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7月26日(火) バルセロナ - モンセラット
今日はカタルーニャの聖地、モンセラットへ遊びに行く。モンセラットはバルセロナから50kmほど離れた山の中にあり、高い岩山の中に修道院が建つという絶景の地だ。かのガウディがサグラダ・ファミリアの設計の際に、モンセラットの奇岩にインスピレーションを得たとか何とかの噂がある。
オスタルを8時に出発し、まずはモンセラット行きの電車が出るというスペイン広場まで歩いて行く。途中にはバルセロナに来て初めて食事した、あの中国人経営の安食堂があるので、朝飯はそこで食べていくことにしてある。これもまた小さな楽しみだ。20分ほど歩いて食堂に着き、今回は朝飯なので軽めのワンタンと朝ビールで5ユーロ。円なら600円弱と観光都市バルセロナなのに呆れるほど安い。
スペイン広場に着いてはみたが、想像よりずっと広くて地下へ降りる入り口があちこちにあって、どこから入っていけばモンセラット行きの駅があるのか皆目分からない。試しに一つの入り口から降りて行ってはみたものの、やっぱり訳が分からないのでまた地上に戻り、正体不明の渦巻き階段を掃除していたおじさんに教えてもらう。言われた所に入って行くと、確かにそこには「Montserrat」の文字があった。落ち着けば見えるものも慌てていると目に入らない。
そこはネットで調べていたとおり、券売機の側に駅員がたむろしていたので、その内の一人を捕まえて切符の買い方を教えてもらいながら購入する。モンセラットに近い駅は二つあり「テレビでスペイン語」で利用していた登山鉄道に乗り換える駅の方に行きたかったのだが、今日は登山鉄道は休みだと言われて仕方なくロープウェーに乗り換える駅のほうを往復で購入する。20.2ユーロ。
チケットは無事に買うことができたが、今度は上乗するホームが分からない。R5と言うのだけは分かるのだが、そのR5ホームが見当たらないのだ。駅員に聞いたり乗客に聞いたりして分かったことは、このR5と言うのは電車の名前で、乗るのは4番ホームだった。こんな基本的なことが分からないので乗り物を利用するときは苦労が毎回付きまとう。10:30出発、一路モンセラットへ。
都会を離れて田舎の風景の中を快適に電車は進み、やがて遠くに険しい岩山が見えだしてきたので、あれがモンセラットだと分かり心が躍る。
モンセラットの駅を降りると、すぐそこがロープウェー乗り場で長蛇の列が続いていた。うへ、もうこんなに並んでいるんだとげっそりする。肝心のロープウェーはと言うと、遥か山の上にある駅とを二つのゴンドラが行き来して人を運んでいるようだ。ゴンドラが二つしかなくて、それが往復しているだけなので人の列が中々減っていかない。ここと上の駅の間隔が千メートル位ありそうな距離なんだから、ゴンドラは10台くらいあっても良さそうなもんだがなぁと誰もが思うだろう。とても原始的なロープウェーだ。
朝飯はあっさりとワンタンだったので、時間の割りに腹の減り方が早かった。なのでモンセラット駅に着いてまずしたいことは何か食べることだった。数少ないバルに入ると言うか、ここにはこのバルしか無さそうだ。きっと高いだろなぁと思いながらボカディージョとビールを頼む。両方で7.8ユーロ。グラスビールが何と3.4ユーロもしやがった。スーパーなら同じ金額で4リットル飲めるだろうが仕方ない、ここは観光地なのだ。
元気が出たところで、遥か彼方に見える崖に突き出た展望台まで歩いていくことにする。道中は無茶苦茶暑いが木がそこそこあるので日陰を伝って歩いていけるのでまだマシだ。同じように歩いて展望台を目指す人が沢山いる。
展望台には大きな十字架が立っていて、ここからの眺めは最高だった。モンセラットの奇岩が覆いかぶさった修道院の全景と、遥か彼方の山々と眼下にはマッチ箱のようなロープウェーの駅まで全て見渡せる。頑張ってやってきて良かった。近くにも有名な場所があるようだが、暑いからもういいや。
観光だからと甘く見て水を入れたボトルは持って来なかった。だが、さすがにこの暑さで喉が渇いてきた。唯一ある売店で水を売ってないかと覗いてみると、1.5リットルの大きなのが水らしいので尋ねてみたところ、炭酸入りでスイートとか言ってるので買って飲んでみたところ、確かに少し甘いので日本で言えばサイダーみたいなもんか。何より冷えているのが有難い。この大きなボトルを手に観光を続ける。
モンセラット一番の目玉と言えば、やっぱり奇岩の下に作られた修道院だ。て言うかそれ以外ないし。立派な修道院だが入るには特にお金は必要ないようだった。右手に長蛇の列があるが、これは黒いマリア像に触りたい人たちの列のようだ。私は暇なくせに行列にはなるべく並びたくないのでこれはパス。
