マドリッドの道6  エレナおばちゃん登場

4月28日 歩き5日目
 これは昨日から泊まっている公営アルベルゲ。凄く立派で新しいです。朝食を食べに2階のキッチンへ行ったらおばちゃんがテーブルで何やらやっている。この人はハイキングにやってきて、その計画を練っているようだ。はて?5日間だけ歩くと言ってたのは聞き違いだったのかな?ミルクをくれたのでキッチンに備えてあったコーヒーに入れさせてもらう。インスタントスープも作りパンを浮かべてオレンジの朝食。

 8時出発を目指して隣の部屋に挨拶に行ったところ、昨日話したおばちゃん巡礼と、ミルクをくれたおばちゃんは別人だった。私の他に二人泊まっていたのかとこの時にやっと気づく。昨晩、5日間だけ歩くと言ってたのはこっちのおばちゃんだったのだ。巡礼のおばちゃんから今日はどこに泊まるんだと聞かれたのでセルセディジャと答えると、おばちゃんは別の所に泊まるようだ。でも良く聞いてみるとそれは自分が目指すアルベルゲだった。そのVillaCastoraに自分も泊まるんだと言ってみる。予約してないのなら電話してくれるそうだが、時間が早いのか電話には出ないようだ。明日はどこ?と聞いてきたので、山越えをしたところのアルベルゲ名を言ったら、そこはフットボールチームに取られてしまって満員とのこと。同じ町にあるオスタルに予約してあるそうだ。自分はどうなるか分からないので予約は頼まなかったが、25ユーロなのでアルベルゲがないのならそこでもいいかなな気にはなった。いろいろ気を使って親切なおばちゃんだが、まだこのときは名前は知らない。

 おばちゃんはまだ出発準備ができてないので一足先に出発する。豆タンクのような体型から私に追いつける筈はなさそうなので、今日も一人歩き決定だ。でも一緒に歩かなくても同じ日に歩く人がいると思うだけでもテンションが上がって嬉しい。

 今日もとても美しいカミーノで気分も晴れ晴れ、天気も晴れ晴れ。セルセディジャの町並みが遠くに見えてきたところに小川があったので、川べりの石の上で靴下まで脱いで大休止。歩いていると気持ち汗ばむが、こうしていると風が冷たいので調度いい。陽射しが強いので日向ぼっこをしているようだ。なんか幸せな気持ちになれる。

 セルセディジャの町中に入り歩いていると、通りにスーパーのDiaがあったので昼飯を調達しに入ってみる。何か挟まった甘いパンが1袋10個入りで1ユーロ、クッキー、チョリソー、缶ビールで合計4.63ユーロ。早速駐車場の片隅でチョリソー肴にビールで一杯やる。パンも食べてエネルギーはばっちり補給。ひとから見たら少し金を持っているホームレスみたいかな。

 通りに等身大の銅像があって、プレートの文字には何とSapporoの文字が!?えっ、これなに??知ってる単語を拾って推測すると、札幌オリンピックのスキーチャンピオンらしい。そう言えば靴はスキー靴だよ。へー、札幌オリンピックはテレビで良く見ていたので、知らずにこの人も見ていたのかも知れないなーと不思議な気持ちになる。スペインのこんな山奥の小さい町から世界チャンピオンが誕生したなんて、さぞや当時は大騒ぎになったんだろなと想像した。きっとこの通りで凱旋パレードを催したことだろう。

 通りの教会の扉が開いていたので入ってみる。すぐ神父さんがやってきて「スタンプ?」と向こうから言ってくれる。サンタマリアdeハポンと言いながらマリアカードを進呈してソイカトリコと言ったら十字を切って祝福してくれる。これでもうこの先大丈夫(かな?)。

 アルベルゲは町を通り越して山の中に入っていく。余りに予想より長く歩くのでちょっと心配になってきたので、歩いている人に確認。オッケー、この道で合っている。セルセディジャの町外れと言うより隣村のLas Dehesasらしい。しばらく歩き到着してみたら、どうも普通のアルベルゲではないようだ。言うなればユースホステル。巡礼でない若者が沢山泊まっている。Villa Castora、ひと部屋にシングルベッドが2台で、多分一人ひと部屋。朝飯付で19.8ユーロは高いか安いか。夕飯を追加すると値段が跳ね上がるのでDiaで買ってきた硬いクッキーとチョリソーでごまかすことにする。ルームキーと交換にクレデンシャルを預からせてくれと言うので大事なクレデンシャルを預けることになった。ま、パスポートを預けるよりマシかな。

 シャワーしてからWi-Fi尋ねてレセプションに行ったらおばちゃんが到着して受付中だった。体型から(こら)もっとずっと遅い到着かと思ってたけど意外に早かった。Wi-Fiが七面倒くさく、おばちゃんのモバイル番号まで利用させてもらい、やっと繋がった。その割に超のろで3階のベッドルームからの接続は難しいようだ。まぁそれは置いといて、おばちゃんとは2晩一緒になってお世話になったのでマリアカードを進呈して名前を交換する。マドリッドから40kmの所に住んでいるというエレナおばちゃん。帰りにマドリッドに滞在すると言ったら、困ったことがあったらメールよこせとメルアドを書いてくれる。とてもフレンドリーで親切。おばちゃんと言ってるが年は私より10歳以上若そうだ。ロビーでしばらくお喋りする。スペイン語しか話さないので時々翻訳アプリのお世話になる。道案内から翻訳まで、タブレット本当に便利。エレナおばちゃんはスマホなので更に色んな情報を収集できるらしく、明日は雪だと言っている!ホントか!でもまぁこの時季なんで降ってもみぞれくらいで、悪くても一日雨で済むだろうと安易な気持ちでいる。それがとんでもない一日になることを今は知る由もない。

 明日の朝食は9時と言うので、峠越えするのにそんなゆっくり出発することはできない。そういう人には弁当を用意してくれるそうだ。もらった袋の中にはチョコレートドリンク、ジュース、水500mlとカステラとクッキー2袋。これが明日のサバイバルに役立つとはこのとき知らない。知らないことばっかの明日って一体何なんだろう。


マドリッドの道7へつづく