フィステラ・ムシアの道5 最終の地ムシア Muxia 7月6日 日本出発から76日目 Fisterra の公営アルベルゲ。出発しようとしていたら賑やかなスペイン3人組の一人が起きていたのでさよならを言える。ちょっと強面のおっさんだが、この人たちと親しくなれたので心強かった。一緒に記念写真を撮らせてもらってハグしてお別れ。別れの言葉もやっぱり Buen Camino 。 07:07、出発。海岸通りから左に折れる道に矢印がなくてちょっと心配だが少し歩くと覚えのある角が出てきたので安心する。フィステラからムシアへ向かう人は思ったよりいそうで、2,3人が歩いている。 海沿いからやがて山道になり、昨年と同じようにやかましく吠え立てる犬がいる製材所の前を通り越して進む。繋がれている犬はもれなく吠えかかって来るのでやかましい。特になんてことなく歩き続けると、いつのまにか矢印がなくなっていることに気づく。どこかで巡礼路から外れてしまったらしい。最後に矢印を見た地点が覚えのない村だったので、もしかしたらインチキな矢印に騙されてしまったのかな?仕方ないのでタブレットを取り出してGPS電波がキャッチされるまで気長に待つ。やっぱり巡礼路から外れていた。アナログコンパスを出して方位を確認すると、運良く目指す中間地点のリレスはそんなに遠くないのが分かった。地図に従い歩き出すと村人がやって来たので念のため「リレス?」と確認させてもらう。これで30分のロスになってしまった。 10:20、リレスのバル兼アルベルゲ到着。ここはフィステラ・ムシアへ行く人がすれ違う交差点の村。三叉路になっていて、2本は巡礼が歩く道だが今回は関係ない道からの到着となった。調度日本人のグループが出発するところで「あれ、日本の方ですか?」と声を掛けてくれる。巡礼路ではない方角からやって来た自分に驚いているので迷ったことを告げる。年配の男性一人とご婦人二人のパーティー。でも全員がソロで、途中で出会ってそのまま一緒に歩いているそうだ。男女が68歳で自分と同い年だった。「やっぱりこの位の年齢が出やすいんですかねー」と妙な納得をしている。もう一人の女性は若く、その半分くらいの年か。自分とは逆のフィステラを目指す人たちだったので一緒に行くことは出来ないが、久しぶりに日本語でお喋りできたのでテンションが上がる。お喋りに夢中になって写真を撮るのを忘れた。彼らと別れたあと、バルでコラカオ1.5ユーロを頼んで小休止。懸案だったスタンプも押してもらう。ムシアまではあと10キロちょっとと言う所か。 ムシアの町がそろそろ見える頃かなと歩いていくと、また巡礼路が変更になっていた。その先が大きく工事中になっていたので、それで一時的に迂回させられたようだ。舗装路にドッキングして見慣れた風景が現れてくる。向こうに見える海岸に建設中のリゾートホテルみたいのは未だに完成してなかった。4年前からちっとも進んでいないようなので、資金不足で頓挫したのかな?スペインでは良く見られる光景だ。 とうとう最終の地ムシアに到着。インチキ矢印で遠回りさせられたので、プラス2キロ余計に歩いたとして、約31キロを7時間ぴったりで踏破。最後の歩きと思っての高揚感か、疲れを感じないままアルベルゲに到着。68歳ってこんなに体力あるんだなと自分でもビックリした。まぁ三浦雄一郎みたいのもいることだしな、鍛えていれば高齢になっても体力はそこそこ維持できるようだ。 巡礼路からアルベルゲまでは矢印が導いてくれる。遠くに見えているのはムシアの象徴の三角山か(名前知らない)。あの山の向こう側に有名は舟の教会がある。 ここからアルベルゲまではすぐかと思っていたが意外と長かった。昨年の記憶ではアルベルゲから歩き出してフィステラへ向かう巡礼路と合流する2場面しか覚えてないのでこんな適当な記憶になるのか。