フィステラ・ムシアの道1  第三部スタート Negreira

7月2日  日本出発から72日目
 今日からサンチャゴ巡礼第三部フィステラ、ムシアへ向かう。このルートは一ヶ月二ヶ月を歩き続けてサンチャゴ巡礼を果たした人たちが「おまけ」みたいな感覚で訪れる道なので、今までと違って気楽な気持ちで歩くことができるのもこの道の魅力かも知れない。距離もフィステラまでなら約90キロ、ムシアまで足を延ばしても120kmなので手頃感が感じられる。

 AM.6時、ごそごそ動き出して準備を始める。キッチンへ降りていったら既に扉は開いていたので冷蔵庫にしまっておいたヨーグルトを2個とキッチンに置かれていた大きなプラボトルに入っているコラカオの粉をカップに入れて飲ませてもらう。有るのは何でも飲み食いしちゃう。

 7:05、出発。メノールを一歩出たらいきなり霧雨だったので、すぐ中に戻ってバックパックにカバーを掛けて再出発。数人の巡礼がフィステラ目指して歩き始めていた。フィステラへ歩くのはこれで4回目だが、慣れたからと言ってポカしないようにしなくては。何度もそれで痛い目にあってるので。

 ここメノールからフィステラへ向かうにはオブラロイド広場を突っ切って反対側に行くことになる。広場に面している市庁舎にはまだ人気がなく街灯がポツポツと灯っているだけだ。でも既に数人の巡礼が同じように広場をうろついていた。こんな薄暗い内から動き出しているってことは、全員がフィステラを目指す人たちだろう。

 2時間歩いた9:12、この道で必ず寄っているバルが現れたのでコラカオの特大1.3ユーロ。小さなクッキー付き。このバルはサンチャゴを出発して初めてのバルだし小雨が降り続いてるし、殆どの人はここに寄っていく。たまに素通りするメンタルの強い人もいるな。途中で話したオーストリアのおじさんが到着してきた。さきほど教えて上げた日本語「おはよございます」をメモを見ながら言っている。この人はこうやって世界中からやって来た巡礼からそれぞれの国の挨拶の言葉をメモっているようだ。私も名が通った国の挨拶言葉くらいは覚えているが、仲良くなってもオランダ、ベルギー、チェコその他諸々の小さな国の挨拶言葉は覚えられない。てか、それらの人たちは必ず英語を喋れるから。小さな国の人は英語が喋れないと外国へ行くことができないお国事情を伺うことができる。逆にフランスとイタリア人は外国に行っても自国の言葉だけで通す。

 昨日から右足の小指が当たるようで痛い。爪かと思って靴下を脱いでみたが伸びてはいない。靴下を二重履きに変えたので若干靴がきつくなったかな?平らな道を歩く分には平気で小石が当たったりすると痛いようだ。ずっと痛むようなら二重履きは止めたほうがいいかな。

 追い越してきたフランスのおばちゃん4人組の先頭が素通りしていったが、後続が来ないな。どうしちゃったんだろう。まぁグループでもメンバーそれぞれの歩く速度は違うので合流地点だけ決めといて自分のペースで歩いたほうが身のためだ。

 9:40、再スタート。天気が悪いのでバルで30分もゆっくりしたけどやっぱり雨は止まなかった。今日の宿、ネグレイラへ続く道は細い山道が多い。年齢の割りに足の速いおばちゃんの後を追いかけていると、この区間最大の見所の滝が現れた。今日も十分な水量で流れている。何度も見ているので感動も薄いが、ここを過ぎると見慣れた風景が目白押しに出てくることを知っている。(すんません、滝はこの橋の反対側です)

 小雨の中、あれよあれよと言う間にネグレイラの町に到着。アルベルゲは町を通り越して1キロ先にあるので、今回もこの町のスーパー Gadiz で買出ししてから向かう作戦だ。バケツ野菜に大きいトマト、りんごと、とても健康的。そのほかヨーグルト、インスタントコーヒー、チョリソー、1リットルビール、コーラ、パン、ツマミの豆などで、これだけ買っても8.55ユーロ。勿論明日の朝飯分も含まれている。コーヒーは1箱に10袋入っているので当分楽しめる。

