フランス人の道16 南米の巡礼者 5月25日 歩き32日目 パラスデレイのアルベルゲ。5時半に起床。キッチンに下りて昨日残したオムレツをチンしてコーヒー、ヨーグルト、ミニパンで充実の朝飯。脛は今朝も痛むのでボルタレンをすり込み痛み止めを一粒飲んでおく。良くなったり悪くなったり。 昨日、フィリピングループと話したところでは、彼らは5月末にポルトガルのファティマにバスで行くそうだ。私もファティマにその頃に到着するかな?いや、もう6月まで数日しかないのでちょっと無理か。フレンドリーな人たちなので再会したいが。 6:50に出発しようとしたらフィリピングループと記念撮影タイムになってしまったので10分遅れでスタートする。アルベルゲを一歩でたら雨が降っている。すぐUターンして雨仕様に模様替えして再出発。20m前を小林さんが歩いているが、町の出口に差し掛かったら小林さん、クルリと向きを変えて町に戻りだした。あれ、忘れ物したかな?「今日はバス移動にします」とのこと。あらまと思った。まぁ天気が悪い中を歩くのは誰でも嬉しくないけど、それにしても判断が早いなー。このことから小林さんはきっと今までも交通機関を利用していたんだなと想像した。時間が遅くなったとか雨とか足が痛いとか、なにか理由があるとバスや電車の選択肢が目の前にぶらさがる人はその度に誘惑と戦わなくてはならないのかも知れない。何が何でも歩くと決めてるとそういった誘惑は体験しないで済むが、何かあるとたんびに二者択一を迫られるのは、それはそれで大変なのかも知れないな。小林さんはいつもバックパックの配達サービスを利用しているし、一度利用してしまえば止めることは出来ないんだろな。節約してるようでもないし、配達代金の5ユーロなんか気になる程ではないのだろう。私にとって毎日余計に5ユーロ使うか使わないかは大問題だ。 透明のゴミ袋をすっぽりと被っている人が日本人女性らしいので声を掛けてみると台湾の人だった。台湾と日本はフレンドリーと言うと、その女性もそう思っていたので嬉しくなる。日本と台湾とかトルコとか、お互いにフレンドリー同士の国と言う自覚があるのは素晴らしいことだ。それに引き換え・・・以下省略。 今日はプルポ(蛸)で有名なメリデを通過する。昨年はプリミティボの道がメリデで合流して、メリデで一番タコが有名なエセキエルで食べたので今回もそこで食べるのを楽しみにしている。今日ばかりは節約旅の私も解禁だ。フランス人の道はプルポ屋とは別方向から入ると思ってたので、エセキエルに向かう交差点はどこかなと思いながら町に入ったが、記憶とは違って巡礼路上にエセキエルはあった。もちろんバックパックを担いだまますぐ店内に入る。まだ時間が早いので客はパラパラだ。なのにバカにコリアンが多いなーと思ったらゴンさんが率いてるツアーだった。前回会ったときに彼の奥さんの巡礼記を読んでいたので、彼の名前はゴンさんと言うのを覚えた。ゴンさんは今日もツアー客22人の支払いに呼び出されて奮闘していた。ゴンさん毎日大変だね。 コリアンツアーの人たちが出発して行った後に今度はフィリピン神父さん達が到着して来た。みんなこの店でタコを食べるのを楽しみにしてるんだね。一緒に写真を撮る。みんな念願のタコにテンションが上がっているようだ。プルポとビール、更に茶碗の白ワインを追加したので合計12.5ユーロと、私にしては食に金を使ったほうだが来る前から楽しみだったので満足。 Wi-Fi もあったので11時までのんびりと過ごして歩き出す。 メリデの公営アルベルゲには2回泊まったことがある。大きくて近代的なアルベルゲだが、今日はあと11キロ歩いてRibadixo da Baixo に泊まる予定。どうしてもこのアルベルゲに泊まりたかったので、数日前から距離を調整してきた。