ポルトガルの道1 坂の町リスボン鬼門 5月29日 出発から38日目 サンチャゴのアルベルゲ・メノール。8時半、地階のキッチンへ降りてのんびりと朝飯。リスボン行きのバスが12時出発なのでのんびりゆっくり。インスタントスープを作り、残りのカット野菜にボビーが置いてったマヨネーズをかける。バゲットパンを切ってキッチンに残されてったマーガリンをたっぷり塗って食べる。美味い。マーガリンは一度で使い切れないし持ち歩くと溶けてしまうので買ったことがないので貴重なチャンスだ(ムースチーズと間違えて危なく買いそうになったことはあるが)。ヨーグルトも2個食べて充実した朝飯。 まだ早すぎるがやることがないので10:08にバスターミナルへ向けて移動を始める。ターミナルはサンチャゴの外れにあるので、歩いて20分。途中の一部はフランス人の道と重なる。同じターミナルへ向かう巡礼の姿がチラホラと見える。バスでフィステラへ行くのかな? 11時半になると乗る予定のALSAのバスが2台並ぶが、そのどちらもリスボン行きじゃないな。大きなターミナルだがALSAのバスが止まるのはこの2ヶ所しかないので、どちらかがリスボン行きの気がするのだが。心配なので運転手に尋ねてもやっぱりリスボンへは行かないそうだ。ほかの人も尋ねているので、リスボンへ行く人が少しいるようだ。出発時間が迫って来たのでいよいよ心配になり再度運転手に尋ねるが答えは同じ。12時になったらALSAの係りみたいな男性がやって来て何やら言っているのでバスチケットを見せて確認したら、「もめんともめんと」と言って、これからバスがやって来るそうだ。なんだよ、出発時間になってもバスが来ないなんて心配するじゃないか。相変わらずスペインだなー。 12時を少し回ったらやっと私の乗る「600」と書かれた札をフロントに掲げたバスがやってきたので一安心。みんな一斉にトランクルームに自分の荷物を放り込み出した。それから10分ほどでアッと言う間に出発。待たせるだけ待たせた割に出発は素早かった。車内は割りと空いているので2座席を独占できる。この調子でリスボンまで行ければ快適なバス旅になりそうだ。 4時、小雨の降る中ポルトに到着。ここのバスターミナルは3年前にも来た事がある。ポルトの外れなので観光できるようなところは何もないが、ここで50分の休憩だそうだ。小雨も降ってるので散歩もできないから、そんなに休まなくてもいいっちゅうの。 地下に何かありそうなので行ってみると、広い構内にカフェがぽつんとあったのでコーヒーとナタで1.35ユーロ。コーヒーはちっさいカップで出てきたな。そう言えばポルトガルのコーヒーってこういうんだと思い出した。エスプレッソと言うやつか、小さいけど凄く苦い。地下鉄の駅にもなってるらしいが、トイレなんか一切ないし地上のバスターミナルにもトイレがない。日本はつくずく便利に出来てると思った。 ほかの乗客も行くところもないし座るイスさえないターミナルで時間つぶしが大変そう。バスの中の方が暖かいし座れるので入りたいが運転手は扉に鍵を掛けてどっかに行っちゃってるし、じっと待つしかない。やっと扉を開けてくれたので「トイレトイレ」と思って開けようとしたが開かない?ガチャガチャやってたら他の乗客が有料だよと教えてくれる。えっ、そんなぁ。確かに良く見ると扉にはコインを入れる口がついている。長距離バスで有料トイレって初めて見た。しかも1ユーロと通常の有料トイレの倍している。サービス悪すぎだよ。癪なのでトイレはリスボンまで我慢することにする。いよいよになったら1ユーロだ。 8時半、ほぼ時間通りにリスボンに到着。ポルトガルはスペインより1時間遅れなので7時半なのかな?まだ日は高いので上手くすると暗くなる前にホステルに着くことができそうだ。 オリエンテ駅でみんな降りると思っていたが、ここは終着駅ではなかった。予想に反して降りたのは2・3人だけだったので、もっと市内に近いターミナルがあるんだと思って降りないことにする。でも地図で見ると次は空港のバス停になるんかな?空港なら利用する予定の地下鉄赤線(リスボンの地下鉄は色で分けられてる)の始発駅なのでそれでもいいやと思っていたら、どうやら終着点は予定外の知らないターミナルだった。えー、ここどこ?!さっぱりわからないけど全員が降りるので仕方なく降りてみる。取りあえずトイレ探しだと見て回るとちゃんとトイレがあったので、それだけは一安心。 ターミナルの入り口に警官が立っていたのでホステルのある所までどうやって行けばいいのか地図を見せて尋ねる。ポルトガル語なんか分からないから知ってるスペイン語と場所の名前だけだけど何となく通じる。通じてはいるけど地下鉄を使えの一点張り。やっぱりそう来るか。現在地が知りたいんだが互いに言葉が通じないのでこれ以上は無理だ。取りあえず地下鉄駅を探すことから始める。地下へもぐる入り口があったので降りて行くが、調べといた地下鉄駅と違うのでここもさっぱりだ。 