北の道19 Aviles − Muros de Naron


6月4日(土)Avilesのアルベルゲ。カタリナは昨日の頑張りがたたって大分お疲れらしく起きられないようだ。キッチンでインスタントの玉ねぎスープに誰かが残したパンを浮かべて朝飯にする。日本から持参のカロリーメイトとヨーグルトも2個食べる。日本の友達にインターネットで電話を入れて少しお喋り。日本との時差の関係から、話すことができるのは朝と夕方に限られる。

 起き出さないカタリナに、私は出発するけど、あんたは出発を遅くして今日は歩くのも短くした方がいいよと伝えて遅めの7:50に出発する。昨日買い物したAvilesの通りを歩いて行くと、お馴染みになった朝の光景、散水車が道路の清掃をしていた。ただ水を撒いているだけじゃなくて、高圧で放水して通りのごみをすっ飛ばしているのだ。集まったゴミは別の人が回収している。絶対にすっ飛ばす係りの方が面白そうだ。
 そこを過ぎると凄く広い所に出る。スペインの町には必ずある大きな広場で、マヨール広場とかスペイン広場などの名前が一般的のようだ。きっとこの広場もそんな名前だろう。こんな大きな広場まで水で奇麗に洗い流して掃除をしていて、雨が降ったあとみたいに良く濡れている。広場からは矢印が見当たらなくなってしまったので、どうしたもんかなと考えていた所、顔見知りのお兄ちゃんペリグリノが歩いているのでペースメーカーにする。はにかむ顔が印象的なこのお兄ちゃんは時折顔を合わせるのだが、アルベルゲで一緒になったことがないので、どこに泊まっているのだろう?まさか野宿ってことはないよね?

 景色のいい山の中をずっと歩き続けるが、今日は数日振りの一人歩きなので、やっぱり一人の方がペースが守られるので具合がいいようだ。近くに昔の城が見えだして、矢印は城に向かってついているので城の中でも見物できるといいなと近づいて行くと、矢印は見当たらないが道はこの道しかないので城の脇をかすめて大きな川の畔にでる。船が繋がれているので、また渡し船なんかなと想像する。桟橋に二人の女性がいるのでペリグリノかなと近づいてみたが軽装なので違うのが分かった。「かみのでさんちゃご?」と聞くと違うそうだ。えっ?でも道はこれ一本しかなかったんだがと思うも、戻るしかないので城の前まで行って下を走っている幹線道路に印があるかと探してみたが見つからない。こういう時は最後に矢印を見たところまで戻るのが鉄則なので階段を降りて下まで行ってみると、確かに矢印はこの階段を上るように指し示している。じゃぁどこで見落としたのだろうと、また上まで行くと近所のおばさんがいたので聞いてみたところ、あっちだと指さす方向にはちゃんと黄色い矢印があった。人んちに入って行くような狭い路地が巡礼路だったのだ。これは知らないと見落としてしまうだろう〜。(写真、上が城で川岸に小さく見えるオレンジが桟橋です)

 今日の目的地、Muros de Naronの村に入って来たので、泊まる予定のアルベルゲを探しながら歩くことしばし、うっかり通り過ぎてしまう所に案内板を発見する。行ってみたら小奇麗なアルベルゲで作ってまだ新しいようだ。入り口の椅子に座っているお婆さんがオーナーなのか、愛想良く迎え入れてくれる。入っていくと中も綺麗で感じがいいし、受付の女性も感じがいい。でも、いつものアルベルゲと違って何やら色々説明しだしたので困惑する。良く聞いてみると宿泊代の他に食事が別に付けられると言っているらしい。一泊7ユーロ、夕食7時から8ユーロ、朝食が7時半からで3ユーロとのこと。これをいきなりスペイン語で説明されたらちんぷんかんぷんになってしまう。私営で2食付いて合計18ユーロなら安いほうだろう、全てお願いする。受付をしてる間に奥からテオが出てきてくれ再会を喜ぶ。カタリナは私の30分後にやって来た。朝は青菜に塩状態だったが元気に復活したようでよかった。同時に顔なじみの渡し船を一緒に待った口ひげのドイツ人と前日も一緒だったご婦人も到着する。立派な口髭おじさんもみんなと同じに洗濯して干していた。

 日本のうぶちゃんにテレビ電話を入れる。側に居たカタリナも出してやったらいきなり外国人に話しかけられたので少し慌てていたようだ。調子ずいて受付の女性も電話に登場させる。凄いねインターネット、こんなことが出来るなんてまるで鉄腕アトムの時代のようだ。取りあえずビールだけ飲みたいのでアルベルゲ兼バルで一杯頂いてグラスを持ったまま広々とした中庭に行って至福の時間を過ごす。


 シャワーを浴びようとしたら石鹸を前のアルベルゲに忘れてしまったのに気が付く。がびーん、昨年もやってしまったことを繰り返してしまった。石鹸はアチコチで使いながら手放すことが多いので無くす確率ナンバーワンだ。幸い、少し離れたところにスーパーがあるので、そこで買うことができるだろうと4人で行ってみたところ、でかいボディーシャンプーしか置いてなかった。レジの人に聞いても固形石鹸はないそうだ。こんな山の中なのにスタンダードな固形石鹸がないのはなんで?仕方ないので1リットルビールと生ハム、それに明日は日曜なので食料が手に入りづらいだろうと袋入りのクッキー1袋を買って帰る。今度は大きなビールをアルベルゲの大きな庭に設置してある椅子に座って生ハム肴に飲め、ごきげんだ。

 この小奇麗なアルベルゲには洗面所に液体石鹸があったのでサスガと思った。今日の場合はそれで凌げるが、早急に手に入れないとだが、明日は店が休みになる日曜日なので買える可能性はいつもよりぐっと低くなるだろう。

 テオが私の日記帳にドイツ語で何やらいっぱい書いてくれるが、まったく読めない。どうしたもんかのう。口髭のおじさんはドイツじゃなくハンガリーだった。ハンガリーって近隣諸国に国土を取られたときに、自国民500万人も一緒に取られた複雑な国なんだよなーと思い出すが、私の英語力で話すのなんて夢のまた夢だ。名前はイストゥラン、同い年くらいに見えたが、幾つも年下だった。

 前にも一緒になったフランス人のおばさん4人組もチェックインしてきて、夕飯の時に隣のテーブルになる。そしたら花火を挿したパフェが運ばれてきて、中の一人が今日誕生日だそうだ。みんなでハッピーバースデーを歌う。この人はタレントのホラン・ユキに似た美人だった。だからではないが、誕生日祝いにマリアカードを上げる。マリアカード何かにつけて大活躍。



北の道20につづく