小さな村でアルベルゲとバル以外はないので節約派の私は手前で食料を調達しなければならないが、それ以上にこのアルベルゲは魅力的だ。メリデのスーパーで取りあえずの食料を仕入れる。塗るチーズにヨーグルト、パンは3日前の残りとタコ屋で食べ残したパンがあるので十分だろう。ビールもと言いたいところだが、やっぱりビールは冷えたのを飲みたいので現地のバルで飲むことにする。 スティックが限界を越えているので安いところを物色しながら歩いていると、メリデを越えた所の小さな土産屋に安いのが置いてあった。1本7.85ユーロを2本買うから負けてと身振りを交えて交渉したところ15ユーロにしてくれる。今までの最低価格だ。値引き額は円ならたったの90円ほどだが、スペインで値引き交渉して成功したのは初めてなので値段以上に嬉しい。今まで使っていたスティックは1本15ユーロ、2本で30ユーロだった。サンジャンで買ったものだがフランス人の道の出発地点なので少しボラレたようだ。このスティックで4年間で4,000キロ以上歩いた旅の相棒だが記念に持ち帰ることは不可能だ。お土産屋に処分をお願いする。 前を昨日のアルベルゲで一緒だったペルーの女の子二人が歩いている。前を歩いている子の手元を見たらロザリオを繰っている。へー、歩きながらロザリオしてる人を始めてみたよ。小林さんが言っていた「南米の人は信仰が篤い」という言葉を思い出した。ロザリオしてる人を始めて見たと言って、その姿を写真に撮らせてとお願いしてたら、後ろを歩いていた相棒の女の子もバッグからせっせとロザリオを取り出してたのが微笑ましかった。「私も持ってるんだよ」と言いたいのはすぐ分かったので、二人がロザリオを片手に並んでいる所をパチリと撮らせてもらう。 二人とも満面の笑顔だ。後で写真を見たら、最初の子を撮ったその後ろに偶然、バッグからロザリオを取り出している子が小さく写っていた。「むちょむちょ」と言いながらロザリオの周りを指でぐるぐる回す仕草をして、巡礼中にいっぱいするんだろねと言って見ると何となく伝わるようで笑っている。気持ちのいい女の子達だったが、今晩は私が予定してるより先のアルスア泊りだそうだ。フィリピングループもアルスアと言ってたな。残念ながらこの子たちとはこれ切り会うことはなかった。 Ribadixo da Baixo のアルベルゲには2:20に到着。ここは写真のように川の畔に石つくりの建物が点在している雰囲気抜群のアルベルゲ。受付開始からちょっと過ぎているが、まだシーズン前なので余裕で泊まれた。ここも6ユーロ。受付の所にいたおっちゃんがテンションがとても高くて良く分からないことを何やら色々言ってくるな。ここは年配者はベッドの下段にしてくれてるようだ。愛想の良いのと悪いコリアン二人組みもやってきた。今日も一人はニコリともしないし挨拶もしない。勝手にしてろ。 でっかい一眼を持った本職のカメラマンがやって来たので何が始まるんだろうと思ってたら、アルベルゲ前の巡礼路でレースが始まった!!ポルシェやスズキがけたたましい爆音を轟かせて巡礼路をぶっ飛ばしている。さすがに巡礼を追い越す時には徐行してるが、世界遺産の道だぞ、いいんか!? 隣のバルに Wi-Fi 求めて行ってくる。ビール1.6ユーロで粘っていると、ゴンさんがやって来た。今日のツアーはここに泊まる人と次のアルスアに泊まる人とに別れているそうだ。ゴンさんとしたらそれも面倒そうだなー。1ヶ月のあいだ喧嘩の仲裁までやって神経が磨り減ることだろう。 夜中に顔見知りのスペイン青年がでっかいマットレスを担いで外に出て行った。きっと別棟のキッチンに行くんだろなと思った。ひとつ隣のメタボおっちゃんが鼾をかいているので、それでかな?鼾回避にそんな手があったとは目からウロコだった。いつか真似したい。 フランス人の道17へつづく |