プリミティボの道12 LUGO - Guntin もう急坂はおわり 6月30日 朝飯にパン、ヨーグルト、コーヒーを飲んで8時にスタートする。バックパックをアルベルゲの中に置いたまま空模様を見ようとちょっと表にでたら扉がロックされてしまう。朝から幸先が悪い。少し待ったら入り口にイタリア人のアウレイリオがやってきたので開けてもらう。大笑いされてしまった。彼らはもう1泊ここルーゴに泊まってフィエスタ(祭り)を見るそうだ。公営アルベルゲは連泊できないので私営に泊まるらしい。城壁の町Lugoの祭りかー、町のアチコチに中世の格好をしたポスターが貼り出されてたのでちょっと心が動く。どこの私営に泊まるのか教えてもらったが、やっぱり先に進むことにする。 町の中なので巡礼路が分かりづらいが、取りあえずの方向だけは押さえてあるので歩き出すと、何日も一緒になるスペインカップルが前を歩いていたのでこれ幸いと後に続いていく。広場には祭り用の大きな舞台やテントが張られているので、今晩はさぞ見ものだろう。道路には昨夜の酔っ払いが割ったガラス瓶が何本もそのままになっているのが気になるな。カップルも立ち止まってはルーゴの立派な城壁をカメラに収めているので、写真を撮りたい自分にも都合がいい。 町の境なのだろうか、中世時代のような石つくりの長い橋が現れた。袂にはローマ軍の兵士みたいなオブジェがあるのでローマ時代に作られた物なのかも知れないが良く分からない。そこを過ぎると大きな川沿いに近代的なアスレチックぽい施設があった。屋外プールに室内運動場、カヌーの練習場らしいのまである。そこを過ぎると本当に郊外になってあとはいつもの寂しい道となる。 日記に何も書いてないので、あいだはスッ飛ばして今日の目的地が近づいてきた。事前に調べたとおり、小さな雑貨屋がポツンとあって、アルベルゲはこの先1キロにあると言うことだ。この店で買い物してからアルベルゲに行けば戻ってこなくてもいいが、アルベルゲにキッチンや食器があるか、電子レンジがあるかを確認しないで買い物するのは心配なので、確認してからまたここまで戻ってこよう。車1台がやっとの細い道で緩い上り下りが続くが今までの山道を考えれば楽勝。 12時、私営のアルベルゲがまずあって、そこから100mの所に公営のアルベルゲがあった。どちらのアルベルゲからも互いの建物が見えていて、二つのアルベルゲ以外の建物がない珍しい環境。私営の入り口にはスペイン親子3人組がいるので今日はそっちに泊まるのだろうか。でもすぐ公営の方にやって来て、私営は20ユーロもしたと驚いていた。そりゃ確かにバカ高いな、普通の私営なら10ユーロだろう。 私営は日当たりのいい広場に建っているが、こっちの公営は高い木々に囲まれているので陽が当らずジメジメしているのが難点か。スペイン家族と暫く待っていると、オスピタレロが車でやってきて扉の鍵を開けてくれる。中は2段ベッドがたったの6台とこじんまりしている。3台ずつ離れてベッドが置かれてあり、その真ん中にキッチン兼食堂兼レセプションと本当に小さなアルベルゲだ。天井には自然のままの梁がぐねぐねと波打っている。トイレ、シャワーは外に出てから別の棟に用意されてるので、夜中に一度トイレに出かける私には有難くない。 今日は大して汗もかかなかったし、石鹸なしでお湯のシャワーだけ浴びて洗濯はスルーする。スペイン家族は近くの私営アルベルゲに9ユーロのお昼を食べに行ったが、やっぱり9ユーロは高いので節約することにする。明日の行動食も必要だし1キロ戻って買出しに行ってこよう。バックパックを背負ってなければ戻るのなんか苦にならない。 この雑貨屋はバルも兼ねているので、ビールを2つ欲しいと言ったらビンを出してきたが持ち帰るんだと言ったら缶に換えてくれた。パン1袋に大きな豆のビン詰め、チョリソーとチーズを3枚ずつカットしてもらう。田舎の小さな店では、このように大きな塊を切って量り売りしてくれる所が時々ある。全部で5ユーロと少し。アルベルゲに持ち帰ってチョリソーを小さく切って豆と一緒に煮てスープを作る。 買い物途中、インディラ組はじめ10名ほどの巡礼と行きかうが、みんな私営に入ったのか誰も公営にはチェックインしてこなかった。帰り道、一人で歩いていたフリアンにばったり。お喋りしながらアルベルゲまで来たが、フリアンもやっぱり私営に入って行った。公営にはイタリア人のアウレイリオと一緒に初顔のオランダ人がやって来た。アウレイリオはルーゴに連泊してお祭りを見ると言っていたが、止めにしたようだ。そういえば一緒にいる人は朝も一緒にいたなと思い出す。この人はオランダ人で名前をピーターと言ったのですぐ覚えられたがアウレイリオの名前は中々覚えられない。それに時々一緒になる長身のスペインおばさんがやって来た。すんごく足が長くスタイルだけならモデル並だ。 私営アルベルゲ泊まりのフリアンがワインを飲もうと迎えにやって来たので行ってみる。私営には沢山の人たちが食事をしていて、室内は明るくて凄く賑やかだった。陽の当たらない公営からやってくると、何だか別世界にやって来たみたいだ。ここには公営にはないWi-Fiがあったので自分のアルベルゲまで戻りタブレットを持ってきてメールチェックとフェイスブックの投稿をやっておく。 フリアンはでっかい声で良く喋るので周りの人達も釣られて笑っている。アウレイリオとピーター達もやって来て一杯やっている。この辺りには1キロ戻らないと店もバルもないので、公営に泊まった人も全員やってくる。フリアンはここでも飲むのはワインでなくトニカだった。フリアンはトニカが大好きなようだ。最後にタルタデケソ(チーズケーキ)は好きかと言うので食べてみる。今日こそは奢り返してやろうと思ったがまた奢られる。 明日は28.2km歩いてメリデだ。いよいよフランス人の道と合流する。巡礼銀座のフランス人の道なので日本人に出会うかな?もう2ヶ月以上日本人に会ってない。メリデ名物のタコも食べなくては。メリデの公営アルベルゲは巨大なので遅く着いても余裕で泊まれるのも安心材料。 プリミティボの道13へつづく |