おまけ3  マドリッドの休日 Madrid

7月12日  日本出発から82日目
 マドリッド2日目、オスタルの一人部屋(ここ大事)。朝飯にカステラパンにヨーグルトを2個、インスタントコーヒーも飲む。この部屋にはエアコンがあった。エアコンのある部屋って日本出発以来かな?洗濯物は部屋干ししていたが、エアコンを掛けっぱなしにしておいたお陰ですっかり乾いていた。

 10時、オスタルを出発。今日は一日まるごとマドリッド観光だ。マドリッド一賑やかなプエルタ・デル・ソルを経てスペイン王宮へ向かう。3ヶ月前は直接サンチャゴ教会目指して迷い狂ってしまったが、王宮なら目標が大きいから問題なく行ける筈だ。それに、王宮からサンチャゴ教会への道はよく覚えているし道も単純。4月の時も最初からこうしとけば迷わずに済んだんだよな。と言ってる内に曲がろうと思っていた道を通り越してしまった。でも大きな通りにぶつかると右方向に大きなカテドラルと王宮が見えているのでオッケー。

 4月に巡礼スタートする場所はマドリッドのサンチャゴ教会で最初のスタンプを貰ってから歩きだすと決めていた。そして終点も同じサンチャゴ教会のスタンプで〆るんだと日本で計画立ててる時から決めていた。入り口には今日も物乞いのおばちゃんが座っていた。この人は教会に入るときは何も言わないけど出るときには持っている紙コップを差し出してくるのを知っている。

 教会の中、隅っこにある部屋が事務室になっていて、巡礼はみんなここにやって来る。入っていったら調度二人の女性がクレデンシャル(スタンプ帳)を発行してもらいにきていた。マドリッドの道を行くのかと聞いたら「とんでもない(身振り)フランス人の道を歩く」そうだ。そらそうだわな、マドリッドに住んでいるからと言ってマイナーなマドリッドの道を行くとは限らない。マドリッドから何百キロも移動してわざわざフランス人の道の出発点を目指す訳だが女性には安心して歩ける道だ。

 私の番になったので、4月に貰った最初のスタンプを見せてから、2冊目になったクレデンシャルに締めくくりのスタンプを押して貰う。いたのは出発とは別の神父さんと事務の女性だったが、出発時に写した神父さんの写真を見せたら「おー、何とか神父さんだ(名前忘れた)」と喜んでくれ沢山誉めてもらえる。帰りに物乞いのおばちゃんに1ユーロ上げてアディオスと言ったらブエンカミーノと返してくれる。私のカミーノは終わったんですけどね。おばちゃんにコインを上げるのはこれで3回目だけど、きっと覚えちゃいないだろな。

 王宮方面に行ったら何やらイベントが始まっていた。昔の紳士淑女のコスプレしたり騎馬隊や貴族が乗るような馬車まで繰り出している。お陰で馬フン撒き散らし放題。お祭りでもないようだし、仰々しくテレビクルーが来ているので収録なんかな?見ていても何も始まらないので歩きだす。

 スペイン広場のドンキホーテ像でも見に言ってみるかと歩き出したが、想像より遠そうなので止めておく。替わりに通りから石段を降りて王宮の庭へ。すぐ障害者のための募金詐欺がやってくる。こいつらどこにでもいるな。他にも数人が同じ事をしている。どこでも大体がグループで活動していやがる。ネットでも注意喚起していたが、2年前に仲良しになったスペイン人のAnaは障害者支援の会社に勤めていてフェイスブックでも繋がっている。いつだったか、フェイスブック上でこの詐欺のことを憤慨していた。やっているのは必ず若い女性グループ、ちゃんと働け。

 タブレットの地図を頼りにマドリッド最大のレティーロ公園へ向かうことにする。幸い、GPS電波はキャッチしてくれている。でも、幾つもの通りが合体した複雑な広場に出たら方角が分からないので迷ってしまう。こういう時にタブレットに地磁気センサーがないのは困るんだよな。えーと、あれがオペラ会館らしいので行くべき方向はこっちかなんてやりながら模索する。ホントにタブレット買い替えたろか。

 マドリッドの官庁街と思われる通りを歩いてシベーレスの噴水からアルカラ門を経てレティーロ公園。こんな暑い昼日中なのに沢山の人たちがいて沢山のボートが浮かんでいる。有名な公園と言っても公園は公園なのでざっと見たらそれ以上のことはない。腹が減ったしトイレも行きたいので今日も生ハム博物館に行こうとアトーチャ駅方向を目指した積もりがアトーチャの裏側に出てしまう。面倒臭がって地図を見ずに動き回るとこういう結果になる。

 グルッと大回りして昨年も寄った生ハム博物館へ到着。今日もビールとプレート料理。ピンチョスもついて全部で7.5ユーロ。昨日の生ハム博物館のビールは大ジョッキで2.2ユーロと高かったけど、ここんちは同じ大ジョッキが1.5ユーロだった。昨日の店は場末感が漂ってたし料理はチンして温めなおしたのでポテトはしんなりしているしピンチョスも何の肉だか分からない代物だった。もうあそこんちは行かないのがいいな。こちらの価格表を見ると小ビールなら1ユーロ。もちろんピンチョスも付く。1ユーロのを2杯飲んだ方がいいような気がするな。のんびり食べて腹いっぱい。

