マドリッドの道15 アルベルゲ全滅 5月7日 歩き14日目 真っ暗の中をまずフランス組が出発し、そのあとボビーが続く。少し遅れて6:40に出るが、まだ外は真っ暗闇だ。小さな村なので少し歩くと村の外れに出たが、そこから先は崖だった。え、これってどうやって降りればいいんだろう?露地みたいな2本の道を行っても途中から崖っぷちになってしまう。テーブルマウンテンみたいな上に築かれた村なので、入るときは急勾配の坂を上らなければ入れず、出るときも崖を降りなければならなかった。普通、崖があっても反対側は傾斜の緩い坂だと想像していたのだが。はるか下には細い道が続いているのが月明かりではっきりと見える。あそこが巡礼路なんかな。あちこち探してみても降りる術が見つからない。ボビーがまだ近くにいないかなと暗闇の中「ボビーっ」と叫んで見ても返事はない。そこへディミトリがやってきた。でもディミトリも降り口は分からないようで二人して手分けして捜し歩く。いつの間にかディミトリは消えてしまったので、見つけられたのかな?自分が探していたのと別方向へ行ってみると何とか降りられる細い道を見つけたので、捻挫しないように慎重に急坂を下り、やっとのことで崖下にたどり着くことができる。どうなってるんだこの村は。 さて下の道まで来られたのはいいが、このどっちへ行ったらいいのかが分からない。一難さってまた一難。タブレットを引っ張り出して地図アプリを起動させるも、相変わらずGPSはキャッチしてくれないし、何しろ北が分からないので今回の巡礼で初採用したアナログコンパスの登場となる。前に使っていたタブレットには北を示してくれる地磁気センサーなるものが搭載されていたが、今度のタブレットにはそれがなかったのだ。とんだ誤算。北が分からないと地図アプリの威力は半減する。NECタブレットなのに何たる間抜けようだ。NECの開発者はきっと地図アプリを本気で使ったことがないのだろう。 地図の村の位置とコンパスの北を突き合わせて大よその巡礼路の方角が分かったので歩き出すと、5分ほどで矢印を発見する。なんだこんな近くに巡礼路があったのかと思うが、知らずに反対方向へ歩いてしまえば矢印は永遠に出てこないから怖い。せっかく少し早めに出発したのに崖を降りるのと巡礼路を探すので40分もロスしてしまった。 古い修道院を見学する迂回路と、直接次の町を目指すルートとの分かれ道までやって来た。今日は一人歩きだし、ここはもう短いルートを迷わず選択する。途中、道沿いに公営アルベルゲの建物があった。小奇麗だし巡礼路沿いなので泊まっても良さそうなアルベルゲだな。でも今日はもっと先を目指すので残念ながら素通り。 次にあった村のバルを通り過ぎようとしたら、中からボビーが飛び出してきたので一緒に休憩する。そのあとは二人旅。次の町に到着し広場に出たらディミトリを発見。三人一緒にバルで休憩。別々に歩いていてもバルがあるとそこで休む傾向があるので一緒になる確率が高まる。ディミトリは今日も終始ニコニコしている。 三人一緒に町を出たが、しばらく行くとカミーノは二手に分かれていた。ひとつは舗装路を行くイージーウェイ、もうひとつは昔ながらの土の道で距離が長そうだ。ボビーと舗装路を選択したが、若いディミトリは土の道を選択したので暫しの別れとなった。 飽きるほど歩いてやっと今日のアルベルゲのある Medina De Rioseco 町に到着した。町の入り口には地図で調べたとおり、アルベルゲを併設した大きな修道院が現れたので気をよくする。道路から回り込んで横の門から入っていくと大きな建物の脇にアルベルゲと書かれたやや小ぶりの建物があったので、今日は楽勝とにんまりする。でも扉はロックされていたので、まだ時間前だからなのか、それとも大きい建物の方でチェックインするのかと訪ねてみるも、ドアをノックしても反応がない。張り紙のスペイン語をタブレットで翻訳してみたところ、「このアルベルゲは閉鎖された」だとーっ!当てにしてやって来たのに何てこったい。事前に調べたところでは、この町にはもうひとつアルベルゲがあるので、運良くGPS電波もキャッチしていることだし、タブレット片手にそちらを目指すことにする。ボビーにこっちこっち、そこは左と伝えながら辿り着くと、どうやら大きなスポーツ施設のようだ。インフォメーションがあったので尋ねてみると、アルベルゲはここから少し離れた所にあるらしい。また移動だ。 さて、この辺らしいのだが一向にそれらしい施設が現れないで町から出てしまいそうになる。ボビーは少しだけスペイン語が分かる私に近所の人に聞いてきてと言ってるので離れた所にいた人に尋ねてみると、アルベルゲはそこの建物だが今日は休みだとーっ!明日はやってると言われたって嬉しくないよ。仕方ないのでボビーのガイドブックで紹介されていた休めのオスタルに電話することに(ボビーは電話が可能)。そこは運良く予約に成功する。私の地図アプリにも登録されていたオスタルだったので、またタブレット片手にボビーと訪ねて行くと15分ほどでオスタルの看板が目に入る。ボビーが私の案内がパーフェクトと喜んでいる。 看板は大きいのが上に掛っているが入り口が良く分からないので探しているとオーナーのセニョーラがやってきたので、常駐しているのではなさそうだ。一泊幾らか聞いたら何とツインで一人11ユーロ!ま、まじですか。私営のアルベルゲと同じ値段だよ。バスタオルにフェイスタオル、ボディーシャンプーまで揃っている二人部屋でこの価格は格安どころではないだろう。どうやらシーズンオフのサービス値段らしい。感激してオーナーの写真を撮らせてもらったら「日本人はすぐ写真を撮る」みたいなことを言ってるな。そうなんか!? 上機嫌でチェックインを終了すると、通りの向こうからやってくるフランス組を発見する。みんな良いガイドブックを持ってるんだね。私の情報にはこんなオスタル載ってないよ。ディミトリもやってこないかなと思ったが、ディミトリは別の宿を取ったらしく来なかった。 部屋はこんな感じ。海外旅行はツアーしかしたことない人には場末の安宿に見えるだろうが(実際そうだし)、ツアーのホテルが立派すぎるのだ。私たちにはこれで十分。シャワー、洗濯したあとオーナーのセニョーラに教わったスーパーへ行ってみると入口は狭いけど中に入ると大きなスーパーだったので楽しくなる。今日もテッパンの1リットルビールに生ハム、バケツ野菜にコーラにパン。珍しくイチゴの大きいパックを買ってみる。ボビーに飲ませて上げようとノンアルコールビールも1本購入。イチゴのお裾分けと共に上げたら、その後ボビーが買い物に行って私のためにハイネケンの缶ビールを2本も買ってきてくれた。節約してるのに律儀なやっちゃな。でも1リットルを既に飲んだことだしこの2本はバックパックに入れて持ち歩くことにする。明日歩きながらボビーと飲もう。 マドリッドの道16へつづく |