フランス人の道19   サンチャゴ巡礼第一部終わり

5月28日 日本出発から37日目(今日は歩いてないので)
 Santiago de Compostela 2日目。ずっと歩いてきて、連泊するのはこれが初めてだ。今回、疲労骨折したので気づいたことがある。やっぱり年齢と共に体は衰えて来てるんかなー。ここ3年間は毎年何かしら不調が出ていて、2年前は酷い腰痛が飛び出し、昨年は坐骨神経痛、そして今年は疲労骨折。スタートしてから3週間ほど歩いたら、その辺りで連泊を入れて体を休ませる必要があるのかも知れない。最初にサンチャゴ巡礼した4年前は自分がどのくらい歩けるのか自信がなかったので、ショートコースを頻繁に入れたのが結果的に故障することなく無事に歩き通せた理由だと思う。それが2年目3年目になって慣れて来ると段々と強気になるし無理もできると思いこんでしまうからの故障だろう。来年もあるとしたら良ーく考えよう。

 キッチンで朝飯にしようとしたら食料を入れといたレジ袋が見当たらない。あれー、どこ行ったかな。一通り探してみても見つからないので諦める。入っていたのはインスタントコーヒー数袋に緑茶1袋、チョコパンにスープの素、それとプラスプーンとフォーク位だ。今日の買い物で同じようなのを仕入れて来よう。明日はリスボン行きのバスに8時間乗るので、バスの中で食べる食料も必要だな。

 食糧が消えちゃったのでキッチンの売店で大きなクロワッサンとコラカオで2.6ユーロ。ボビーもやって来ていつもの野菜サンドを作って食べだした。ボビーの食べるものはいつも同じなので、どっかで読んだ小話を思い出した。ドイツと日本人がそれぞれの国に行って食事をする話。「日本人:ドイツはいつも同じ食事で飽きる」「ドイツ人:日本はいつも違う食事で疲れる」まぁそんなモンなんかな。日本の食事はレパートリーが多く、一週間の夕飯では毎回違う料理が出てくる可能性があるが、一年中同じものを食べる国はそれはそれで良いのかも知れない。

 ボビーはこれからフィステラへバスで行って帰ってくるのは明日だ。延べ1ヶ月ほども一緒に旅してきたがこれが今生の別れとなる。ハグしてお別れしたところ、なんか頭にキスしやがったな。

 近くのテーブルにフィリピンの神父さん達がやってきた。同じテーブルに同じフィリピンの人たち4人がいて食事をしていたので合流。米のご飯を食べていたので一口食べさせてもらう。肉のおかずも勧めてくれるが久しぶりの米の飯はそれだけで美味かった。神父さん達のグループも、今日はフィステラへ10時のバスで行くそうだ。この人たちともこれでお別れになるが、二人の人とはフェイスブック友達になっている。

 アルベルゲは9時半からクリーニング時間になるので連泊の私も外に出てなくてはならない。まぁどっか行くと言ったらオブラロイド広場しかないのでブラブラと行ってみる。広場には見たことある女性がいた。えっ、間違いない。今年の1月にトラピクスのツアーでサンチャゴ・ポルトガルの旅にやってきたことがあった。そう、今年サンチャゴは2回目なんですよ。しかもツアーでやって来るとは想像もしなかった。そのときの現地ガイドのお姉さんがいるではないか。今日もガイドでツアー客を引き連れている。仕事が一段落したのを待って話しかけてみたところ、最初は分からなかったが、1月にあったときに巡礼で何度もサンチャゴへ来ている話をしていたので思い出してくれた。お姉さんはポルトガルの道を歩いた巡礼経験者だったから私のことを覚えてくれてたのかも知れない。一緒に写真を撮らせてもらう。その後もこの広場で顔を見かけたので、一日に何度もガイドをやっているようだ。

