北の道12 Requejada − コブレセス
5月26日(木) 今朝は起きた時からメチャメチャ腰が痛くてアルベルゲの中でちょっと移動するのでもヒェーッと言う感じで大変。こんなんで今日歩けるのかなぁ?アルベルゲのテーブルで昨日買っておいたピーチジュースとチョコパン、ヨーグルトで朝飯にして7時50に出発する。
バックパックのベルトをギュッと締めてそろそろと歩き出すと痛みは引いてくるので少し安心した。これなら今日も歩き続けることが出来そうだ。舗装路をずーっと歩いて町外れにあった教会で休んでいたらオリベアも後からやってきて休み出した。少し長めに休んだ後、歩き出そうとしたらまた激痛が!!やっぱりダメじゃん。それでも朝と同じようにして歩き出すと徐々に痛みは引いてくるので、取りあえずこのパターンを繰り返すっきゃないのかな。
ずっと歩いて日本の教科書にも載っているアルタミラ洞窟の近くまでやってきた。(写真最下段にアルタミラの文字が見えますか?)石器時代の洞窟に狩りの絵が描かれている、誰でも知っているあのアルタミラの洞窟だが、巡礼路を外れて2km歩かなくてはならないのでパス。腰が痛いしそんな余裕はこれっぽっちもない。食べ物を求めて2km歩くのは仕方ないとしても、観光のために2kmは歩きたくない。ここはアルタミラほか分岐点が集中してるので巡礼路が分からず少し迷うがGPSでコブレセス方面を見つけて歩き続ける。
次の村にベンチがあったので靴を脱ぎジュースとチョコパンを食べながら大休止してから歩き出そうとしたら激痛で一歩も歩けない。今までで最高の痛みでギョギョギョだ。日本にいるときにもこの位の痛みは経験しているが、日本なら安静にして動かないのが一番と思っているのでそうするが、ここでは歩かない訳にはいかないのが辛いところだ。バックパックの腰ベルトをこれでもかと言うくらいギュッと締めて、歩幅を10cmずつそろりそろりと15分くらい歩き続けていると徐々に痛みは引いてくるので地獄に仏の気分だ。腰掛けるのが一番悪いようなので注意したいところだが、ずっと座らない訳には行かないのでどうしたもんじゃろう。
そろそろアルベルゲがある村に近づいてきたなと思ってた道筋にスーパーマーケットがあったので、アルベルゲがここから遠くなければ買い物に来れるかなと思いながら横を通り過ぎる。案の定、そこを過ぎてから10分ほどで修道院併設のアルベルゲに到着する。直前にイタリア親父二人組と一緒になり、彼らが最初にこのアルベルゲを発見してくれた。私は建物を見ても教会の一部にしか見えなくてアルベルゲとは思わなかったので一人なら見落としたかも知れない。
大きな平屋に入っていくと受付とかは特に見当たらないが、先着の寝袋がベッドにふたつ敷いてあるので自分達も気に入ったベッドに勝手にチェックインする。ここには平ベッドが幾つかあったので、当然平ベッドだ。
シャワー洗濯してから腰痛対策に薬局を探すが見つからない。バス停にいた地元の人に聞いたらこの村にはないそうだ。今日のところは諦めるっきゃないので、なるべく痛くならないように気を付けているしかない。シエスタでも開いているスーパーがたまにあるので、半分期待して来る時に確認したスーパーに行ってみたが、期待は見事に外れて2軒ともシエスタやっていた。仕方ないので昼飯を求めてアルベルゲから一番近いバルに入っていく。先客のペリグリノ夫婦が定食を食べていたので、私も同じものを頼む。ビールと定食で8.9ユーロと安めだが内容もそれなりだった。後からフランス夫婦もやってきて同じものを注文していた。食事が済んで立ち上がる際にもフンッと息を止めて痛みを堪える必要がある。
アルベルゲに戻って日記を書いていたら、昨日、シャワーをバッティングしそうになったカタリナが到着してきた。チェックインは私もまだで、食事するなら近くのバルで8.9ユーロだったことと、スーパーはシエスタ中だったと教える。前にも一緒の宿になったドイツのオリベア(写真)もやってきたので、腰が痛いことを身振りで伝えたら良く効く塗り薬を持っているそうだ。スネーク何とかと言って、蛇から作ったクリームだそうだ。何か嫌な響きだが、この際そんなことは言ってられない。ワラをも掴む気持ちで早速塗ってもらったところ、カッカと熱くなり、これが嘘みたいに効いて痛みがなくなったのでビックリした。腰痛って、こんな効く薬があったんだ!今まで腰が痛くなるとシップ薬を貼って安静にするっきゃ方法がないと思っていたよ。薬局でこれが買いたいと言ったら、ドイツでしか売ってないそうだ。
オリベアは私より先を歩いていたのに後からやって来たので不思議に思っていたら、アルタミラの洞窟まで歩いて見物に行って来たそうで、とっても良かったと言っている。元気だなー。
最後にアメリカのリンダが到着してきた。顔を真っ赤にしてるので、頑張って歩いてきたのが分かる。スーパーに行きたい私とオリベアとカタリナの三人でシエスタが終わった時間に買い物に行く。だが、予想した時間ではシエスタは終わってなかったので、時間潰しに隣のバルでビールコンファンタ(名前どおりビールをファンタで割ったもの)を三人で飲む。これはカタリナがおごってくれた。
色々買い込んでアルベルゲ前のテーブルで持ち寄りディナーにする。私は1リットルビールとチョコパンとトマト2個を提供したが、ビールは誰も飲まないと言うので一人でラッパ飲みする。このアルベルゲにはキッチンがないので、コップも皿も何もない。みんなはワインの方が好きなようだが、オリベアの買ったワインの栓を抜く道具がない。オリベアはコルク栓を瓶の中に落としてしまおうとしているが簡単にはいかなそうだ。カタリナが修道院の草刈をしていた婦人に頼んだら簡単にワイン抜きを借りられたので一件落着。リンダも後から加わって、粗末ながら楽しいディナーとなった。
途中で修道院の夕の祈りにみんなで行ってみる。サルベレジナと言うのか、昔、函館のトラピストで同じのに与った時より数段落ちる歌声だったのでちょっと残念。がんばりま賞を上げよう。
食べ物を出しっぱなしにしていた外のテーブルにまた戻ってお喋りを続ける。カタリナとオりベアは英語を喋るが、話の内容が込み入ってきて二人でドイツ語で相談しながらアメリカについてリンダに質問している。オバマがどうのと言っているので政治的な話らしかった。もちろん私はひとつも分からない。テーブル隣に干してある洗濯物も全て乾いたので満足の一日だった。腰もオリベアのクリームのお陰で今のところ痛くないし。このまま再発しなくちゃいいが、明日はどうかな?
このアルベルゲは定員が30人だが、泊まっているのは10人ほどしかいない。みんな勿論平ベッドを選んでいる。平ベッド最高。明日は20キロ先のサンビンセンテを目指す。
北の道13へつづく
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