 大きなレジ袋を下げてアルベルゲに向かう途中、同じようにレジ袋を下げた青年巡礼がいたので挨拶。間違いなく同じ事を考えている。12:40、アルベルゲに到着。オープンは1時なのでまだ入れないようだ。時間30分前に受付してくれた年もあったが、今年は1時にならないとオスピタレラが来ないようだ。待っている間に仲良くなったオーストリアのおじさんも到着してきた。

 今日の到着はもう少し遅くなると予想していたが、意外と早く着いた。そのお陰でベッドは一番奥をゲットする。ここは大きな窓の隣りなので、窓からの明かりで次ぐ朝の準備がやり易かろうと言うのがその理由。同じベッドルームに何人もが一緒に休むアルベルゲは基本、暗いうちは明かりを付けないのが暗黙のルールだ。なので早立ちする人は自前のライトで出立準備をしなくてはならない。でも外から自然の明かりがあればそれが一番。明日はオリベイロア迄の30.5キロを歩く予定なので、やっぱり早立ちしなくてはならないからベッド選定も少し考えてみた。洗濯したが天気が悪いので窓際に二重に張ってあったロープに部屋干ししていたら、みんなもどさどさと干し出したのでご覧のように満艦飾になった。

 受付隣りの食堂で飲み食いしていたら、オスピタレラは「クアトロ(4)」と言い残してどっかに行ってしまった。ベッドの残りが4と言う事らしいが、4を越す巡礼がやって来たらどうするんだろう?案の定、その後続々と巡礼が到着してきて、4人を越えてしまったじゃないか。自分が正式に頼まれてた訳じゃないけど、どうすんのかな?後からやって来た巡礼を見ていると、オスピタレラがいないので自分で2つあるベッドルームを見て周り、ベッドが空いていないのが分かると出て行ってしまった。一安心。ここネグレイラの町には私営アルベルゲが幾つもあるので、1キロ戻れば幾らでも泊まれるから問題ないだろう。

 サンチャゴからフィステラ、ムシアまでだけ歩くスペイン姉ちゃんがいた。マドリッドからやって来たファビオラ姉ちゃん、どこから見てもスペイン人って感じ。我々外国からやってくる巡礼は短距離は滅多にやらないと思うけど、スペイン人にはありなんだな。2年前に仲良くなったアナもそれだったし、一週間以内で完結する巡礼は気軽に始められるのでいいのかも知れない。(右:オーストリアのおじさん、左:ファビオラ)

 ビールを飲んだけどキッチンには飲みかけのワインが2本もあったので行ってはコップについで来て飲んでいる。でもどういう訳なのか、1本には持ち主がいたようだ。私が最初にチェックインしてまず見たのがキッチンなので、そのときのワインなら持ち主なんている筈がないのだが、自分のだと言っているので後から置いたのかも知れない。ガッカリした顔をしているので、自分も飲もうとしてたワインが無くなってしまった残念な気持ちは容易に想像できるので、またスーパーまで往復して似たようなのを買ってきてベッドルームに引き上げてしまったおじさんに謝ってみたが、既に飲むモードからは外れてしまったのかいらないそうだ。何度言っても頑としていらないと言うので大人げないやっちゃなと思うが自分が悪いんだから仕方ない。もう諦める。じゃぁ食堂にいた3人で飲んでしまおう。日本の武士みたいな雰囲気を身にまとった青年はノーサンキューだったが、オーストリアのおじさんと陽気なスペイン人のおっちゃんが飲んでくれて上機嫌になっている。でもやっぱり後腐れが悪くていつまでも自分の中で尾を引いた。

 武士みたいな兄ちゃんは明日用のボカディージョを盛んに作っている。量が多いので朝と昼用かな?余ったチーズをこっちのツマミに廻してくれる良い奴だ。この男はブルガリアから来たボリスでスペインのおっちゃんはペドロ(写真)と言った。ペドロは私と同じくらいかなと思ったが、なんと73才だった。とっても元気でムイビエンだよ。言葉は曖昧でも気持ちは通じて楽しい。酒飲んでるしなおさら。

  Wi-Fi はあるが、ここもガリシア州のくそ Wi-Fi 。でも一昨日のアルベルゲのお姉さんが設定してくれたパスワードが生きていて、そのまま繋がってしまった。想像はしていたが本当に有効とは何たる幸運。きっとどこのガリシア・アルベルゲでも使えるし、何年経っても有効の気がする。これは間違って削除しないようにしなくてはだ。


フィステラ・ムシアの道2へつづく