プリミティボの道1 Santiago - Oviedo 今日からプリミティボ

6月19日
 サンチャゴ、アルベルゲ・メノールの朝。リリアンは今日も一人早立ちしてフィステラの道へ向かった。ギャエレ達は7時にゆっくり出発するようだ。昨晩書いておいたカードをルアンに渡しながら、ルアンはカミーノのグッドフレンドだと言うようなことを伝える。打ち合わせどおりギャエレが隣ですかさず通訳してくれる。変な日本人と過ごしたことがルアンの人生に何かプラスになってくれれば嬉しい。

 ギャエレ達3人は、今日もみんな同じ町に泊まるようだ。また一緒に歩けるなんて、かなり羨ましいけど私はフィステラの道は毎回最後に歩くと決めているので仕方ない。別れ際にギャエレからメールで写真を送ってねと念を押される。最後にハグして今生の別れをする。メルシーボク、ギャエレのお陰で楽しかったよ、ルアンも元気でね。
 見送ったあと、キッチンに下りていって昨日のチョリソー、ヨーグルトにポテチにジュースで簡単な朝飯とする。

 7時55分、メノールを後にオビエドへ行くためのバスターミナルへ向かう。何度か利用したことがあるバスターミナル迄は歩いて20分ちょい。バスは9時発だが大事をとって早めに出発する。交通機関を利用するときはいつも早め早めに行動している。何せ言葉が分からないから巨大なターミナルでオビエド行きがどこから出るのか余裕を持って確認しなくてはならない。オビエドまではバスなら6時間くらいかな?そこから268kmの道のりを半月がかりでサンチャゴまで戻って来るのでアホみたいかな?

 プリミティボの道は昨年歩いた北の道が途中で分かれてサンチャゴを目指す道だ。昨年私はプリミティボとは別のルート、ラ・コスタの道を歩いてサンチャゴへ到達したので、どうしてももう一つの道であるプリミティボの道を歩きたかった。プリミティボの道はその殆どが山岳地帯らしいので、なるべく一日の距離を短くしたいが、それもアルベルゲ次第だ。

 ターミナルには続々と大きなバックパックを背負った巡礼がやってくる。国へ帰る人のほかに私みたいに次のカミーノを目指す人もいるかもしれない。でもオビエドへ行く人はいないようだ。バスは北の道のスタート地点イルン行きで、その途中にオビエドがある。9時に出てイルンへは夕方の6時に到着らしい。12時間の長旅か。でもサンチャゴからイルンへ乗り換え無しで行けるのなら、2本目のカミーノに北の道を歩くことが簡単に出来るんだな。それならいつかやってみたい。


 バスのフロントガラスにはこれから行くオビエド以外、私が行ったことのある地名が全て記してあった。ア・コルーニャ、オビエド、サンタンデール、ビルバオ、サンセバスチャン、イルン。どれも懐かしい地名で、このバスは北の道に沿って東へ行くのが分かった。スペインのバス路線は本当に充実しているのを実感できる。

 気持ち遅れて9時7分に出発。眺めの良い前から2番目の席をゲットする。隣には誰も座らなかったのでゆったりバスの旅が楽しめそうだ。途中から雨になったが1回休憩を挟んで10時にア・コルーニャのバス停に到着。ここで沢山の人がドヤドヤと乗り込んできた。そしたら私がゲットして喜んでいた席はシスターの予約席だった!えっ、どこに座ってもいいんじゃなかったのか。何となくチケットを見ていた時に番号が打たれていたのでそんな気がしないでもなかったが乗り込む時には忘れてしまっていた。じゃぁ私の席はどこなんだとチケットを通路隣の女性に見せたところ、なんと運良くこの女性の隣の席だと言われる。間違えたと言っても偶然通路を挟んだ隣の席に座っていたので運が良かった。

 ア・コルーニャは大きな町だった。バスはWi-Fi付なので車窓から市内をタブレットで撮ってア・コルーニャに住んでいるアナのフェイスブックに貼り付けたらすぐレスが付いて「Ohhh...You shold vist me !!!」と書き込んでくれた。ありがたいが途中でバスを降りる訳には行かないのが残念だ。アナは昨年のフィステラの道で仲良くなって数日を一緒に行動しためっちゃ楽しいスペイン女性だ。フェイスブックをやっている欧米人は沢山居るので簡単に縁が繋がることができる。コルーニャはサンチャゴから僅か100kmなので、いつか訪問してみたい。

