フランス人の道18   Santiago 到着

5月27日 歩き34日目
 5時半起床。キッチンへ移動して朝飯。ヨーグルト2個にパンとスープ。昨日同様、カップ麺の空き容器を利用してスープを作るのだが、何度やってもなかなか熱いスープにならない。そのうち容器が変形し出してきた。変形して分かったが、外側が紙で内側がプラの二重構造だった。その内側がぐにゃぐにゃと波打っている。こりゃもう限界だな。ちょうど今日はサンチャゴに到着するのでもう使わないからスープを飲んだ後でゴミ箱に捨ててしまう。何回もごくろうさん。

 夜が明ける少し前にスタート。この町も沢山の私営アルベルゲがあるので、あちこちから何人もの巡礼が歩き始めたので暗いけど心細さはない。町を外れてユーカリの森の入り口が漆黒の闇だったので仕方なくヘッドライトを引っ張り出して点けるが、暗かったのは入り口だけだった。今日もゾロゾロと行進してる感じ。

 3時間ほど歩くとモンテドゴソのモニュメントが遠くに見え出してきた。その手前の村には何度も利用した小さなバル兼売店があるので大きなトマトとジュースにチョコパン1袋で3.2ユーロを仕入れる。すぐ見えてくるのはローマ教皇がやって来た記念に作られたモニュメントだが、ほとんどの人は近くにある有名な歓喜の丘を見ることなくゴソを通り過ぎて行ってしまうので勿体無い。モニュメントの側にあった石のベンチに座って、さっき仕入れたもので2度目の朝飯にする。ゴミ箱も水道も近くにあるから食べるには最高の場所。

 丘を下って行くとゴンさんから工事中と教わった橋に差し掛かる。ここは通行止めで2キロの迂回と言われてたが、工事は既に完了していて足元は木の板でなく頑丈なコンクリートに変身していた。もうおっかなびっくり足元を注意しながら渡る必要はなくなったが、今考えるとあれはサンチャゴ到達感が半端なかったので面白かったな。

 橋を渡り終えると「Santiago De Conpostera」と書かれたモニュメントがお出迎え。昨年、サンダルを拾った場所だ。市内に入ってもカテドラルまでは1時間は歩かなくてはならない。

 リュックを載せた引き車を引っ張っている老夫婦が近くを歩いていたので、巡礼のベテランなのはすぐわかった。でもフランス人の道でベテラン巡礼は珍しいなぁ。きっと北の道かプリミティボの道だろうと想像し、出発地を聞いてみたらオランダとのこと。ん?出身地でなく出発地だよと聞き直してもオランダだそうだ。そこでやっとこの夫婦はオランダの自分ちから歩き始めたのだと分かった。いるんだよなー、自分ちから何千キロも歩き通してサンチャゴに到達する人が。私はオランダ、ベルギー、ドイツ、スイスから歩き通してる人たちと話したことがある。スペインの隣はフランスで、みんなそのフランスの外側の国だ。本当に凄いと思う。いったいどんな心積もりでこの旅を始めたのか聞いてみたいところだが、残念ながらそれだけの英語力がない。ただただ簡単な英語で褒め讃えることしかできない。

 11時20にカテドラル前のオブラドイロ広場に到着。マドリッドから歩き始めて34日掛かった。これで第一部完了だ。今回での特記事項は何と言っても雪の峠越えだろう。無事に越えられれば何でも良い思い出だがひとつ歯車が狂えばどうなっていたか分からない。ここでフィリピンの神父さんと再会する。もう旅支度はといて青いローマンカラーになっていた。

 12時の巡礼者のためのミサに参加したいので、すぐ巡礼事務所にバックパックを置いてカテドラル入り口を目指す。そしたら入る人の行列がこれでもかと言う位続いている。その数300名くらいはいそうだ。カテドラル内には一定数以上の人は入れないので、いま並んでいる人たちの殆どはミサが終わるまでは入れないだろう。こりゃ駄目だとすぐ断念。また巡礼事務所に逆戻りする。

※お役立ち情報
 みんな知ってると思うけど、カテドラルの中はバックパックを背負っては入れません。近くに有料で預かってくれるところもあるそうですが、私はいつも巡礼事務所の庭に置いときます。事務所に入るにはクレデンシャルを持った巡礼かどうかを警備員がチェックしてるので、敷地内のそこら辺にバックパックを置いといてもまぁ安全だと思います。

 事務所の奥には ALSA のバスと Lenfe 鉄道の出張所があるので、まずリスボンへ行くためのバスチケットを買うことにする。自分の前に観光でやって来た年配のフランス4人グループがいて、なんだか凄く要領が悪くて20分位カウンターでやり取りしている。余りに長いので隣のブースにいる郵便局員さんと顔を見合わせて「しょーがないねー」と目でコンタクトする。言葉がロクに通じないのが分かってるんだから、行き先のポイントを書いた紙くらい用意しとけよ。やっと自分の番がやってきたので希望の日時と行き先の Lisboa と書いた紙を見せてチャッチャとチケット購入。こうするんだよと見せてやりたいよ。サンチャゴ発が29日の12時でリスボン到着が20:30。夜の8時半か、上手くすると明るい内に到着できるかな。バス代50ユーロは高いのか安いのか。今日もカードでお支払い。