 観光の締め括りはプラド美術館の無料解放。今年は改修中なのか、裏も表も巨大な覆いが被さっていてご丁寧に美術品の絵まで描かれている。今日の開放時間は夕の6時だけど、まだ時間は1時半。去年も同じ事をしたのでどの位の人が並ぶかは想像ついている。1時間前になったら並ぶので調度いいだろう。

 近くの教会が人気があるそうなので見に行ってみるが扉は閉まっていて入れなかった。暇人なので日陰を求めてプラドの正面入り口からエアコンの冷気が出てくる石段に座ってしばし休憩。ときどきサーッと冷気が流れ出てきて気持ちがいい。タブレットをいじりながらだらだら座っていたら日本人のツアーが二組もやって来た。みんな服装が本当に地味なのですぐ日本人と分かってしまう。突拍子もない服装をしているアジアのどっかの国よりマシだけど、日本人って地味なんだなーと再確認した。話し掛けてみたいけど二組とも入場口前で添乗員さんがチケットを配りながら何やら盛んに説明をしているので近づかないでおく。

 いい加減時間があるので通りを渡った先にあるスタバで涼みながら待つことにする。大きな町の良いところ。スタバって日本でも入ったことないけど注文の仕方がマックなんかとはまた違うことに気づいた。ネットも使えるし外は暑いのでのんびり過ごす。しかし掃除してないなースタバ。テーブルの上なんかゴミだらけだよ。アイスコーヒー高めの2.6ユーロ。3ヶ月弱旅しててここのコーヒーが一番高かった。45分も居座ったのでバッテリーが危なくなってきたから使用を控えることにする。まぁタブレット使えなくなっても道に迷う心配はないので歩いているときより深刻じゃないけど、何かの時に頼りになるのはタブレットなので一応用心しておく。スタバは高かったけど涼しくてよかった。

 1時間前になったのでプラドに移動。木陰に沢山の人たちが涼んでいるので、みんなきっと無料開放を待っている人たちかな。自分も日陰で待つことにする。そろそろ行列が出来てもいい時間だけど、まだ誰も並びださないし、どこが先頭になるのかも分からないので木陰で様子を見ている。40分前になったら係りらしい男が移動式ポールを転がしながらやって来たので、これがそうかなと観察。2本目を持ってきて入口よろしくを並べたのであそこが並ぶポイントになるのが分かる。すぐ列が出来だしたので早足で移動。それでも50番目ほどだったかな。木陰になっている石のベンチで座って待っていられることになった。注意深く見ていたお陰。自分の後ろの人からはイスもないカンカン照りの日なたになってしまった。

 私の前のスペイン夫婦が愛想のいい人たちでスペイン語で色々話し掛けてくる。サンチャゴ巡礼も知っていたので話が弾む。奥さんは盛んに「ムイボニート」と言ってくれるが、こういう場合にも言う言葉なんかな?私のスペイン語は片言どころじゃないので簡単なことしか話すことができないがとても楽しい。このおっちゃんは柔道が黒帯だそうだが、足を怪我して止めたらしいのが分かる。ほとんどが身振りで会話。

 列はあれよあれよと言う間にぐんぐんと伸びて行き蛇行しながら遥か遠くまで続いている。早い対応してよかったこと。時間になったら列が移動し始めて我々が入れる番になった。夫婦は入るときに「さよなら」と日本語で言ってくれる。たっぷり1時間以上かけて有名どころは殆ど見られたけど、今回は裸のマハだけ見つからなかった。夫婦とは中で一度だけ会うことができた。

 オスタルへの帰り道、アトーチャ通りにあった大き目のスーパーに入ってバケツ野菜に生ハム、トマト1個で4.71ユーロを買う。ビールは冷えたのがいいので、近くにある中国人の店で別に買う作戦だ。オスタルでシャワーを浴びてからビールを買おうと外に出たら、反対方向にも何かあったのを思い出す。あったあった、ちゃんとしたスーパーが近くにあったよ。冷えた1リットルビールにOIKOSヨーグルト2、ファンタオレンジにハンバーガー用パン1袋で4.5ユーロ。

 部屋に戻ってタブレットを開いたらムシアでお世話になったオーナーの息子クリスからメッセンジャーで伝言が入っていた。私がママに上げたサングラスを自分が貰ったと思っていた。ま、喜んでもらえればどっちでもいいです。来年、日本に来たいようなことが書かれてあった。勉強した日本語をいよいよ実地で試すときが来たのかな。

 今日はマドリッドを西から東まで一周するほど歩き回ったので歩数が22.100にもなった。私は5キロを7,000歩で歩くので、およそ15キロを歩いたことになるのか。毎日平均25キロを歩き続けてたので身軽な格好で10キロ15キロなんて朝飯前だ。歩いて観光できるなら、それがストレスないので一番いい。


おまけ4 日本へ につづく