プリミティボの道2 Oviedo - Grado プリミティボは山岳の道 6月20日 5時40に起床。キッチンに移動してスープを作りパンを浮かべて朝飯にする。粗末な食事継続中。キッチンにいたイタリア人が小さなチョコパンをひとつくれた。 同室の香港人は今日も愛想がいい。私を「センセー」と呼ぶようになってる。日本人は先生と呼べば機嫌がいいんだとどっかで教わったのだろうか、良いような悪いような習慣だ。 ベルギー人がいたので、銀の道で仲良しになったベルギー夫婦が書いてくれた住所付きのサインを見せたところ、住まいが自分ちから近いそうだ。世界広しと言えども色んなところに接点がある。 6時になったら部屋の明かりを点けて全員が行動開始。たぶんここにいる全員が今日からプリミティボの道を歩き始める。 巡礼路が分かってないので、誰かが出発した後を付いて行く作戦が失敗して殆どの人たちは既に出発した後だった。まぁ取りあえずアルベルゲを出たら左に歩いて行けばいいのだけは分かっているのでそうする。散歩中の地元のおっちゃんに一度教えてもらい歩き続けると、運良く道端に矢印を発見する。これで一安心。一度見つけるととても丁寧に道のあちこちに矢印が沢山描かれている。オビエドはプリミティボの道のスタート地点なので矢印も親切にいっぱい描いてくれてるのが分かる。ありがたや。 結局、街を抜けるのに1時間掛かってしまった。街外れの小さな駅前にあった陸橋を越えると、そこからは早速山道が始まった。さすが山岳のカミーノだ、看板に偽りなし。女性巡礼が一人前を歩いているのが目に入る。でも若者は年配者はお呼びじゃないので適当に距離を保って後に続く。 前方の谷には濃い靄がごっそりと滞留しているのが見えてくる。幻想的でなかなかの風景だ。日本の天空の城何とかと言うのを思い出した。方向からしてあの中に入っていくのかな?どう転んでもこの先下ってからまた上る道中にしか見えない。 8時45、山の中の小さな教会にスタンプが置いてあった。この辺りから巡礼者が前後にいるようになり心強い。プリミティボの道では滅多に会わないかと思っていたが、予想より歩いている人がいそうな予感がする。 山道を抜けると舗装路が出現して、後半は舗装路歩きになる。小さな村にあった小さな店に入っていったら肉屋だった。店に人がいないなと隣の部屋を覗きこんだら、おばちゃんは大きな豚の解体中だったのでギョッとする。こんな所で解体作業をするのか、衛生面なんか考えないようだな。ファンタオレンジとカステラに生のオレンジを1個買っておく。ついでにボトルに水をもらっておき、店の外で背中のタンクに移し替える。水道は解体の近くじゃなくて店の中から汲んでくれたのでちょっと安心した。 昨日のアルベルゲで一緒だったアメリカカップルも店に寄って来た。人の名前を覚えるのは苦手だが、この女性は一発で覚えられた、自分からインディラガンジーのインディラと言ったから。顔もインド人そのものの顔をしているからインド系アメリカ人と言うところか。男の方はアストンで、アストン・マーチンのアストンと覚えるようにしたが時々忘れる。この二人とは行く先々で会うようになる。 山の中でイタリアの女の子がトイレタイムを始めたので気がつかない振りをして通り過ぎる。こっちも気を使うのでもっと奥に入ったところでやって貰いたいもんだ。前後に人が居ないか確認も甘いし、欧米人はこういうの余り気にしないのかな。 村のバルで昨日の香港人他二人が休んでいて、テーブルに誘ってくれたので冷たい飲み物を注文する。相変わらず私を「せんせー」と呼んでいる。ここはみんな2,30代と若い。後からさっきのイタリアの子ともう一人やってきてテーブルは賑やかになった所で出発する。同じタイミングでスペイン人のおっちゃんがスタートしたので必然的に一緒に歩くようになった。