ここには住み込みでコーラスの練習をしていると言う少年合唱団が毎日定時に歌ってくれることで有名なのだが、夏休みでお家に帰ってしまっていると言うことで残念ながらそれは聞くことができなかった。
一通り見終わったので外に出て、修道院をバックに自撮りをしていたら、どっかの女性が撮ってあげると声を掛けてくれたのでお願いする。今日もお気に入りのレジ袋を下げたスタイルで記念写真を撮ってもらう。ピース。
もういいかなと思い、ロープウェー駅に向かっていると、登山電車がやって来た。なんだ、動いてるじゃん!テレビでスペイン語のジーナが乗っていた登山電車なので乗りたかったなぁ。帰りのロープウェーの列は大したことなかったので、一回待っただけで乗ることができる。サイダーを持ったまま電車に乗りたくないので、駅の洗面所で飲みきれなかった3分の1を捨ててしまう。節約旅行者の私としたら非常に珍しいことだが無理して飲むこともないだろう。座って帰れるといいなぁと思っていたが、今の時間に帰る観光客が後から後から駅に集まってきたので一抹の不安を感じる。でも、待っていた乗り口が良かったのか間単に座ることができた。
4時にスペイン広場駅に戻り、改めて広場を見渡してみたら行く前には目に入らなかった「モンセラット」と言う大きな看板を発見する。なんだ表示があったんじゃんと思うが、これも後の祭りだ。何でも落ち着いて行動しなくては見えるものも見えないと反省する。また歩きでオスタルを目指す途中、今度は別ルートを取ってガウディのカサ・バトリョと写真で見ていた屋上に針金オブジェが乗っている美術館を写真に収める。
オスタルに戻ってからは、いつものルーチン(シャワー・洗濯)のあと、いつものように買い出しに行く。バルセロナを後にするのは2日後なので、そろそろお土産を買っておこうかと考える。私の腰痛が出て難儀したときに劇的な効果があったボルタレンがいいんじゃないかと思いつく。あっちが痛いこっちが痛いと言っている人が何人もいるので、自分用を含めて近くの薬局で5本買う。
オスタルのキッチンで一杯やりながら明日のグエル公園の予約をする。以前は無料で開放されていたというグエル公園だが、少し前から有料になってしまったそうだ。しかもサグラダ・ファミリアと同じくチケットはネットで買う必要があるらしい。面倒だなーと思ってもやるっきゃない。これもやっぱり日本の方がその予約方法を日本語で解説してくれるサイトがあったので大いに助かる。何てことなく明日の13時入場チケットをゲットする。何でも本気で取り組もうとすると自然に道は開ける。叩けよさらば開かれん(か?)
7月27日(水) バルセロナ - グエル公園
私が寝ている部屋に、夜中の2時にチェックインして来た若者がいた。この時間にチェックイン出来るとは凄いオスタルだ。お陰で目が覚めてしまったが、その後またむにゃむにゃする。
グエル公園に入るためのチケットは電子メールで送られてきた電子チケットだ。ここに、入場する日にちと時間、料金が記されているが肝心の本人だと証明するための氏名なんかはない。タブレットに保存したこの画像を見せれば入れるらしいが、同じのを何枚もコピーすることはきっと出来ない仕掛けがあるのだろう。サグラダ・ファミリアもこの方式で入場できたので不安はない。注意すべきはバッテリー切れで電子チケットが見せられないことだけだろう。
今日も朝飯はオスタルの有料朝食を食べさせてもらいお腹を満タンにする。さて、少々離れたグエル公園だが当然、歩きで行く。約4キロなので1時間くらいか。その道順を検討し、まず何度も往復したサグラダ・ファミリアの横をかすめて世界遺産のサンパウ病院の前を通っていくのが分かり易いようだ。そこからグエル公園までがちょっとわかりづらいようだが、近くまで行けばいつも何とかなっているから大丈夫だ。
サグラダファミリアは時間が早いこともありガラガラファミリアだった。と言っても自由に入れる筈もなく、入場するには予約したチケットが必要だ。横目で見てサンパウ病院を目指す。サンパウ病院は外から見るだけでいいやと思ってやって来たが、着いたのと開館時間が一緒でシニア割引も使えるそうなので入ってみることにする。7ユーロで通常は10ユーロ。もちろん一番乗りなので中はガラガラ。ここは広い敷地内に沢山の建物があるが、見学コースも何もないので、自由に中を歩き回って見ればいいらしい。病院だったのが信じられないような夢のある造りで、まるでテーマパークのようだ。
