フランス人の道9   久々の日本人巡礼

5月18日 歩き25日目
 6時前に起きて出発準備をするが、これでも遅いくらいだろう。フランス人の道を歩く人たちは本当に朝が早い。たくさんの巡礼が歩く道なので、ベッドが満タンになる前にアルベルゲに到達する意識が強いのだろう。私の今の足では競争にならないので、その代わりに距離を短くしてアルベルゲに早く入るのが吉だ。キッチンに移動してバゲットパンを半分に切り、誰かが置いてったジャム、バターをたっぷり塗って食べる。みんな惜しげもなく残った食材を置いていくので節約派の私には好都合。みなさんありがとさんです。ヨーグルト2個も食べて健康的。

 処方された痛み止めを飲んでボルタレンを塗って出発したけど、やっぱり痛いので今日もスティックで右足を庇いながらヒョコヒョコ歩く。

 お城はポンフェラーダ城。後ろからきた巡礼とシャッターの押しっこをする。この町最大の名所だが時間前なので今年も入れずじまい。何度来れば中に入れるんだろう。

 今日も巡礼が途切れることなく続いている。まだ巡礼最盛期には程遠いのに、夏休みになったら一体どのくらいの人たちが歩くのだろう?考えただけでも恐ろしい。

 村の外れに農業用と思われる小川が流れていたので靴下まで脱いで右足をドボンと突っ込んで冷やすことにする。とても冷たいけどここは我慢だ。通りがかった紳士の巡礼が、痛いのなら薬があるよと声を掛けてくれるが、薬は持っているので大丈夫。がっちり冷やすと状態は上向きになるようなので機会があったらまたやろう。しばらく歩いた先に、また水飲み場を見つけたのでここでも冷やすことにする。でもここはペンキなのか黒い油なのか、知らずにその上に帽子を敷いて腰を下ろしたのでベッタリと付いてしまった。水洗いだけじゃとても取れないので失敗した。

 11時半、15キロ歩きカカベロスの町までやってきた。昨日の6キロから比べたら頑張った方だ。通りにある小さな教会を覗くと何やら展示してあったので入ってみる。祭りで使用する神輿なのかな?珍しい物が見られた。この隣にティエンダがあったので冷えた缶ビールを買って教会隣りのベンチで一息つく。ちょっと良い時間。カカベロスのアルベルゲは町を越えた所にあって12時オープンだ。ここでゆっくりしてから向かうので丁度いい。

 12:10、アルベルゲにチェックイン。ここは5ユーロ。元気ならもう一つ先のビジャフランカまで行くのだが今の状態ではここが分相応というものだろう。このアルベルゲはツインルームが聖堂の周りをぐるっと囲んでいるという珍しい造り。既に5人の女性がチェックインしていて、フランス人の道は女性の割合が高いような気がする。やっぱり安心して歩けるからかな。あとコリアがいっぱい。全体の2割くらいいるんじゃなかろうか。韓国語だけで巡礼ができそうだ。

 この部屋のもうひとつのベッドには日本人男性が入ってきて、隣の部屋にも日本人女性がいる。この道は運がいいと日本人と出会えるが、マドリッドの道では運がいいと巡礼に出会えるだったな。

 食料を調達しにカカベロスの町へ戻っていく。でも遠くまで行きたくないので3年前にも利用した小さな店で手を打つ。ガラスケースの中にエンパナダがあったが、ここんちのは硬くて不味かったので買わずに500ミリ缶ビールにファンタ、それと木の実1袋で4ユーロと少し。今日も粗食。痩せる筈だよ。

 同室の日本人、小林さんは四国高知の人。四国遍路の面白い話を色々聞かせてもらった。昨年は大阪の人と会って、その人からも四国遍路の話を色々聞かせてもらったし、やっぱり巡礼路を歩いている性格上、四国遍路に興味を持つ日本人は沢山いるようだ。小林さんは南米に赴任していたこともあって、スペイン語がぺらぺら。南米からやって来たソロのおばちゃん巡礼とスペイン語で普通に会話している。とても羨ましい。南米からやって来る人とも時たま出会うことがあるが、彼らは信仰心が強いので真面目に巡礼してるそうだ。それと比べて欧米の人はチャラチャラしてる巡礼が多いとも言っていた。チャラチャラした若者は良く目にするが、南米の人のことは初耳だった。そうだったんだ、これからは意識して南米の人を見てみよう。


フランス人の道10につづく