若い子達5人がまだバルにいるので大分抜かしたことになる。アルベルゲがある目的の町が近くなってきたので下段ベッドが取りたい私には重要なポイントだ。 バルで出してくれたファンタに大きな氷が2個入っていたので、背中のタンクに入れておいたところ、この冷えた水が劇的に旨かった。チャンスがあったら是非またやりたい。 おっちゃんとは一緒に歩いていても大して話はしない。こっちがスペイン語を片言しか話せないのが分かってるので面倒なんだろう。分からないスペイン語でやたらと話しかけられるよりこの方がいい。 大きな町に入ってきたが、矢印どおりに進んでアルベルゲに到着。まだ1時15なのでオープンの2時には大分ある。先着が一人いて、その横に地元の少年が一人いるが、この子は友達を待っているだけだった。その後、香港人とベルギー人も到着して時間通りに2時オープン。 オスピタレラの二人は感じが良く、ウェルカムドリンクにはレモン水を振舞ってくれる。ここはドナティーボ(寄付)に加え朝食を出してくれるそうなので寄付箱には10ユーロを入れさせてもらう。ベッド代は普通5か6ユーロで朝食はバルで食べても3ユーロが平均なので10なら気持ち大目ってところだ。 シエスタやってないスーパーを教えてもらって炎天下を百均サンダルでぺたぺた歩いて行く。大き目のスーパーに好物のバケツ野菜が何種類もあったのが嬉しい。久しぶりに生ハムも買って、いつもの1リットルビールにファンタレモン。次ぐ日用にオレンジジュースとヨーグルト4で5ユーロと少し。今回もお安くなってます。レジ袋を提げて歩いていたら女性の巡礼がいたので、アルベルゲに行くのなら連れてって上げようと思い「アルベルゲ?」と言ってみたけど次の村を目指すそうで行ってしまった。炎天下の上もう3時になると言うのに元気だなぁ。 アルベルゲのキッチンで、バケツ野菜の中に生ハム、パンも投入して一食分の完成。ビールと共に至福の時間だ。明日朝の朝食はアルベルゲで出してくれるので気楽。 オスピタレラが呼んだので行ってみたところ、これからパンの残りを羊の群れに上げるイベントだそうだ。金網のこちら側から30mほど離れた羊の群れに声を掛けるのだが、全員こっちを見てるのに中々やってこない。そのうち、1頭がそろそろと歩きだしたらそれが引き金になって全員が雪崩を打ってやって来た。それからは金網の向こうでパンが欲しくて大騒ぎ。たぶん、昨日今日始まったイベントじゃないだろうに羊ってやっぱり臆病なんだな。それとも昨日のことも忘れてしまうバカなんか。 玄関には「満員 次のアルベルゲ4km ごめんね」の紙が貼り出されてしまったが、8時近くなってから3人の巡礼者が到着してきた。いくら歩く人が少ないプリミティボの道でも8時まで歩いていちゃいかんだろう。当然のことながらベッドはなかった。夫婦ものには4km先のアルベルゲを紹介していたが、どうするか?40代の男性は入り口外にあるベンチで暫くスマホをいじっているのでオスタルでも探しているのか?8時20にまた二人やって来た。甘すぎるよ。しかも二人ともナップザックだから本当の巡礼とは違うのかな。ここは16ベッドしかないことを知らないのかね?でも若いカップルだからいいや、何とかするだろう。スペインの宿は部屋貸しなので二人で泊まれば安上がりだし。 昼間は31度あったが8時を過ぎたので27度まで下がってきた。ここのベッドルームは風通しが悪いので、今晩は寝苦しそうな気がするな。 1組の5本指靴下の穴が巨大化してきて、いよいよ危なくなってきた。でもまだ履けるから捨てない。スペインには5本指は売ってないしマメ対策には絶大な効果があるので貴重品だ。無事なのがまだ他に2組あるがプリミティボの道を歩き始めたばかりだし、そのあとにムシア、フィステラを歩く予定なので持たせるだけ持たせる。 プリミティボの道3へつづく |