 さて次は一ヶ月以上先になるがマドリッドへ戻るための列車チケットの購入だ。奥まった所にあるLenfe のブースを訪ねる。ここでチケットを買うのは3度目だが、毎回受け付けの人が違ったな。今日の男性はとても愛想が良くて片言の日本語を喋った!日本語を勉強しているが、実際に日本人と話すのは私が初めてだそうで嬉々としている。やり取りにはたまに日本語を交えられるので何となく安心するものがある。ここでも希望の日時と行き先の Madrid と書いた紙を用意するのは言うまでもない。こう言う大事な場面では片言でやり取りすると思い違いで失敗する可能性がある。でも書いておけば間違って伝わる可能性は格段に減るのでいつもこうしている。

 マドリッド行きの電車チケットは過去2回買ったことがあるが、そのどちらも直通なのはいいが早朝6時頃の出発なので前日から若干の緊張と当日朝が慌しい。でも今回この係りの人は9時台の出発を提示してきたな。そんな時間は初めてなので詳細を教えてもらうと、マドリッド直通じゃなくてオウレンセで乗り換えがあるそうだ。乗り換えは不安なので嫌なんだよなーと伝えると、小さい駅だから大丈夫と言うのでそれに決める。9時39分サンチャゴ発、OURENSE で乗り換えてマドリッドには15:04着なので申し分ない。時間どおり行けばだけどね。こっちは35.65ユーロと安めだった。

 長い行列に並んで巡礼証明書も無事にゲットして本日の宿、アルベルゲ・メノールにチェックイン。2泊で28ユーロと公営にしては高いほう。ここはベッドルームが2階と3階にあるのだが、今回は2階だった。ラッキーだ。3階は日本で言えば4階にあたり、階ごとの天井が日本の5割増しくらい高いのでベッドルームが3階だったりすると実質的には日本の5階まで階段を上らなくてはならない。1階の差は結構重要だ。

 ここで2泊して骨休めしたら5月29日にリスボンへ移動する。 Wi-Fi があるのでリスボンの安宿を2泊予約しておこう。もちろん私の泊まるのはドミトリーの2段ベッドなのでアルベルゲと似たようなものだ。予約したのは誰かのブログで紹介されていたお勧めの宿だった。This is Lisbon Hostel 2泊で34ユーロ。Maps.me にも位置が登録してあるので安心だが、バスがリスボンのどこに到着するのかが心配。

 地階のキッチンへ降りていってビールを飲もうと思ったが、売店は時間外でクローズされていたし自販機にもビールは置いてなかった。残念。今回初使用のアスパラスープの素を濃い目に作ってみる。これが結構美味いのでヒットだ。キッチンに誰かが置いていった麦芽パンがあったので食べてみたらこれも美味いのでみんな平らげる。

 テーブルで食事を楽しんでいると肩をポンと叩かれた。ボビーだ!!ボビー久しぶり~。最後に話したのは14日のアストルガだったので、実に13日振りの再会だ。アストルガの翌日はラバナルデルカミーノのイギリス人経営のアルベルゲに泊まろうと約束してたのにボビーはいなかったと伝えたら、時間が早かったので同じ村にある公営アルベルゲに泊まったそうだ。そこでは私の方が1つ先の村へ進んだ訳だが、そのあと疲労骨折になってチンタラ歩かざるを得なかったのでボビーの方が先行したのだろう。既にここは3泊目と言ったので私より2日早くサンチャゴに到達したのか。ボビーは明日フィステラへ行って豪華にホテル泊。次ぐ日はサンチャゴへ戻りマドリッドからドイツへ帰るそうだ。二人であれやこれやお喋りする。

 夕方になったので売店がオープンしたが缶ビールが高いので値段が同じなら実力のある3ユーロの白ワインボトルとエンパナダを買ってみる。ボビーは今日も野菜中心の食事をしているな。それに今日もノンアルコールビールを飲んでいる。いつもアルコール類を飲んでいる私を「ドランク」と悪態ついているが、これはボビー流の親愛表現だ。。何にしても再会できたのは喜ばしい。

 玄関外にある椅子に腰掛けて遠くの街並みを眺めていたら千春さんからチャットが入った。これから向かうリスボンで会う約束をしているので、不案内なリスボン行きを前にして心強い。私がリスボンに到着した次ぐ日に何時にホステルに迎えに行けばいいのかとか、地下鉄やバスの乗り方について教えてくれる。バスは運転手からチケットを買えるが地下鉄は苦手の自販機になるそうだ。話が込み入ってきたので通話に切り替えて再会計画を続ける。 私のタブレットは電話はできないが、 Wi-Fi さえあればメッセンジャーで通話も可能。Wi-Fi があるともう物凄く便利。千春さんの友達が日本料理の店をやってるので、そこでランチを食べましょうとか提案してくれる。

 今日は目まぐるしく色々あった日だった。いつもはペドロウソからゴソの丘の16キロまでしか歩かず、ゴソの巨大アルベルゲで一息付いて次ぐ日にサンチャゴ入りするのが恒例だったが、今回はアクシデントのお陰で思いのほか日にちを使ってしまった。なので少し日程を詰めときたいのでペドロウソからサンチャゴまで一遍に歩いた。まぁ大した距離でないので普通の人はそうするけどね。サンチャゴに到着してからはバスと電車のチケット購入、巡礼証明書ゲット、リスボンの安宿予約にボビーとの再会に千春さんとの交信と盛りだくさんだった。明日は骨休めで一日ゆっくりする。


フランス人の道19へつづく