プリミティボの道3  Grado - Cornellana  素敵なアルベルゲ

6月21日
 優しいオスピタレラのいるグラドのアルベルゲ。ありがたい朝食付だ。パンにコーヒーそれにジュースと、スペインではこれが平均的な朝食。ありがたいが日本人には物足りない。

 7時10にスタートする。山の中の町なので最初から上ったり下ったりの連続だが体力・気力とも充実しているので苦にならない(つもり)。

 写真は朝の山越えで見かけた大型オレオ。高床式でネズミ返しが付いている。高台にあるので、ここのベランダから見下ろす景色は中々のもんだろな。

 この近くの家にホンダのインテグラが停まっていて、主が隣にいたので車を指さしながら「オンダオンダ」と言ったら「オンダは良い車だ、これで2台目だ」と誇らしげに言っていた。スペインには日本車がとても多い。あと大型オートバイは殆どが日本製。世界中からやって来る巡礼が持っているカメラも殆どが日本製。でも日本人にはもう2か月会っていない。独り言で日本語は喋っているが会話ができない。


 山の中を2時間ほど歩いて人里近くなったら工事中の道路が現れる。その前方にインディラとアストンのカップルを見つける。インディラは歩くのが遅いので、いつもアストンが歩調を合わせているのが分かる。後でフェイスブックを見て分かったが、この二人は若夫婦だった。もしかしたらハネムーンでサンチャゴ巡礼に!?

 Doriga村の教会に手ごろな日陰があったので持参のジュースとカステラでエネルギー補給をする。近くの自販機にCornellana村まで3.2kmの表示があった。まだ幾らも歩いてないけど、もう今日の目的地が近いようだ。

 昨日は初日なのでショートコースにしようと思ったけど結局普通に歩いたので今日は本当に11kmのショートコース。前からこのCornellanaのアルベルゲに泊まりたかったので辻褄を合わせる。なぜならここは廃墟の修道院を一部改装したアルベルゲで、いかにも雰囲気たっぷりだから。

 10時15に件の村に到着。村の大通りをカクンと左折すると大きなスーパーが目に飛び込んでくる。お、いいねいいね、村は小さいけどこんな大きなスーパーがあるよ。買い物が楽しみだ。更に進むと前方に大きな建物が現れてきた。あれが今晩のアルベルゲらしい。しかし余りに大きすぎてどこから入っていいのか分からないでいると、2匹の犬を連れたセニョーラがやってきたので「アルベルゲアルベルゲ」と聞いてみると、この人がオスピタレラだった。凄い偶然。セニョーラは何処かに行く予定だったようだが、私を伴ってやって来た方へ戻って行ってくれた。

 大きな建物を右から回りこんで行くと頑丈な鉄の扉が行く手を遮っていた。鍵も掛かってるようなので、どうやって開けるのか興味津々で見ていると、端っこの鉄柱に取り付けてある鍵を差し込む突起をグルッと回転させるとあーら不思議、大きな扉がガガガガガと言う音とともにスライドし出した。へー、まるでアラジンと魔法のランプみたいだ。鍵穴はあるが鍵は必要なかったのだ。おまけに閉め方もご丁寧に教えてくれたので、一人でも出入りが出来るってことだ。


 門はすこぶる古く数百年前の物のように感じた。門を潜って入ると広ーい中庭があって、建物がコの字形に配置されている。ベッドルームと管理棟は反対側に配置されていて、もう1方は昔のまま残されているようで入ることは出来なそうだ。ここは5ユーロ。

 こんな古い建物だけど、ちゃんとWi-Fiもあった。でもパスワードは合っているのに接続が難しくて5回目にやっと成功する。ベッドルームは大きなのが2部屋あって好きなものを選べば良いスタイルだった。キッチンは管理等にあるので広い中庭を歩いていく必要がある。私のペラペラサンダルでは庭に敷き詰められた小石が痛くて仕方ないのでヒョコヒョコ歩きで行き来することになる。

 シャワー、洗濯してから来るときに見つけたスーパーへ買い物に出かける。ちょっと歩くけどこの位は朝飯前だ。ATMもあったのでそろそろ軍資金を追加しておこう。このATMは珍しく自分で金額を指定できるものだったので、いつもは300ユーロ固定だが初めて400と数字ボタンを押してキャッシングしてみる。贅沢しなくっちゃ20日間は賄える金額なので、もしかしたらスペインで最後のキャッシングになるかな?

 大きなスーパーなのでバケツ野菜も置いてあった。それに定番の1リットルビール、ヨーグルト4、桃の缶詰、コーラにセブンアップ、肉団子、チョコパン、髭剃り6本で12.65ユーロと、軍資金もたんまりあることだし大量買いをする。アルベルゲに戻って2ヶ月ぶりに髭を剃ってみる。今日も暑かったので久しぶりにサッパリする。

 スーパーから戻ってくるとベッドルームにはバックパックが2つ増えていた。誰か後続の巡礼が到着してきたらしいが顔が見えないので昼飯でも食べに行っているようだ。その後、フランス親父の3人組が私のベッドルームにやって来た。いびきが心配になったが、この人たちは静かなものだった。

 肉団子を暖め冷凍庫に入れておいたビールで乾杯。桃缶もあるし中々豪華だ。現金も手に入ったし今日は給料日か?

 食べながらカミーノ情報を知らせてくれるEROSKIのサイトに接続して明日からの情報を仕入れる。地図やアルベルゲ情報は日本にいるときにチェックしていたが、山岳の道なのに高低表をチェックしてなかった。ここでは高低表が凄く大事なことに今頃気づいてしまった。持ってきた紙の地図の中に毎日の高低表を手書きでせっせと書き込んでおく。

 このアルベルゲは予想したとおり凄く良かった。ベッドの間隔は広く取ってあるし各ベッドにはコンセントにライトまで用意されている。キッチンもシャワールームも満点。ただ、アルベルゲとしてリニューアルしてある所は全体の2割くらいだろうか、それ以外は壊れっぱなしの窓や扉など、荒れ果てたままでお化け屋敷みたいなのが少し気になった。鎖を引きずって歩く幽霊の話が出るのはこういう所じゃないのかね。素敵なアルベルゲが「素敵な金縛りアルベルゲ」にならなきゃいいが。(知ってる?)


プリミティボの道4へつづく