マドリッドの道5  やっと普通のアルベルゲ

4月27日 歩き4日目
 今は午前5時まえ、日本なら明るくなってくる時間だが、スペインの朝は遅く、更に夏時間を採用しているので真っ暗闇の真夜中だ。体力回復の為に今日もショートコースにする予定。あと数日は宿が不安定なので予想外の出費を覚悟しなくては。宿が当てにならないのでWi-Fiが有る内に出来る限りの情報収集を心掛け印刷して持ってきた地図にせっせと書き込む。

 昨日の内に朝食用として2.5ユーロ支払ってたが、食堂に鍵がかかっていてどこからも入れないとはこれいかに!?預かっている鍵ではどこの扉も開けることができなかった。あちこち施錠する宿だが、まさか朝食を食べる食堂に入れないとは思わなかったので確認しなかったのが敗因か。オーナーは帰るときに「明日朝は入口の扉と門を施錠して鍵はポストに」と言ってたんだがな。朝飯代の2.5ユーロ損した気分になる。

 7時45。一昨日買ったクロワッサンの残りがあるのでまだいいが、残念な気持ちでスタートしようと玄関にきたら、そこに朝食の用意が!しばらく前に来たときには確かになかったので、こっちの出発時間に合わせて用意してくれたらしい。ま、紛らわしい。予定より早くスタートしたら食べられなかったじゃないかよ。カステラ2コにジュースと小さなポットにコーヒー。お子ちゃまが食べるレベルだがスペインの朝食はこんなもんだ。

 同じ道を歩くのは嫌なんだが、ここは巡礼路から2キロ外れてるので昨日やってきた道を戻らざるを得ない。周りは岩山だらけで渓流も音をたてて威勢良く流れている。ハイキングで来たのならこの景色を存分に楽しめると言うところか。地図を頼りにちょっとだけショートカットを加えて巡礼路に復帰できる。

 ずっと素晴らしい景色の中を歩けるが、2時間も歩くと疲れてきたので、まだ一昨日の疲れが残っているのか体が慣れてないのか。この景色をフェイスブックで応援してくれる皆さんにも見てもらいたくてバックパックからタブレットを引っ張り出す。これが結構面倒なので、心に余裕がないとやらない。カメラは腰のケースに取り付けてあるのでひょいっと取り出せるので気楽に撮ってるが、カメラで撮ったのをフェイスブックに送るのは面倒なのでやったことない。

 向こうから牛御一行さまがやってきた。警戒して道の端っこに立ち止まってやり過ごそうとしたら、牛もこちらを警戒しだして歩みを止めてしまった。この30頭ほどの群れを飼い主は車に乗って移動させてるらしく、牛が進まないからこっちに来てくれと言ってるようなので牛の隣をビクビクしながら通り過ぎる。牛って体は大きいし大きな角があるからちょっと怖いけど、とても大人しく気が小さいようだ。

 mataelpinoの町に入るがGPSは相変わらずなので地図を頼りにアルベルゲ探し。右に曲がればいい三叉路を左に行ってしまい、地元のセニョールに教えてもらうと英語が話せる人で「ライト50m」と聞き取れる。と言うことでアルベルゲには11時前に到着。なんだ、さっき右に曲がった角がこっから見えるよ。一周回って到着したってことか。知らないとはこんなもんだ。

 アルベルゲの玄関前で車をいじってた男性がオスピタレロだった。ここのアルベルゲは到着したら電話連絡してオスピタレロがやってくるシステムと知っていたので、電話がない、あっても電話でのスペイン語は至難の業の私には幸運だ。ベッド代は8ユーロと公営にしては若干高め。受付してくれて施設の案内を終えたらどっかに行ってしまった。偶然いたのはラッキーだったのだ。

 真新しいアルベルゲで5ツ星に相当するだろう。ベッドルームも豪華に4部屋もあってシャワーなんかホテル並みだ。巡礼者はここんとこ見てないような様ことを言っていたようなので(スペイン語オンリー)、やっぱりマドリッドの道は歩く人が少ないんだなと再認識する。でも重要な情報を仕入れられる。明日予定しているセルセディージャ(Cercedilla)アルベルゲは2つともオープンしてるそうだ!そこは夏季のみの情報だったので、これも凄いラッキーだ。歩いているときの最大の関心ごとはその日泊まれる宿があるかないかなので、それが確実なのが分かるととても気が楽になる。やっぱりアルベルゲに泊まると他のアルベルゲ情報も仕入れられるのがありがたい。オスタルではアルベルゲ同士の情報と言うのは仕入れずらいので。

 近くのティエンダ(小さな店)からお昼ご飯を買ってくる。なるべく野菜を食べるようにしているのでビニール袋に入ったカット野菜とタンパク質にはちょっと良いチーズ。オレンジも買ったけど凄い色をしている。それに定番の1リットルビール。野菜の味付けは塩のみ。巡礼も5日目に入って段々調子が出てきた気がしてきた。食後に持ち歩いているコーヒーをお湯に溶かして飲む。このコーヒー、インスタントなのに凄く美味い気がする。それとも気分の問題か?一昨日買っておいたパンを食べきってしまうので、またさっきのティエンダに仕入れに行ってこよう。この道では食料と水は欠かせないようなので。

 洗濯はしてみたものの、物干し場が見当たらないので隣の公園に行って暇つぶしがてら木のテーブルに広げておいたら強い陽射しでみるみる乾いてくれた。とても満たされた気持になれる。だれか巡礼がやってこないかなと公園下の道をときどき見ているがそんな事はなかった。

 6時過ぎたのでさっきのティエンダに買出しに行って来る。もうレジの女の子は顔を覚えていてくれて(そりゃそうだ珍しい東洋人だもの)最初よりずっと愛想がいいようだ。缶ビール、オレンジ、ファンタ、バゲットパンで2.6ユーロ。小腹が空いてきたので日本から持参のチキンスープの素に塩を加えてパンを浮かべる。こんなんでも十分美味いので、スペインで1ユーロのスープの素を買わなくても良さそうだが、持参のスープには限りがあるので手持ちが終わったらスーパーで似たようなのを買い足したい。

 夕方、隣のベッドルームにご婦人が到着したようなので見に行ってみる。良く分からないが巡礼なのかな?5日間だけ歩くと言っているようだがスペイン語なのでハッキリしない。ちなみにマドリッドからサアグンまでは約270km。私の今のノンビリ具合だと2週間掛かるかな?サアグンはフランス人の道の中間地点なので、サアグンからコンポステラまでは約400km位かな?まだまだ出発したばかりだ。


マドリッドの道6へつづく