マドリッドの道8 旅の仲間ふたり追加 4月30日 歩き7日目 7時20、1階のレストランに朝飯を食べに降りていく。テーブルには数人分の用意がしてあるが、まだだーれも居ない。エレナおばちゃんもまだ起きてこないようだ。カフェコンレチェ、コラカオ、ミルク、ジュースと飲み物がいっぱい。ドリンク類は給仕器みたいのから出てくるので店の人がいなくても温かいのが飲めるのでありがたい。パンは二人分が1つのテーブルにあるので、半分の3個を食べておく。30分過ぎたらやっと男が一人やって来た。この人の朝食は軽ーく済ますようだ。日本人にはこんな軽い食事じゃ物足りないがパンは限られているので人のまでは食べられない。 外が明るくなってきたので出発の用意をする。エレナに挨拶しようとドアをノックしたら下着にバスタオルを巻いて出てきた。タブレットの翻訳でスペイン語にした言葉「Para Pareir(私は出発する)」と言ってみたら「Me Boy」と直してくれた。以後、メボィをすっかり覚えられてスペイン人相手に時々使うことができる。 8時20出発。昨日とは違って雨の心配はなさそうだ。でも雲が多いな。道も舗装路歩きなので歩きやすく昨日の峠越えから比べたら天国のようだ。気分は上々。大都市セゴビアと結ぶ道路なので、もうずっと舗装路ばかりで矢印もサンチャゴの標識もひとつも出てこない。要するにもう巡礼路からは完全に外れてるってことだね。 10:40、道路わきにベンチがあったので靴まで脱いで大休止。昨日、最後の砦用に大事に取っておいたチョコドリンクと塩味ビスケットが美味い。やがてセゴビア市内入口に到達するが現在地が分からないのでとんでもない方に行かないようにタブレットを出して確認しようとするが、またもやGPS電波キャッチに時間がかかり過ぎるので止めてしまう。そんなことをしていたら前の大きな道路をプップップーッとクラクションを鳴らして走り去る車があった。顔は見えなかったが窓から手を振っているのが確認できたので、きっと昨日オスタルまで送ってくれた人だと確信する。こちらも手を振って応えたのが確認してもらえたかな?全部で30分にも満たない交流だったけど、心があったかくなる出会いだった。 セゴビアは2年前に一人で遊びに来たことがあったので、まったく知らない町ではない。中心に向かって歩いていればそのうち水道橋が現れるだろうと安易に考えていたが、どうも心配になってきたので地元の人に尋ねると、このまままっすぐ行けばいいらしい。その通り、次の大きなカーブを曲がったら正面に水道橋が現れる。おー、2年ぶり。橋の下は今日も大勢の観光客で賑わっている。インフォメーションの有料トイレを不本意ながら利用してカテドラル方面を目指す。 前に来たときはカテドラルなんかあちこちで見たからいいやと思って入らなかったが、今回はそうでもないので入場料3ユーロを払って入ることにする。チケット売り場には「セジョ(スタンプ)」と大きく張り紙があるのでクレデンシャルを出してお願いする。よっぽどスタンプを貰いにやって来る巡礼が少ないのかムイビエンと言いながら嬉しそうな顔をして押してくれる。残念ながらクレデンシャル所持の割引はなかったな。 カテドラルを出たら雨。合羽のフトコロに仕舞って置いたタブレットがスルリと石畳の上に落ちて縦に一本ひびが入ってしまった。ひぇー、と思ったが使用には差し支えなさそうなので取り合えず一安心。タブレットが壊れたらどんだけ苦労するか分からない。文字情報も詳細な地図もほとんどはタブレットの中なのだから。今回はタブレットに新しいアプリを入れてきた。それはWi-Fiがなくても翻訳できるGoogleさま。各国語はそれぞれ後から追加できて、私は英語、スペイン語の他にフランス語とポルトガル語を入れてきた。すべて無料。外国語の辞書も複数入れてあるが翻訳の方が圧倒的に使い勝手がいい。 