マドリッドの道17   性悪女のアルベルゲ

5月9日 歩き16日目
 6:10、キッチンの電子レンジでスープを作り粗末な朝飯。今日も4人でスタートする。最初の村でディミトリと再会する。彼は一昨日のアルベルゲが全滅した町で、ナント、我々4人と同じオスタルに泊まっていたんだって。個室のオスタルはアルベルゲと違って泊まり客同士が顔を合わせる機会がないので気がつかなかったと言うわけだ。みんなあの町ではあの格安オスタルに泊まるんだな。ガイドブックでは有名なオスタルのようだが知らないのは私だけだった。詳しい日本語のガイドブックがあればどんなに助かるか知れないが、そんなの作ってもモロ赤字になるだけなのは素人でも分かる。

 この村のバルでコラカオ1.2ユーロを飲んで休憩。ジャンマリーの具合が悪く、まだ咳込んでいるのでもう1粒咳止めを上げてみる。また一緒に歩きだしたがフランス組がどんどん遅れて来た。よっぽどでない限り、遅れたのを待ってやったりすると待たれる方が負担になるので3人でずんずん進んでいく。泊まる村が決まっているのでそこでまた合流すればいいだろう。

 7時から歩き始めて目的のアルベルゲがある、サンテルマスカンポスには12時ちょっとに到着。軽快に歩けたけど朝飯がスープだけだったのでスタミナが切れそうだった。ここのアルベルゲは博物館にもなっているらしく銅像と同じ男の大きな垂れ幕が建物に垂れ下がっていた。でも中に入ると何の展示物も見当たらないので途中でやる気をなくしてしまったのかな。入り口にはチケット販売のブースがちゃんとあるんだが。隣のバルが受付になっているのでツマミ付のビール1.3ユーロを飲んでチエックイン。フランス組もすぐ到着してきたので、バスを利用したらしいとボビーが言っている。

 管理人さんにスーパーがあるかと聞いてみたが、この村には無いとの返事。残念。でももしかしたらと村のメイン道路を歩いてみると、昨日と同じフルーツ屋のトラックが止まって、これから商売を始めるところに出くわす。こりゃラッキーだ。大きなジャガイモと玉ねぎにトマト、それに何だか分からないカルビーみたいのを二つかみ程買ってみる。トラックのおっちゃんは昨日の村で買ったのを覚えていてくれたな。カルビーみたいのは多分、豚皮を油で揚げたものらしい。美味いけど油ぎとぎとで次第に飽きる。

 キッチンには鍋がなかったがとても小さなフライパンがあったので、これで野菜スープを作ることにする。小さいから3回に分けて作る作戦。2回作って3回目を作ってたらどっかのおばちゃんが突然やって来てキッチンは使っては駄目と言い出した。え、だってアルベルゲのキッチンは巡礼のためにあるんだぜ。使ってはいけないと何処にも書かれてないしドアもロックもされてないと何となく言ってみるがギャーギャー騒ぐだけでヒステリー状態。私のスペイン語がロクなもんじゃないのが分かるとベッドルームの2階に行って文句を垂れてきたらしく、降りてきたクリスチアンが腕を回してぶんなぐっちまえとジェスチャーしている。ディミトリに「普通、巡礼はキッチンを使うんだ」と言ったら「そのとおり」と返してきた。あったりまえだよな。こんなアルベルゲは初めてだ。ババアはその後、キッチンのドアにスペイン語で何か書いて張り紙をしていった。まぁ野菜は全部食べきったので実害はなかったが、なんだここは、こんなアルベルゲは潰れてしまえと思った。

 明日はいよいよサアグンに到着でフランス人の道と合流する。仲良くなったジャンマリーとはサアグンでお別れだ。


マドリッドの道18へつづく