地図を頼りにグエル公園を目指す。こっちかなぁと歩いていくと、看板に「パルケ グエル」の文字があったので気を良くして看板に従って暫く坂を登っていくと簡単にグエル公園入り口まで辿り着くことができる。もう人がわんさか。取りあえず予約したチケットでどこから入れるのか入り口を確認しておくことにする。小さなプレートに11:00~11:30と書かれた立札が立っており、そのチケットを持った人だけがこの時間に入れる仕組みらしい。私のチケットで入れるにはまだ1時間以上あるので、チケットなしでも見られる園内を徘徊する。ここはチケットを持っていなくても、相当の所まで入っていける仕組みのようなのが分かった。広大な公園なのでチケットが必要なゾーンはその一部だけのようだ。グネグネと曲がりくねった有名なベンチもすぐ近くに見ることが出来るが、そこに座るにはチケットが必要らしい。あと、これも有名なトカゲの噴水の所に行くにもチケットが必要で、チケットが必要なところは本当に狭い範囲だけのようなのが分かった。
あちこち見て回ると、アフリカ系の人たちが公園内の道端に風呂敷を広げて盛んにお土産を売っている。サングラス、帽子、ブレスレットにキーホルダー。それと凍ったペットボトルの水を両手に持って1ユーロで売り歩いている人も沢山いて、これは暑いこともあってそこそこ売れているようだ。そしたら一斉にバタバタと走り出したので何事かと思ったら警官がやって来たので逃げたようだ。風呂敷を品物ごとパッとくるんでさっさと逃げられるので合理的。沢山の人たちが商売しているが、みんな違法なんか?
12:30になったらプレートの文字が1:00~1:30になったので早速並んでみるが、並べただけで中には入れないらしい。でも、列の先頭で待つことが出来るので、同じ何でも気分的には上々だ。1時ジャストに入ることが出来る。まず一番人気のトカゲの噴水を目指す。周りに人が結構いるものの、簡単に自撮りで記念写真を撮ることができた。トカゲの前のイスに座っていた女の子がいたので、シャッターをお願いしたらご丁寧に3枚も撮ってくれる。人に頼むと殆どの場合2枚撮ってくれるが3枚は珍しい方だ。デジカメの写真はタダ同然なので何枚撮ってくれてもオッケー。
下のほうに言ってみるとガウディの博物館らしきものがあったが、これはオプションのチケットが必要らしい。その反対側にあるガウディの建物はお土産屋になっていて、これは入場無料(当たり前)なので2階まで上がってみる。すぐ近くには洞窟ぽいおかしな形をした日陰があった。外は日差しが強くとても暑いのだが、ここは別世界のように涼しかった。しばらく座って呼吸を整えてからグネグネしたイスを見に行く。ここでも人に頼んで写真を撮ってもらったら、やっぱり2枚撮ってくれる。
もういっぱい見たからいいかなと、トイレでボトルに水を満タンにして園の外に出てみたら、そこにも道端にキーホルダーを並べて売っている人がいたので7つで10ユーロを買って子供たちその他へのお土産とする。
帰り道ではタブレットのGPSが早く電波をキャッチしてくれたので迷うことがなかった。GPSさえ働いてくれれば細い路地を伝って歩いても何の心配もいらない。道端の店でコーラを買って飲み、お昼を食べたいなと思いながら歩いていると、料理の写真と価格が表示された食堂があったので、値段が手ごろだったので入っていくとここも中国人経営の食堂だった。節約旅行者の私は中国食堂と波長がぴったり合うようだ。今回は滅多に食べない魚のソテーを頼んで見る。スペインでは魚でも肉でも料理には必ず揚げたジャガイモがたんまり添えられてくる。それと勿論ビール。もうスペインを離れるので今日は少し良い物を食べようかと思っていたが結局いつものパターンになった。両方でも7ユーロほどと観光都市バルセロナでは格安だ。昼飯には遅い時間だったので、店の人たちは隣のテーブルで夫婦と娘の3人で賄いごはんを食べ出した。これもまた見ていてほんわかするものがある。
来年歩きたいと思っている銀の道のガイド本が欲しいので、道筋にあった本屋を3軒尋ねてみたが、どこにも置いてなかった。サンチャゴ巡礼の本自体置いてないようなので、巡礼路上の本屋でないとないのかも知れないな。日本でもネットでアマゾンなどから買えるのだが、やっぱり手にとって確認して買いたい。どっちみち日本語の本なんかある訳ないから、確認したいのはアルベルゲ情報と巡礼路が詳しく載った地図なのだ。アマゾンで取り寄せてみたら文字だけだったなんて事態は避けたい。
食料の買い出ししてからオスタルに戻る。今日は随分と歩き回った筈だが、歩数計を見たら39,700歩と4万歩に満たなかった。明日はいよいよ日本に帰る日だ。
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