見た目で信用できそうな人を物色。通りがかったおじさんを捕まえて尋ねたところ、この人が面倒見のいい人で路線図の所まで連れてって説明してくれる。「ここがうんたらかんたらだから(駅名忘れた)何線に乗って、ここで乗り換えてもうひとつ乗り換えて」と分かりやすく教えてくれたので大丈夫の気になる。 チケットの自販機があったので、タブレットを引っ張り出して千春さんが自ら作ってメッセンジャーで送ってくれた「チケットの買い方ムービー」(写真)を見ながら操作したら何てことなく買えてしまった。ありがたや千春さん。おかげで3つの地下鉄を乗り継いでホステルのある Martin Moriz 駅まで辿り着くことができる。もう薄暗くなってきたが、真っ暗になる前にホステルに着きたいもんだ。 ここからはタブレットの地図を頼りにするしかない。相変わらずビルの多い都会ではGPS電波は拾えないが、駅の位置は分かるのでホステルの方向もわかる。いきなりの長~い急階段を上って、もうひとつ急階段を上った先を左に折れればいいんだ。楽勝だなと思っていたらそこは完全な行き止まりだった!え、これ地図と違うんだけど。じゃぁこの曲がった先へ出るにはどう行けばいいんだと石段を下がったり登ったり、それからはもう路地と石段だらけのグルグル魔法陣に入ってしまったごとく迷い狂う狂う狂う。 ※写真は次ぐ朝に撮ったもので明るいです。一番てっぺんに見える建物はサン・ジョルジェ城。ホステルはその手前。 リスボンのこの辺って坂だらけのリスボンそのものって地域で、地図さえ当てにならない。地図ってのは普通2D、つまり平面だけど、ここは3D。つまり平面に高さが加わっている。狭い石段だらけだからね。今までの常識が当てはまらない地域だったのだ。後で調べたら、この辺りはアルファマ地区と言って。昔の大地震を逃れた地域で細い路地と石段で構成されたもっともリスボンらしい地区と言うことだった。 あたりはもう真っ暗で、地元の人に何人も尋ねながら探すのだけど、教えられた通りにやってくるとまたさっき通った所に出たり、しかも2度3度も。知らないのに教えてくれる人がいたり(ポルトガルお前もか)、でも5人目に聞いた女性はタブレット地図で現在地を教えてくれたので光明を見た気がした。それからは慎重にタブレットの地図と道を突き合わせながらホステルを探すようになる。 いよいよ次の角を曲がればホステルだと言うところに差し掛かったら、なんとここも通行止め。歩きでさえ突破できない頑丈なバリケードなので迂回するっきゃない。最初もこれにやられたので、今度は更に慎重に石段を降りてから上るための石段を探す。バリケードのあった所は90度にカクンと曲っていたので注意してここだろうと思える上りの石段をたどって通行止めの反対側に出た(気になった)。だがここにも目的のホステルがなかった。うーん、もしかして看板を掲げてないホステルかもなと民家のベルを押すも返答がない。人の気配もしないのでホステルではないようだ。そこへ運良く暗い夜道をカップルが歩いてきたので、これ幸いとタブレットを見せて尋ねたところ、じーっとタブレットの画面を見て現在地を確認。そこを右に行けばいいんだと教えてくれる。「グ、グラ、あ、(ポルトガルなので)オブリガード」とお礼を言ってみる。でもそこは暗い中で目を凝らして見ると突き当たりだった。振り返るとまだカップルはこっちを見てくれている。行け行けと身振りで言うので突き当りまで行ってみると、離れた位置からは見えなかった右に上がる石段があるではないか(下の写真の階段)。またオブリガードと言って石段を登っていく。迂回して通行止めと同じ高さになったと思った所はまだずっと下だった。これだから3Dは迷うのだ。まぁ実際に現場にいるのに分からないんだから、この稚拙な文章で読んでる人に伝わるとは思えないんだが、何しろ分かりにくい所だった。登りきったところにやっと目的のホステルThis is Lisbon Hostel を見つける。 ※上の写真は次ぐ朝に撮ったもなので明るいです。トラックが止まっている所がバリケード。手前のピンクの建物が目的のホステル。通行止めがなかったら目と鼻の先だった。くっそ。 左の写真も次ぐ日に撮ったもの。石段を登りきった右のピンクの建物が予約したホステル。ホントに坂だらけ。 もうヘトヘト。遅すぎるチェックインだけど一方的にキャンセルされることもなく歓迎してもらえたのでホッとする。今日は朝飯を食べただけで腹ぺこだったけど、この付近は真っ暗闇の坂ばかり。飲食店は駅まで戻らないとならないし、もう食べることは絶望的なのでホステルで売られていたビールを2本飲んでごまかすことにする。 あてがわれたベッドルームは2段ベッドが2台の4人部屋。遅く着いた私は当然ながら上段しかなかった。下段にはフレンドリーなメキシコのおばちゃんが入っていたので簡単なスペイン語でお喋りができるのがせめてもの救いか。シャワーしてさっさと寝てしまう。ほんと疲れた。 ポルトガルの道2へつづく |