フランス人の道8   スペインで初診療

5月17日 歩き24日目
 朝、階下に下りてチョコパンにヨーグルト2にコーヒーで朝飯。昨晩、ロドリがくれた薬とボルタレンを塗って寝たら今朝は腫れが引いていたので、これなら歩けるかなと期待が出てくる。でも歩き出したらやっぱり痛いので20kmはとても無理とすぐ予定変更。隣町のポンフェラーダにする。モリナセカからポンフェラーダはデータでは7キロだが、このアルベルゲは村から1キロの地点なので6キロほどだろう。巡礼路は途中から大回りしながらポンフェラーダへ向かうのだが、こんな足を引きずっている様では少しでもショートカットしたい。地図を見ると迂回せずに町へ向かうことができるので、そっちの道を選択する。右手のスティックをぐいっと押しながら、なるべく右足に体重を掛けないようにおかしな格好で歩き続ける。そこそこしんどいが、これの唯一良いところは巡礼してる気分にすっごくなれるとこ。

 ポンフェラーダの公営アルベルゲには9:20に到着する。さすがに早すぎるので、アルベルゲはまだ掃除の真っ最中だ。何人ものボランティアが仕事をしてる前で、この時間から待つのはチト恥ずかしい気もするが、そんなことを言ってる場合ではない。暇にまかせて地図アプリでポンフェラーダの薬局を探したり、玄関正面にある噴水の水に足を突っ込んで冷やしたりしてる。

 このアルベルゲのオープンは13時なので12時を過ぎると巡礼がパラパラと集まりだす。昨日のアルベルゲで一緒だったコリアの二人連れが私より3時間も送れて到着してきた。二人とも健康なのにどーいう歩き方をしてるんだよと思った。時間になったのでチェックイン開始、もちろん私が一番乗り、3時間半まったからね。寄付制のアルベルゲなので受付テーブルに載せてある貯金箱には5ユーロ札を入れさせてもらう。ここは小部屋がいっぱいあるアルベルゲで、部屋を指定されるだけで早いもの順に好きなベッドを取れるスタイル。当然下段ベッドを取らせてもらい一安心。

 チェックインしてから取りあえず薬局に行く。翻訳を使って事前にスペイン語にしておいた単語の「包帯と湿布が欲しい」と伝えたら、男の店員が大きな包帯を持ってきて「これでいいか?」と聞くのでオーケーだ。湿布薬がどうも伝わらないようで、女性の薬剤師さんが一緒にやって来て患部を見ると、こりゃ薬じゃだめだからメディコへ行けと言い出した。メディコは病院だろう。「テンゴうんぽこディネロ(少ししか金を持ってない)」と言ったら無料だとのこと。へー、話には聞いていたが本当にスペインでは巡礼は無料で診て貰えるようだ。滅多にない機会だから試しに行ってみよう。教わった大きめの診療所(かな?)は幸いすぐ近くだった。入っていくとカウンターの中には沢山の人たちが働いていて声を掛けてくれる。「足がこうなんだよね」とカウンター越しに足を持ち上げながら何となく伝えてみると、パスポートを出せと言う。あ、パスポートが必要だったのか。まいったなぁアルベルゲまでまた痛い足を引きずって往復かぁとげんなりしたが行かない訳にはいかなかろう。じゃぁ取ってくるとメディコを後に歩き出すと、パスポートなどの貴重品は身につけているベストに入れてあることを思い出したのですぐUターン。パスポートを出すとコピーを取り、なにやら記入した紙を持ってエレベーターで上の階の個室に連れてってくれる。たぶん一緒に行ってくれるのは言葉が通じないので、これ以上の説明が面倒だからだろう。ありがたや。

 女医さんが見てくれたけど、さわりもせずに本当に見ただけ。処方箋らしいのをサラサラっと書いて、これを持ってファルマシアに行けと。あとは冷やせと言うだけ。湿布のことを身振りで聞いたら、それはやるなと言っている。でもボルタレン塗るのはOK。同じような症状の巡礼が時々やってくるので慣れてるのかも知れない。受付に戻ると本当に無料だった。薬局では凄い量の痛み止めを貰ったけどたったの1ユーロ。私が「ムイバラート(とても安い)」と言ったら「シー」との返事。日本でも同じだろうけど、処方箋で薬を貰うとすっごい安いんだなー。痛み止めは3ダースもあったよ。これで明日は抑えめに歩けるかな。

 薬局を出ると向かいの通りに大きなスーパーDiaがあったので渡りに船と買い物していく。今日はビールじゃなくて1リットルの白ワイン、バケツサラダ、パンにチーズ、ヨーグルト。ネットによると疲労骨折の原因のひとつにカルシウム不足があるそうなので、チーズとヨーグルトはこれまで以上に注意しよう。カルシウム生成には栄養の他に日光浴も必要だそうだけど、こっちは腐るほど毎日浴びている。今日の買い物は5.81ユーロ。スーパーを出たら向かいの薬局がブラインドを下ろして扉に鍵を掛けた店員さんがて出かけるところだった。シエスタの直前に薬をゲットできたのでグッドタイミング。

 アルベルゲに戻ると昨日のアルベルゲで一緒だったおばちゃんがチェックインしていた。顔は怖いけどフレンドリーな人だったので名前を交換する。ベスおばちゃんはニュージーランドから一人でやって来ていた。ニュージーランドって山々が海からにょきっと突き出ていて素晴らしい景色なんだよなと身振りを加えて何となく言ってみる。それでも言おうとしていることは伝わっているようでニコニコしている。フェイスブックもやってるそうなので友達つながりになる。


フランス人の道9へつづく