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おまけ 7月20日(水) マドリッド - トレド
マドリッドのオスタル・コマーシャル。朝飯に8Pチーズ3個とオレンジジュースにパン。ちょっと粗末だ。3日後にまた泊まりに来るので、オスタルのおじちゃんに「アスタ ルエゴ(またね)」と言って8:13にオスタルを出発。トレドへ行くためにアトーチャ駅を目指す。
今朝は久しぶりに小雨が降っている。路面が濡れているので滑ってスッ転がらないように注意しながら歩いて行く。アトーチャ駅へは下り坂が続くので、昨日、オスタルへ向かった時よりは大分早く着くことが出来る。アトーチャ駅は巨大だが、昨日下調べをしておいたので問題なくトレド行きが出る駅の方へ向かえる。
構内の広いところで何やら配っている人がいたが、昨日のこともあるし訳が分からないのでちょっと危険を感じて貰わないでおく。電車の時間を待つ間しばらく見ていると、そこを通る人全員に配っているので貰っても問題なさそうだ。じゃぁとこちらから行ってひと箱貰ってみる。飲み物が3個も入った試供品でずっしりと重い。もの凄い量を配っていて、千セットくらいは配っているだろう。
9時になったらトレド行きのホーム番号が発表されるが、そのホーム番号が書かれた入り口が開かないので近くにいた警官に聞いたら、ずっと回り込んだところで一括してセキュリティーチェックがあるそうだ。急いでそこを目指す。ホーム番号は発車20分前にやっと発表されるのに、そこから一斉にセキュリティーチェックを通らなくてはならないので大変だ。ぎりぎりなら焦りまくってしまうだろう。セキュリティーチェックは空港にあるのと同じ大きな箱に荷物を通すだけなので簡単に済む。ここも形式的にやってる印象を受ける。
列車に乗り込み、自分の予約席を見つけて無事に落ち着くことができる。早速、試供品らしき箱を開けると、ちゃんとしたサイズのジュースが3本も入っていた。味のほうは、ま、タダだからいっかなと言う感じだ。普通の果物ジュースとは違うらしく飲んだことのない味がした。それにしてもこんな立派な試供品を物凄い数を配っているので驚いた。メーカーは相当な力の入れようだ。
私の前の席には中国人の若者グループがいて、大声で喋っているのでやかましい。女の子4人の席と通路を挟んだ席に中国人男子がいて賑やかに騒いでいる。そこへ欧米人夫婦がやってきた。男子が座っている席はその欧米人の予約席だったらしく何か言っている。男子はひとつ後ろの席を指差して「そこが自分の席だからそっちに座れ」とジェスチャーで言っているようだ。夫婦はどこでも同じだろうと言う感じで大人しく言われた席に落ちついたので一件落着かと思ったが、あとから夫婦が座っている席の予約チケットを持った人が登場したので夫婦は中国人青年をどかして本来の席に座ることとなった。青年があっちに座れと言った席は自分の席ではなく適当なことを言ったのが分かった。夫婦に促されて苦笑いをしながら女の子達とは離れた席に移動していった。女の子達は同じように賑やかにやっているが、離れ小島に移動した青年は大人しくしていてザマ見ろだった。最近話題の自分勝手な海洋進出でやりたい放題な中国人の一端を垣間見たようだった。これも一人っ子政策の弊害か。
トレド駅に着くと雨がバシャバシャと降っていたが、うだうだしている間に止んでくれたので一安心する。歩いている時なら仕方ないが、観光中に合羽は着たくない。
大雑把なトレドの地理は頭に入れておいたので、こっちだろうと思う方向に歩いていく。途中、地元の人に「アルカサル?」と尋ねたら「この道をまっすぐで橋を渡りピシューッ」と教えてくれる。他の言葉はともかく、ビシューッだけはハッキリ分かったのでこの道で良いらしい。古い古い橋が登場して、そっから丘の上に上がっていく道が続いていたので、トレドと言えば必ず出てくる展望台は丘の上だからこっちだと上っていくが、途中でどうも違うようなのが分かったので戻ることにする。川沿いに遊歩道が整備されていて、これを歩いて行けばいいらしい。
来る前に見ていた地図では、展望台に続く道は自動車道路かも知れないと心配だったが、歩道が付いた散歩道のようだった。展望台までにはかなり距離があり、普通の観光客は旧市街からプチトランと言う観光用のバスで行くのが普通らしいが、歩くのが平気モードになっている私は徒歩で展望台を目指す。1時間くらいなら歩いてしまうのが一番簡単。
この遊歩道は景色が本当にすばらしく、こんな道をバスや自家用車で駆け抜けるんじゃ本当に勿体ないと思った。中世の街並みはきっとこうだったんだろうと思える景色のただ中を歩けるのだから。感激のしっぱなしで写真をバチバチ撮りながら楽しく歩いていく。
時間にして45分くらいだったろうか、写真を頻繁に撮りながらだったので良く分からないが、ついに有名な展望スポットにやってきた。これこれ、これだよー、何度この風景をテレビや写真で見たことか。最初にこの風景を目にしたのは5年ほど前に見たテレビのスペイン語講座だった。トレドの風景を映しながら重々しいナレーションで 『もし1日しかスペインに居られないのなら迷わずトレドへ行け』と言う格言を紹介していた。そのとき、どんな良いところなんだろうトレドってと憧れたが、実際に自分がトレドに来ることができるなんて夢にも思わなかった。私がトレドを目指したのは、勿論そのナレーションに惹かれてだ。そのトレドの風景の中に今まさに自分がいるんだなと感激する。トレド、来て良かった。
