マドリッドの道16   気楽なアルベルゲ

5月8日 歩き15日目
 Medina de Rioseco のオスタル Osuna ツインの個室。ボビーがベッドの上でヨーグルトを食べだしたのに合わせて起床。自分も買っておいたヨーグルト4個と残りのイチゴで朝飯とする。超ヘルシー。

 6:55に二人でスタートする。大事を取って昨日やって来た道を辿って巡礼路に復帰しようと思ったが、ボビーがこっちの方がショートカットだと提案する。私がタブレットを見ながら指示しながらやって来たオスタルだが、ちゃんと位置関係を把握していたようだ。さすが!

 昨日、寝る前に飲もうと思って買っといたコーラと、ボビーが買ってくれたハイネケンの缶ビールで合計3本背負っているのでバックパックがやけに重い。昨日、営業してなかった公営アルベルゲの近くを通って運河沿いを歩き出す。この町が運河の終点になっているので、この辺りは水の流れがピタリと止まっていた。ボビーが夏になるとここはモスキートが凄いんだと教えてくれる。やっぱりな、まったく流れがないので巨大な水溜りと同じだ。蚊にとっては天国だろう。ガイドブックにはそんな事まで書いてあるのかと意外だった。朝なので運河の霧が凄い。

 巡礼路はずっと運河沿いを続いていて、ところどころに畑に水を分けるための小さな水門があった。ドードーと音を立てて畑に流れてたり閉ざされてたり、運搬だけじゃなく農業にとっても重要なのが分かる。。運河沿いの道を左右に渡らせるための橋も架かっていたので、そこで小休止したのを幸い、背負ってきた缶ビールを出してボビーと乾杯する。これでちったぁ軽くなった気がする。コーラも早めに飲んでしまいたい。ずっと歩いた運河の終点には当時の記録写真が掲示してあった。ずいぶん昔に作られた運河のようだ。これが出来たんで凄く便利になったんだろなと想像してみる。

 12:40、静まり返って人気のない村、Cuenca de Canpos に到着。道端に大きなアルベルゲを発見するも扉は閉ざされていた。ここも管理人に電話して来てもらうスタイルだった。ボビーのガイドブックに従い、鍵を管理している近くのバルに移動する。店の前で寛いでいた老婦人が管理人かと思ったが、この人は単に休んでいるだけだった。でもこの人が電話をしてくれるとまもなく女性がやってきたので管理人かと思ったが、郵便の配達人だった。スペインって郵便配達の制服がないようで、普通の格好した人が郵便物を配っている。時にはGパンだったり主婦の格好だったり、一見してそれとは気づかない。私が「あっオスピタレラが来た」と言ったら、ボビーはすぐ郵便配達と気づいて私に教えてくれたので、イギリスやドイツでも同じなんかな。

 そのあとやっとバルのオーナーらしいおばちゃんがやって来た。この人は鍵を持ってなくて、ただ取り次ぎだけする人のようだ。すぐ村役場のおっちゃんが鍵を持ってやって来て中を案内してくれる。大きな村役場の一角をアルベルゲにしていて、歴史が感じられる重厚な扉を入ると無駄に広いアルベルゲと言うのが第一印象だった。ベッドルームもいっぱいあって、ボビーと一緒の部屋にして今回もイビキ避難のために後からやってくるフランス組は別の部屋になってもらう作戦。ここは6ユーロだった。トイレ・シャワーが男女別で2つずつもあるので凄いなと感じる。受付の近くにはWi-Fiの機械があってランプも点灯しているのだが、機能はしてないようで電波は発してなかった。残念。

 フランス組もすぐやってきたので、4人でさっきのバルへビールを飲みに行く。Wi-Fiはあるが一歩店の外に出るともう繋がらない虚弱Wi-Fiなので、後で店の外で接続しちゃおうという目論見は外れる。ビールはジャンマリーが奢ってくれた。ジャンマリー金持ちなんかな。それとも後、数日でフランスに帰ってしまうので節約しなくてもいいんか。もう数回奢ってもらってるので、1回くらい返さないと日本人の名折れだ。

 小さな村だけどすぐ近くにはティエンダがあるので買い物には好都合だ。でも2時を過ぎてるのでシエスタで扉が閉まっているから買い物はできなかった。キッチンには米やパスタが置いてあったので、鍋で米を炊いてみようかと思ったが、ガスの点け方がどうやっても分からないので諦める。皿に水を入れて手持ちのインスタントスープを入れ、レンジでチンしてパンを浮かべる。スープの素を持ってると何かと助かる。

 5時過ぎたのでボビーと一緒にティエンダへ買い物に行ってみるがまだ扉は閉まったままだ。どうも今日は午前中だけの営業らしいので諦める。スペインには土曜日は午前だけの開店と言うのは良くあるが、今日は火曜日だよなーと確認してしまった。ちえと思って広場に目を移すとフルーツの絵が描かれたトラックが停まっている。しかもその側で品物を並べて店開きをしてるようなので行ってみる。おぉこれは大々的な移動販売ではないか。日本でも昔は見かけたがスペインにもあったんだな。そういえば昨年も小さな村で一度だけ見たことがあった。村の人にもありがたいが私ら巡礼にもありがたい移動販売だ。オレンジ、トマト、アボガド、洋ナシで2.23ユーロととても安い。日本円なら現在1ユーロ130円として290円。多分、スーパーなんかよりこっちの方がずっと安い気がする。

 アルベルゲに戻るとクリスチアンとジャンマリーがキッチンのガスが点かないと奮闘している。元栓を開けたり閉めたり、スイッチを右に左に回したりマッチで点火を試みている。自分もガスが使えれば便利するかと思ってみんなであれこれ試した結果、やっと点火に成功する。フランス組は大鍋で湯を沸かしてキッチンにあったパスタで夕飯を作った。二人はパスタが大好き。クリスチアンがコンロがあいたよと火が点いたままのコンロを指差すが、取り合えず今は使わないのでノーメルシーだ。

 切って皿に盛るだけの夕飯を作ってみる。洋ナシ、トマト、アボガドをカットして皿に盛りベジタリアンみたいな料理が完成。アボガドは味がなかったので塩を振ってみる。アボガドには醤油とわさびが合うのだが出来ない相談だ。トマトに塩はとても美味い。洋ナシは甘くて美味。キッチンにコラカオの大きなボトルがあったのでお湯に溶かして飲んでみる。このアルベルゲは食料や調味料がいっぱいあるので楽しい。管理人も受付が済んだらさっさと家に帰ってしまい、二度と戻ってくることはなかったので皆でやりたい放題。キッチンに食事専用のテーブルがなかったのでテーブル・椅子が備わっている隣の空いてるベッドルームを食事用とする。だだっ広いアルベルゲだけど今夜の宿泊者は我々4人だけなのでまるで一軒全部を借り切ったような気分になる。ディミトリは何処に行っちまったんだろう。ここに来ればいいのにな。

 ジャンマリーの咳が一向に止まないので日本から持参の咳止めを2回分上げてみる。咳止めや色んな飲み薬は一通り携帯しているが、自分では一度も咳止めは飲んだことなくて、欧米の人にやるばかりだ。欧米の巡礼は薬を持ち歩かないのかな?


マドリッドの道17へつづく