既に2時を廻ったところなので、アルベルゲはとっくにオープンしていて、レセプションに入って行くと鼻を怪我しているおっちゃんがチェックイン中だった。続いて自分もチェックイン、6ユーロ。オスピタレロは昨年と同じ人のようなので、一年前にも泊まったんだよと言ってみるとムイビエンと褒められる。ここでもムシア到達の証明書を出してくれるが、立派な証明書なのにどこで貰っても無料なのでありがたい。ベッドルームにはそこそこ先着がいたが、まだ下段は幾つも残っていたのでこれも有り難い。 シャワー・洗濯して干し終わったら早速買い物に出かけていく。ムシアには Froiz と Gadiz の二大スーパーが店を出しているので買い物には困らない。でもこの二つとも日曜日は閉めてしまうので、日曜にムシアに来たら要注意。どっちか交替でオープンしてくれないかな。今日は金曜日なので大丈夫だが、ムシアには3泊するので明後日は前日に買出しが必要だ。寂しい思いをしないように心しておこう。 2日前の Cee のアルベルゲで韓国青年がステーキを焼いてたのが羨ましくて挑戦してみようと思ったが、やっぱり難易度高そうなのでハムとソーセージのステーキ(って言うかな?)に変更する。そのために厚めのハムとソーセージを購入。1リットルビール、ヨーグルト2、トマト、ぼたんきょにパンで6ユーロと少し。カードでお支払い。今回はなるべくカードを使うようにしているのでキャッシングの回数が減っている気がする。 アルベルゲのキッチンに前の人が置いてったニンニクがあったので、それを味付けに使わせて貰い、玉ねぎ半分を加えてハム・ソーセージをフライパンで炒めてみる。カット野菜を皿に盛ってトマト添え。食材はまだ残りがあるので、明日また何か作れそうだ。歩いている時は野菜なんか持ち歩かないが、明日はもう歩かないのでバックパックが多少重くなってもへっちゃらだ。食べながら日本のうぶちゃんとメッセンジャーでお喋りする。 暇なので昨年泊まって仲良くなった私営アルベルゲの Delfin へ行って見る。オーナーのおばちゃんがいて私のことを覚えていてくれた。その時に息子二人とボラの青年と仲良くなった経緯があるので、一緒に撮った写真を見せると喜んでくれる。タブレットに今までの写真を年度別に沢山入れてきたので時々こうして楽しく活用できる。息子のクリスとはフェイスブック繋がりになっていて、クリスは日本語を大学で勉強している。フェイスブックでも日本語でのやり取りが可能なくらい上手に日本語を使えるようだ。ママもクリスが優秀なのを誇りにしているのが伝わってくる。ママはポルトガルの道の Espitual Variante を知っていて、どうやらクリスと今年歩くようだが片言なのでハッキリとは分からない。明日はここに泊まらせてと予約を入れさせてもらう。チェックインは12時だそうなので、それまで時間つぶしだ。 することが無いので海岸をそぞろ歩いてから Froiz へ行って0.89ユーロの安ワインとつまみを買ってアルベルゲのソファーで飲んでいると鼻を怪我したおっちゃんが写真を撮りにやって来た。おっちゃんは明日からサンチャゴ目指して逆ルートを歩き出すそうだ。それでお別れの積もりで写真を撮ったんだろう。旅も終盤になったので仲良くなった人たちが、一人また一人といなくなっていく。 ソファーでだらだらと過ごしていると、7時半にやって来たおばちゃん巡礼が普段は開けない1階の部屋に通された。なんだろうと思ってオスピタレロに聞いたら、ハンデキャップの人用の部屋だそうだ。そう言えばここにやって来る途中のネグレイラでもオリベイロアでもハンディキャップの人用の部屋が用意されていたのを思い出す。もしかしたら知らないだけで、殆どの公営アルベルゲには用意されているのかも知れない。セーの私営アルベルゲにもハンディキャップ用のシャワールームがあったし、こういう所は大したもんだなスペイン。 フィステラ・ムシアの道6へつづく |