 日本からのカトリック巡礼団がいた。各地から参加した人たちの集合体らしく、姫路のおばちゃんが私に興味津々で色々話しかけて来てくれる。頼みもしないのに自分の住所から電話番号まで書いたメモを渡してくれるので、こちらもメルアドやらHPのURLが印刷されたマリアカードを進呈する。ツアーメンバーの一人がルルドで奇跡に会ったと熱っぽく語ってくれる。何でもルルドで71番目の奇跡と認定されたそうで日本人では初だそうだ。えっ、それって凄いことなんじゃ!?ルルドは奇跡の地として有名だが、認定の基準はとても厳しいと聞いている。まず精神的な疾患はすべて除外され、物理的で現代の医学では不可能な治癒のみが奇跡として認定されるそうだ(うろ覚え)。「この人ですよ」と私の前に奇跡にあったというおばちゃんを連れてきたが、ビフォーアフターのビフォーを知らないので特に変わったこともなさそうな普通の人だった。

 スーパー FROIZ へ行って食料をたんまり仕入れる。普通のジャガイモのバラ売りがなかったので、奇妙なオレンジ色をした大きなジャガイモ1個と玉葱、ソーセージ、1リットルビール、塗るチーズにカット野菜、スープの素にヨーグルト4と明日のバスの中で食べる用にビスケット1本で7.05ユーロ。今日もにこにこカードでお支払い。帰り道にある手作りパン屋で大きなバゲットを買う。スペインにはこういうパン屋があちこちにあるので楽しい。しかも大きなバゲットが1本百円程なのでとても安い。安い美味い、更に焼きたての暖かいのなら最高。

 アルベルゲに帰ってキッチンでスープを大量に作る。ここには色んな調味料が沢山置いてあるが多くが意味不明なので怖くて使えない。その中にタカの爪の絵を見れば何の調味料なのかが一発で分かるものがあった。その名も「ピカンテ」。なんて分かりやすい名前なんだろう。ピカンテの意味は分からなくても辛いものだと言うのは音の響きですぐ分かる。予想どおり、これを入れると一味違った気がした。

 隣の鍋で何か作っているコリアの青年が「ソーセージが好きだが売店がクローズしてて買えなかった」と言ったので、カットしたソーセージを4本上げて喜ばれる。テーブルに移動して本日の至福の時間。御覧のとおりテーブルには食べ物がいっぱい。カット野菜にはボビーが置いてったマヨネーズを掛けてみる。いつもカット野菜は塩だけで食べることが多いので、野菜にマヨネーズって最高だな。もうスープと野菜だけで満腹になり、パンまで食べられない。ビールも飲みきらないので4分の1残したのを冷蔵庫に入れておく。

 今日の巡礼者のミサで「オビエド、ハポン」と聞こえたのでプリミティボの道を歩いた日本人がいたのが分かった。ミサ後の広場で探してみたが会うことはできなかった。その人、アルベルゲで隣のベッドだった。カミーノは3回目だそうだ。気の良さそうな人と久しぶりに日本語でお喋りができる。この人はパラドールのただ飯を食べたくて行ってきたそうだ。私は一昨年はサンチャゴを出たり入ったりしている間に3回食べさせてもらったが、昨年は時間になっても巡礼は誰もやってこないしパラドールの人も来ないので中止になったのかなと思ったので今年はチャレンジしてない。その人も行ってはみたものの始まらないのでフロントに尋ねたそうだ。「あれは止めました」と言われたって。そっかやっぱりな。でも確認できたのでよかった。

 もう明日になったので、ネットでリスボンにバスが到着するというオリエンテ駅から予約したホステルへの経路を調べ倒す。歩くには距離がありすぎるので地下鉄を使うしかないようだ。地下鉄、大丈夫かなと心配になる。そしたら千春さんがメッセンジャーでチケットの買い方ビデオを作って送って来てくれた!千春さんの説明が音声で入っているのでとても分かりやすい。心強いことこの上ない。ありがとう千春さん。


サンチャゴ巡礼第一部これにて完結。
続きはポルトガルの道1になります。