川が蛇行した中にトレドの街があるわけだが、その全景を一枚の写真に収めるのは無理だった。よく見る写真はきっと凄い広角レンズで撮ったんだろうと想像する。大きな観光バスや、プチトランもやってきてはここに停車して行くので、その中の一人に自分のカメラを渡して撮ってもらう。いつもは自撮りばっかだが、ここではやっぱり人に撮って貰いたい。
帰り始めたらどっかの欧米人二人にブエンカミーノと声を掛けられる。私のバックパック姿だけじゃなく、Tシャツのホタテマークを見たかららしい。彼らは今は普通の観光客のようだが、サンティアゴ巡礼の経験者と言うのはすぐ分かった。色々質問された中で今回は3つのカミーノを歩いてきたことを告げると、ビックリしたようで握手を求めてきた。何日間歩いて何キロだったのかと質問される。私は得意満面だ。このTシャツ着てて良かったかな。帰りながらふと道端のプレートを見たら、ここもカミーノのひとつと言う事が分かった。スペインのカミーノ、本当に網の目のようにありそうだ。
超古い石橋を渡ってトレドの市内へ入っていく。道が分からないので凡その見当を付けて石のアーチを潜り、石段を上っていくと、これまた古い建物の脇に出る。美術館か博物館のようだ。そこにあった石の門の前には甲冑姿の像があったが、これはドンキホーテの作者セルバンテスのようだ。
門をくぐるとそこがトレドの中心、ソコドベル広場だった。何か食べたいので広場にあったバーガーキングに入ってハンバーガーにビールを飲む。トイレにも寄ってこうと思って地下のトイレに行ったら、ここの扉には数字ボタンが付いていて、それを間違いなく押さないと開かないシステムだった。その数字はレシートに書いてあるようだが、既にレシートは捨ててしまっていたので、女の子が開けたのに続いて入っていく。中に入ってから男女別に分かれる仕組みで、こういうトイレは初めてだ。
広場には中国人がうじゃうじゃいた。マドリッドにもいっぱいいるし、中国人どこにでも団体で沢山いる。同じTシャツを着て同じ帽子を被っていて一目で同じ団体と分かるようにしている。かつての農協もこんな感じで世界から顰蹙を買っていたのだろうかと思った。
1時半、今夜の宿のサンタ・イサベルに到着する。値段が安いのでオスタルかと思っていたが、本物のホテルだった。部屋にはトイレにシャワーが付属しているから、私としたらこの旅で最高級のホテルだろう。もちろん、エアコンもある。鍵は今時のカードキーだし、カテドラルから歩いて3分と立地も申し分ない。こんな素晴らしいホテルがオスタルと同じ料金で泊まれること自体信じられないほどだ。マドリッドのオスタルは2泊で50ユーロ、エアコンなしの扇風機のみ、バストイレは共同と比べたら、このホテル2泊51ユーロは本当に信じられない。絶対にお勧めだ。おまけに、帰って来てから図書館から借りてきたトレド紹介の本には、なんとこのホテルがただ一つだけ紹介されていた(写真:上の看板にHOTEL
S. ISABELの文字が)。
シャワー、洗濯したが、さすがに歴史的建造物と見まごうホテルのバルコニーに洗濯物は干せんだろうと室内にさりげなく干しておく。連泊なので、明日、室内掃除が入るか知れないから、出かける前には忘れずに片付けとかないとだ。
地図にあった離れたところにあるスーパーに行ってみたが閉鎖されたようだった。でも、ホテルの近くに雑貨屋があったので入って行くと缶ビールが冷えていた。どうせなら1リットルが欲しいので尋ねたところ、ちゃんとあって奥から出してきた。大きなスーパーでは客からは見えない肉屋の冷蔵庫にビールを冷やしてあるし、スペインではなんで見える所に置いておかないのかな?その他を買って5.8ユーロ。Mahouビールは他のより高いけど味は同じ。
7月21日(木) トレド 2日目
ネットで調べたところアルカサルが11時オープンなので、その前に10時オープンのサント・トメ教会に9時半に行ってみる。そこそこ迷ったが無事に入り口まで辿り着く。ここにはエル・グレコの「オルガス伯爵の埋葬」の壁画があるので有名だ。なのでこの時間でも行列を作ってるんじゃと思って早めに行動したが、そんなことはまったくなかったので拍子抜けした。開館15分前になってやっと一人来ただけなので、そんなに人気のない絵なのかな?入場料は休めの2.5ユーロだが、絵がたった1枚あるだけなのでこんなもんか。ま、ガラガラ状態の中でゆっくり鑑賞できたので値段以上のものがあったかな。この絵の下に本物のオルガス伯爵が横たわっているそうで、その石棺も覗くことができる。(撮影禁止なので写真はネットからの頂き物です)
近くにエルグレコ美術館があるので入り口の中まで入ってみたが、開館までにはまだ15分あるそうなので出てきてしまう。エルグレコ、そんなに好きじゃないし。その後はソコドベル広場に戻ってアルカサルへ。ここは軍事博物館が5ユーロで、アルカサルは別料金だったので軍事博物館だけ入ることにする。アルカサル、何があるのか知らないし。とっても不備な博物館で、離れた所にも展示してあるのが見えるのだが、そこへの行きかたが分からないので図書室の中を通って行こうとしたら呼び止められて、ここは一般客は入れないだって。展示物もパリの軍事博物館と比べたら50分の1程度しかないし、大したとこではなかった。ここでの見どころは、古い基礎だけかな?
