プリミティボの道14  Melide - Pedrouzo  軽装の巡礼者

7月2日
 今日はドミンゴ日曜日。昨日から買い物注意報を発令している。メリデを7時調度に発ってひたすら歩く。道端に寄付で食べ物を提供している屋台が店開きの準備を始めていた。品揃えが素人臭くないので、既に商売として成り立っている感じがするな。屋台の張り紙には「セジョ(スタンプ)もあるよ」とアッピールも忘れない。近くには、ここんちで飼っているらしい大人しい犬が一緒にいた。一日に何百人も通るであろうここでは、犬も必然的に行儀が良くなるのだろう。どこの犬もこうあって欲しいと切に願う。じゃなければ全部繋いどいてくれ。

 前を親子3人組が歩いていた。親父さんと一緒なのは男の子は小学校、女の子は中学生くらいか。女の子は膝を痛めたようで大きなサポーターを巻いている。足を引きづりながら杖をつき、一生懸命に歩いているのが遠目でも分かる。おめでとう、今は辛いだろうが、きっと親子一生の思い出になること間違いなしだろう。追い越しながら挨拶したら、女の子はとても明るかったので安心した。

 2時間ちょっとでRibadixo da Baixoの村に到着する。よく人のブログで紹介されている特長のある古い橋が現れて、その袂にバイショのアルベルゲがある。橋もアルベルゲも石作りでとても趣がある。ここのアルベルゲは人気だそうなので一度泊まってみたいが、今回は距離の関係で無理だ。来年は坐骨神経痛が酷くなかったらマドリッドの道を歩きたいと思っている。マドリッドの道はレオン60km手前のサアグンでフランス人の道と早めに合流するので上手に距離を調整したらバイショに泊まれる可能性が高い。それをするにはメリデはタコを食べたら素通りになるのだが。

 アルベルゲを中心に土産物屋や私営アルベルゲやバルが数件建っているので、ここだけ観光地の雰囲気を感じる。人気のアルベルゲにあやかって出来た村みたいだ。ここからの道は大した上り下りもないと記憶していたが、結構な坂が連続していた。たった2年前なのにいい加減なもんだ。

 続いてArzuaの町へ到着~。アルスアは北の道が合流する街でとても大きい。町の大通りには北の道が合流する所にツーリスト・インフォがあるが、今日は日曜日なのでお休みのようだ。去年はあっちからやって来てフランス人の道と合流したんだなと西から接続する道の先を眺める。ここからは大通りから離れて狭い道に巡礼路は続いている。すぐにアルスアの公営アルベルゲ前に到達するが、さすがにこの時間では誰も順番待ちをしていなかった。1年しか経っていないのに、すぐ近くには巡礼客を見込んだ新しいバルが数件出来ていた。


 ここからの道は3年連続で歩くことになるが、やっぱりサンチャゴ114km手前の町、サリアからスタートしたと思われる軽装の巡礼が沢山いる。ナップザックをひょいっと肩に掛けてたり、水のボトルだけだったりの人たちがいっぱい。故障を抱えてる身には、あんだけ軽装だと歩くのが楽そうだなと羨ましいが、大きな荷物を背負っている誇りも少しだけあるようなないような。ただし、普通の人が100㎞を歩こうと決心するのは相当なもんだろうと言うことを忘れてはいけない。ユメユメ侮(あなど)ることなかれ。

※お役立ち情報
 ってほどのことでもないですが、100km歩く場合でも足まわりが弱いと右端の人のように膝を痛めます。痩せてる人もメタボの人もいっぱいトレーニングして足に筋肉を付けてから挑戦するのが身のためです。ついでに、よっぽど履きなれた人以外ハイカットの登山靴は止めた方がいいです。ウォーキングシューズやスニーカーの方が適しています。

 ペドロウソの町の手前では巡礼路の表示に従わずに舗装路をまっすぐ歩いてしまうとアルベルゲまでショートカットが出来るのだが、私はそれを知らずに2年前は四角形の三辺を辿るように盛大に大回りしてたどり着いたことがある。それが分かって昨年からはショートカットを歩くようになったが、今年は多くの人たちが秘密のショートカットを知っていて同じように舗装路をゾロゾロ歩いていたのには驚いた。もうこの道も広く知られることになりガイドブックで紹介されてるのだと推察する。ちょっと残念な気持ちになる。

 31km元気に歩いてペドロウソのアルベルゲに2時40に到着。6ユーロ。既に1時にオープンしているので誰も待っていなくて快適にチェックインできる。アルベルゲは3回目にしてやっと1階(スペインでは0階)のベッドルームを割り振られた。そっか、遅目に到着すれば1階になるのか。今まではオープン前に到着していたので、それで2階のベッドルームになっていたのが分かった。ここは150ベッドもあるアルベルゲなので遅く到着してもベッドにあぶれることはないから、次も少し遅めに到着するのが良さそうだ。

 少し後からモンセラットも到着してきた。この子は私より14km短い距離を歩いた筈だが、どこに引っかかっていたのだろう。ベッドは私とこから近い上段になった。ガリシア州では若い子はいつも上段を割り振られることが多い気がする。

 疲れが溜まってるようで、途中からスピードがガクッと落ちてしまった。今日は日曜で買い物がしづらいのでいつもより食料を持っているのも疲れの原因。主食副食の他に飲みかけの1リットルワインとファンタオレンジまで持ってるのでずっしりと重い。途中でエネルギー補給だと村のバルでビールを飲んだついでに持参のワインまで飲んだのも敗因か。やっぱり歩きの途中で飲むのはほどほどにしないといけない。次からはビールだけにしとこう。

 アルベルゲの隣にはスーパーがあるが、今日は日曜なので休みだ。3回泊まって2回が日曜日って不幸の確立が高すぎる。こんな日は手持ちの食料は貴重なのでたまには店で食べるかと近所のバルに入ったものの、やっぱり安めのハンバーガーセット。ここんちのWi-Fiを登録しといて後でも暇つぶしにネットをしにやって来よう。スーパーが休みなので、このバルでコーラ、ファンタとピーナッツを1箱帰りに買って帰る。3つで3.8ユーロ、スーパーの倍かな。すぐに飲まないファンタは冷蔵庫に入れておく。

 東洋人の女の子がいたが、整った顔がコリアンに見えたので話しかけなかった。でも目の前で見たら日本人らしいので話してみたらやっぱりそうだった。4月26日に成田を発って一度も日本人に会ってなかったので69日振りの日本人だ。サンジャンから一人で歩いてきたそうだが、こういう子は道連れには事欠かないだろう。そのあと町に食事に行く時には数人の取り巻きを従えていた。とても可愛い子だったので周りの男がほっとかないのは容易に想像つく。年配者はお呼びじゃないので、その後は話しかけることは止めといた。

 モンセラットは明日は5時に出発してサンチャゴを目指すそうなので、お別れしにやって来てくれる。私の明日はサンチャゴ手前のモンテ・ド・ゴソ泊まりなのでもう会うことが無いのが分かっているから、和風マリアカードにサインして進呈したら凄く喜んでくれたので持ってきた甲斐があった。フェイスブックのアドレスを交換してハグして一旦バイバイする。


プリミティボの道15へつづく