。歩いていればすぐに暖かくなるのが分かっているので。お粗末地図で昨日のうちに巡礼路をチェックしといたので、計画通り村の教会方面に誘導している矢印は無視してまっすぐ歩き続ける。20分ほど歩いた所でまたカミーノの黄色い矢印を見つける。ここで再合流だったか、思惑ぴったり。

 10時頃、小さな町に入って行き海岸に出たところに船着場があり、二人のペリグリノが待っていた。貼りだされている時刻表を見ると30分置きに船は出るようだ。少し待って時間通り10時半に対岸のサンタンデール目指して出航。渡し船はこれで3回目だ。北の道は変化に富んでいて面白い。船賃は船内で払って2.75ユーロだった。まっすぐサンタンデールに行くのかと思っていたが、途中の船着場でも客の乗り降りがあった。


 サンタンデールは大都会だった。大きな街ではいつも迷うので要注意だ。時間は早いがまず何と言っても今夜の宿を確認しておきたいので街中にあるアルベルゲを目指す。GPSを見ながらなので、ほどなくアルベルゲ前までやってこられた。都会のアルベルゲなので、1階にある入り口は狭く、階段で2階に上がった廊下の突き当たりにアルベルゲのドアがあった。時間はまだ12時、受付開始は2時半とドアの紙に書いてある。行き止まりのドアなので関係ない人はやってこないだろうと思ってバックパックはドアの前に置いてサンタンデール見物に出かけることにする。勿論、貴重品だけは持参だ。

 後続のペリグリノがやって来ないかなと港へ行ってみたり、大きな教会の中を見物したり当てもなくあちこちウロウロする。人通りの多い道端でホタテ貝を付けたバックパックを横に置いて物乞いしている人がいた。ひと目で偽物のペリグリノと言うのが分かるが、知らない人が見たら巡礼中に路銀が尽きた可愛そうなペリグリノと見えるのかも知れない。私も最初の内はそう思ったが、このスタイルの物乞いはアチコチで目にするので物乞いの手段と言うのが分かった。そのうち腹も減ってきたので安そうな店を物色して一軒のバルに入る。ビールと何かのフライ2品にサラダで9ユーロ。都会にしては安いほうだろう。注文したレジで支払ってから、レシートを持って調理場にお願いする。これも都会的だ。Wi-Fiもあってフェイスブックとメールをチェックできたし腹いっぱいになったし、これは満足だった。

 やっぱり廊下に置いたバックパックが心配なので2度も様子を見に行ってくる。どうせ暇だし。二度目に行った時には他のバックパックは3つあるのに私のがないので心配になる。すると廊下手前のドアが開いて、中に入れてあるわよ的なことを言ってくれたので確信が持てないまでも一安心する。時間になったらアルベルゲのドアが開いて受付が始まると、中には6つ7つのバックパックが置いてあり、私のもその中にちゃんとあった。自分が一番かと思っていたが、こんだけあると誰が一番だったのかは分かる筈もない。でもそんなの関係なく、いまいる人で並んだ順に受付が始まった。ここは公営だけど10ユーロと高め設定だった。都会だから仕方ないんか。今日は下段ベッドで一安心。

 シャワーはしたけど洗濯場も干し場もないので靴下だけ洗濯してベッドの手すりに干しておく。キッチンには洗濯乾燥機が置いてあるので、お金に余裕のある人は使うのだろう。今日は短い工程だったので、汗をかく程でないのが幸いしたか。
 アメリカのリンダおばちゃんがチェックインしてきた。リンダとは宿が3回目なので、逢ったらとても嬉しそうでほっぺにチューされたので、オッと思った。

 若い男女がスーパーに行くと言うので私も買い物がしたいので付いて行く。途中、男性がキャッシングしたいと言うので、そろそろお金が乏しくなってきた私も、もっけの幸いと一緒に銀行に入っていく。外国のATM操作にはイマイチ自信がないので、アルバニアの女の子に操作を見て貰いながら300ユーロをゲットする。男の子がカードの暗証番号を入力するときは、その上に隠しカメラが付いていないか注意した方がいいと盛んに言っている。国によってはそんなことがあるようだ。
 ユーロは昨年は1ユーロ140円だったが、今は120円ほどに下がっているので同じ300ユーロでも昨年より6000円近くもお得になっている。すっごいラッキーだ。借りるタイミングもカードの決済日27日に近いので、利息も数日分で済むから更にお得。私の一日の必要経費は泊まって飲んで食べて一日20ユーロ、2,400円を目標にしているので、6,000円も浮くということは3日分の経費が浮くことになるので大儲けだ。

 スーパーで1リットルビールにトマト2、オレンジ、パン、生ハムにチョリソー迄買って4.84ユーロと目茶安。早速アルベルゲに戻って狭いキッチンで一人宴会。隣の受付に座っているホスピタレラにビールをコップに1杯ついで上げたら喜ばれる。オレンジ、トマト、パンは明日の食料だ。
 スーパーに一緒に行った兄ちゃんがサンタンデール見物に行かないかと誘ってくれるが、もう寝ると言って置く。きっと、アルバニアの女の子(割と美人)と一緒に行くだろうから気を利かせる。このお兄ちゃんも気持ちの良い青年だ。

北の道11につづく