腹が減ってきたので、昨日と同じソコドベル広場のバーガーキングへ。ハンバーガーはどこで食べても似たような味で面白くはないが、安く食べられるならこっちで一向に構わない。ビールとハンバーガーで8ユーロ。
セントクルス美術館が無料らしいので探してみるが見つからない。長いエスカレーターがあったので、これで下りて行くとあるのかなと乗ってみたら、乗り継いで行く超長いエスカレーターで、行き着いた先を歩いて行くと外に出てしまい、そこは道路に通じていた。そこで、あ、これかと気がついた。トレドは坂の町なので、その上り下りを行き来できる無料のエスカレーターがあったのを思い出した。偶然にも明日帰るための道筋を発見してしまったと言うことだ。
スペイン人に教えてもらって、やっとセントクルス美術館に辿り着く。だが、無料の筈が企画展らしく5ユーロ取られてしまう。残念。エルグレコの絵らしいのが何枚も展示してあったが、エルグレコ・ワークグループとあるので本人の絵じゃないらしい。折角金出して入ったのに余り面白い美術館じゃなかったな。
今日は最後にカテドラルを見てやろうと思っていたが、あんまり暑いので一旦ホテルに戻って休むことにする。ホテルが観光地の中にあるので、こういうときは本当に便利。しかも驚異的な安さだし。
近くの小さな雑貨屋でコーラとファンタを買って部屋に戻ったら、またトレド名物のマサパンが置いてあった。もちろん、タオルや小袋に入ったシャンプー類も新しいのが追加されていた。シャワーを浴びてからコーラを飲んで一眠りする。団体の海外ツアーと比べると、自分のタイミングで動けるし、本当に時間がゆったりと流れていると感じる。
目が覚めたところでカテドラルへ行く。歩いて5分も掛からない。4:20カテドラル8ユーロ。オーディオガイドは日本語がないので借りない。カテドラルはどこも凄いの一言だ。スペインで一番大きいそうだが本当か?あちこで幾つも巨大なカテドラルを見てきたが、どれも大きすぎて比べようがない。ここの目玉はエルグレコの本物の絵が何枚も飾ってあることだ。その中で一番の売りは「聖衣剥奪」で、エルグレコと教会側が制作料のことで揉めたと言う変なことで有名だ。時間の関係か、ご覧のとおり堂内はガラガラなのでエルグレコの絵もゆったりのんびりと鑑賞することができる。これも一人旅のいいところか。絵は専用の部屋の中にあって、正面のちょっと赤いのが「聖衣剥奪」。この部屋には他にもエルグレコの絵が何枚もあった。
ここに日本人のツアーがいたので話しかけてみる。数人しかいないので随分と少人数のツアーだなと思ったら、半日のオプショナル・ツアーでトレドに来たそうだ。あー、そういうチラシを良く目にする。半日で16,000円とか取るヤツだ。その値段は私のトレド2泊3日の全経費より高いかな。一人で来ていると言うと、いつも感心される。初めてのおつかいか!
賑やかな通りにある肉屋で生ハムが挟まったボカディージョを買って、雑貨屋でビールを買おうとしたら戸閉めされていた。え、なんで?数時間前にコーラを買ったばかりなのに。時間的にシエスタでないのは確かだ。他の店も同様に閉まっていたので少し離れた所まで歩いて探してみるが見つからないのでホテルに戻って自販機のビールを買ったところ、これがまたノン・アルコールと来たもんだ。ついてないときはこんなもんだ。
明日はトレドを後に、再度マドリッドを目指す。
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