大きな町では矢印が極端に減る。ここセゴビアもご多分に漏れず巡礼路が見つからなかった。二人の人に尋ね、そのとき婦人の足元に矢印を発見する。あ、あった。矢印に従い川を目指して降りて行く途中に日本語の標識を見つける。え、なんで日本語が!?「サンチャゴ城門」と「アルカサル(城門)」の二つがあり、サンチャゴ門はそこからすぐ下った所にあった。そういえばセゴビアにはサンチャゴ門なるものがあると何かで読んだ記憶が甦る。セゴビアに取ってサンチャゴ巡礼路は重要な道なのかな? ここからは白雪姫のモデルとなった城、アルカサルの崖下を通って市外へ抜ける道だった。カメラ片手の観光客もぱらぱらいるので、ここから見るアルカサルがガイドブックに載っているのかも知れない。見上げるとやっぱり中々の景観だ。 目的のアルベルゲがある Zamarrmala はセゴビアの隣町だった。隣接する町なので15分で到達できる。タブレットに登録しておいたお陰で、ちょっと分かりづらい路地にあるアルベルゲも一発で着くことができる。ここは2時に受付の筈だが、2:10にやってきたのに扉が開かなかった。ここも電話でオスピタレラを呼び出すスタイルか?それだと誰か捕まえて電話してもらわないとだなと表に出ようとしたら建物に明かりが点いて人が出てきた気配。あー良かった、中にいたよ。 ここもマタピエルノ同様、出来立ての新しいアルベルゲらしかった。マドリッドの道はこれからこうして整備される予感がする。紙のシーツと枕カバーを渡されて8ユーロ。近くに店があるかと聞いたら、あるけど今はシエスタの時間とのこと。くそっシエスタめ。シャワー、洗濯してからベッドで空腹をごまかすために日本から持参の柿の種を二袋食べる。とても美味いがビールと一緒に食べたかったよ。 3:15に雨用のでっかいポンチョを着たままのエレナが到着。いつも意外なほど早く着くので体力は半端ないようだ。見た目は完全メタボなのだが案外筋肉質なのかも知れない。エレナと連れ立ってティエンダに買い物に行く。歩きながら明日は何かのフィエスタがあるので店は開かないと教えてくれる。なるほど、いつもより大量に買っておく必要がありそうだ。エレナはいつも有益な情報を提供してくれるのでありがたい。 オレンジ2、チーズ、ハム、でかいパンに1リットルビール、煮物の缶詰にヨーグルト4で11.5ユーロと大量買い。エレナは朝食用のケーキとりんごを買っている。アルベルゲに戻ったら生のアーモンドをくれたのでお返しにオレンジを上げる。ヨーグルトは重たいからいらないそうだ。 キッチンで缶詰を煮込んで夕飯とする。エレナが同じテーブルで何やら色々書き留めているようだ。やっぱり日記かな。夕食の時間になったのでWi-Fiがてら二人でバルへ繰り出す。(スペインは時間にならないと食事を出さない。およそ7時か8時)エレナは定食、私はもう食べたのでコラカオだけ頼んでネットして遊んでいる。コラカオはエレナが奢ってくれた。明日は夫が迎えに来て一緒に歩くと嬉しそうだ。どんな夫なんだろう。 ネットを始めたら昨年のプリミティボの道で仲良くなったフリアンからチャットが入ったのでスペイン語の入力をエレナに頼む。勿論フリアンにはその旨伝えて。フリアンはポンフェラーダに会いに来てくれるそうだ。昨年「今度スペインに来たら教えろ」と言ってたので、そのときから再会しようと思っていたらしい。 アルベルゲに戻ると知らない男の巡礼が二人入ってきていた。初老のフランス人だ。ラテン系と違ってフランス人は物静かで人見知りする感じで簡単には打ち解けなさそうだが、この二人とはやがて仲良しの旅の仲間となっていく。今日は食べすぎたようで腹がきつい。エレナがまたバナナをくれたな。ひょんなことからエレナは53歳と言うのが分かる。私より15歳も年下だったのか。 マドリッドの道9へつづく |