 エアコンが効いて快適なのに加え、心地よい揺れで何度も居眠りをしてしまう。やっぱり疲れているのだろう。いつも眠りが浅いほうだし。

 2時半にオビエド到着。バスのトランクからザックを引っ張り出すときに、地図入れが引きちぎれ紛失してしまった。これはザックに吊るして歩きながら地図が見られるので便利。でもスペアのチャック付きビニール袋があるので、今度はこっちの出番だ。スペア持ってきて良かった。

 オビエドは巨大な街だった。大きな街でも巡礼路を追ってくると何とかなるが、いきなり街のど真ん中にほっぽり出されると右も左も分からないので途方に暮れる。こんなときはタブレットの出番だ。オビエド駅前を通りカテドラル方面への表示も現れるが、今は何より先にアルベルゲだ。大きくて複雑な町だけど、GPSが良く働いてくれて間違うことなく公営アルベルゲの前まで到達できる。

 来る前にネットで見た通りの建物だったが、ここは見てすぐ分かるほど工事中だった。もちろん閉鎖中。どどどどーしてくれるんだよ。オビエドのデータはここしか登録してないから今晩の宿の当てがなくなってしまった。困ったなー、他にアルベルゲの当てはないし、Wi-Fiが無いから探すことも出来ない。来る途中にイビスの安目ホテルがあったから最悪そこに泊まるかと思案していると、近所の男の子が寄ってきた。え?何だろな。そのお婆ちゃんらしい人が離れた所から何か言っているので行ってみよう。オビエドにはもう一軒アルベルゲがあるのを教えてくれる。暗闇に灯火を見つけた心境だ。

 大雑把な方向を教えてもらい歩いていく。でもかなり大雑把なので、ところどころ途中の人に聞きながら段々と近づいて来た気がするが見るまでは安心できない。ベンチでお喋りしていた3人組の若者に聞いたときは私の予想とは逆の方向を口を揃えて言い出したが、スペイン人あるあるなので信じなかった。離れたところに移動して店の人に聞いたら、この人はアルベルゲを知っている人だった。やっぱり3人組は真逆を教えていた、信じなくて良かったこと。

※お役立ち情報
 スペイン人は知らなくても道を教えたがる傾向があります。悪気はないのですが困ったものです。でも雰囲気から曖昧なことを言ってるなと分かるので、複数の人に尋ねて総合判断するのが身のためです。

 教わったとおりに歩いて行くと、すぐアルベルゲの看板が現れたので超安心する。合計5ヶ所で聞いてきたことになるかな。お陰で無事にアルベルゲの門前に到着することができた。来てみるとここも下調べしていたときには写真で見ていたアルベルゲだった。でも先の一軒に必ず泊まれると信じ込んでいたのでタブレットには登録していなかったのだ。やっぱり調べた内の90%が無駄骨になったとしても出来る限りの事前調査は必要だと思い知る。

 アルベルゲの塀と扉は要塞のような頑丈で物々しいものだった。インターホンを押すと遠隔操作で遠くからガチャンと開錠してくれる。入ってからも石つくりの通路を上がっていくという砦のような構造に若干びびる。建物の中も無骨で修道院を改装した感じ丸出し。受付には意外や2、3人の人が待ち構えていて、ここはプリミティボの道のスタート地点だから大勢が泊まりに来るのが想像できる。

 無事にチェックインを済ませてあてがわれた部屋はすこぶる古いもので窓には鉄格子まではまっている。そこには東洋人の顔が。テレビ以外で香港人を初めて見た。知っている中国語はニーハオ、ハオツーとシェーシェーだけなので、謝謝と言ったら謝謝は中国の言葉なのでノー謝謝だとのこと。香港って中国語を喋るんじゃないのかい。イギリスに統治されてたからひょっとして英語?何かと世間を騒がしている中国が大嫌いのようだ。私ももちろん今の中国政府は嫌いなので大いに同意する。

 シャワー、洗濯後にスーパー探しで遠くまで足を運ぶが折角見つけたスーパーDIAはシエスタやってた。大型チェーン店なのにDIAの営業形態は色々のようだ。地下道を通ってもう少し先まで歩き、四畳半ほどの小さなパン屋を見つける。揚げパンみたいのがあったので興味深く見ていたら女の子が何やら説明してくれたので、意味は分からなかったけどひとつ買ってみる。それと麦芽パンとクリームパン、パン屋だけど缶ビールも売ってたので2本。それでも5ユーロもしなかった。今日は一日粗食だ。

 アルベルゲは古かったが使えるWi-Fiがあったので喜ばしい。Wi-Fiがあるとメールとフェイスブックの他に次ぐ日からの巡礼路の情報収集に大いに役立つ。オビエドは巨大な街だけど明日のカミーノが分からないので、みんなが出発する時間を狙って付いて行く作戦を考える。


プリミティボの道2へつづく