ポルトガルの道6   アルベルゲないベルゲ

6月3日  日本出発から43日目
 ベッドルーム衝立の向こう側のキッチンでヨーグルトを2個だけ食べる。このアルベルゲは兄ちゃん以外みんな友達みたいになってるので明かりを点けるのも気楽にできる。

 もそもそしてるパベルを残してフィリップスとジャンピエールがまず出発。6時半、今にも降り出しそうな曇り空の中を自分も出発する。昨晩、パベルを連れて来てあげた線路をまたぐ陸橋を越えて向こう側の巡礼路に出る。少ししたらパラパラと降ってきた。そんな気がしてたよ。

 人里離れた平野の中に人影らしいのがポツンと見えている。何だろな、人のようにも見えるが全然動かないので木杭か何かかな?近づいてみたらフィリップだった。こんな何もない所で何をしてるんだろうと思ったら、その遥か先からこちらに近づいてくる人が見えた。これはジャンピエールだった。道を間違ってしまい、それを見たフィリップがここで待っていたところだった。「ジャンピエールッ」と大声で言って手を振ってみる。ここは三叉路になっていて、巡礼路を間違って進んでしまったようだ。ポルトガルの道は矢印が大サービスしてあるので、次の分かれ道に矢印がなかったら、それは道を間違えた印だ。さっさと引き返すのが吉。

 三人で一緒に歩き出すが、ジャンピエールは少しメタボなので歩くのが遅い。だんだんと離されて行くが二人とも待つようなことはしない。それやると双方とも負担になるからね。フィリップスは私より少し歩くのが早いが、そんなに距離が開くこともなく最初の村に入った。カフェがあったので二人で入って行くと、年配の巡礼が一人先着していた。初めて見る顔だ。外のテーブルでコーヒーを飲んでいたら、赤いポンチョを翻してジャンピエールがやって来た。4人でお喋りしてから三々五々歩き出す。

 どひゃっ!!川の中に凄いものが落ちていた。車だよ、まさか中に人が入ってるんじゃないだろなと思って覗きこむ。近くにはタイヤの跡もブレーキの跡もないので昨日・今日落ちたのでないのは分かる。いったいここに何日何か月、はたまた何年このままでいるのか。ポルトガルじゃこういうの放っといても問題ないのかな?日本ならすぐ警察が飛んでくるだろう。


 大規模な作付けをやっている所に出くわす。すんごい広さで東京ドーム10個分くらいはありそうな面積を村総出と思われる人数でやっている。トラック並の巨大な機械を使っており、これ見ると日本の農業機械ってちんまりした物にしか見えない。

 サンタレンが近づいてきた所で2晩一緒になった女性二人組に追いつく。やっぱり女性は足が遅いのか、それとも年齢差のある二人なので年配の方に合わせているのか。道端に座って休みだしたので声を掛ける。二人とも今晩の宿はサンタレンとのことだが、どこに泊まるのかハッキリしないようだ。親子ほどの年の差がある二人だが気が合って一緒に歩いているだけらしい。

 今日は32キロだったので流石に疲れた。ここサンタレンは山の上に築かれた町なので最後の2キロが急な上りでトドメを刺されたって言うか。えっちらおっちら上ってやっと町の中へ入ると急に都会ぽくなっていた。ここのアルベルゲ情報は不足していて、矢印に従って進むも、とうとう道筋にアルベルゲは見つからなかった。カテドラルのような観光案内所のような中に入ってアルベルゲの場所を尋ねるとN1ホステルを紹介するばかり。N1の回し者か?この時点でアルベルゲは諦める。係りのお姉さんは「スタンプはどうですか?」と聞いてくれるがこんなインフォメーションのスタンプなんかいらんよ。

 結局、元々この町にアルベルゲは無かったようだ。でもここにはインフォメーションで教えて貰う前からN1と言うホステルがあるのを日本人のブログで知っていたし、サンタレンの何キロも手前からしつこくN1ホステルの看板があったので巡礼の全員が知っているだろう。N1を目指すべくタブレットを出すと、割と近くにあるようなのでラッキー。小雨の中をN1に行ってみる。

 大きな建物なのですぐ見つかったが入り口にはシャッターが下りていてインターフォンがあるだけだった。押しても反応がないので休みだと不味いなーと考えていたら通りかかった近所の人が「そっちから入れるよ」と教えてくれた。なるほど、どういう訳かビルの隙間から入った所がレセプションだった。中々こじゃれたホステルで、受付の娘さんも垢抜けていたのでブログで読んだ家族経営のホステルとは感じが違った。3時前にチェックイン。朝食付で15ユーロだった。入り口は数字のボタンを押して開けるシステムなので、その番号を教えてくれる。忘れない内に紙にメモしてポケットに入れておく。ロビーになっている端っこにバーがあったので、ビールを飲ませてもらう。グラスは2種類あったのでここは大だ。つまみに豆が付いてきたが入れ物が皿ではなくステンレスのカップなので餌みたいだったな。ハイネケン一杯が2.5ユーロもしたよ。

 隣のベッドに顔見知りのシンガポールの兄ちゃんが入ってきた。昨晩は自分と同じアザンブジャ泊まりだったが、私たちが泊まった公営が見つからなかったのか、アザンブジャには私営アルベルゲはないからホステルにでも泊まったようだ。手帳に名前を書いてもらったら、許維文(こーういぶん)と言う名前だった。日本語読みではこうだよと教えてあげると、音読みと訓読みがあることを知っていた。中国はひとつの漢字にひとつだけの読み。

 シャワー・洗濯してから買い物に出かける。迷っているときに見かけた大きなショッピングモールへ行ってみる。2階が飲食店街なのはどこも似たようなものか。安いところはどこかなと物色。中国料理の店が一番安いようだし、食べなれた料理の気がするのでここにしよう。青島酒家、店内の明かりは消えていたのでやっているのか怪しいが、出てきたおばちゃんに聞いたら営業中とのこと。省エネなんかな?焼きそばセットみたいのを頼むと春巻きはどうかと勧めてくる。んーいらない。飲み物は何にしますか?ビールはなさそうなので珍しくリプトンティー。また春巻きを勧めてきたので、セットメニューに入っているのかなと思って頼んでみたが、これは別料金だった。よっぽど春巻きが売れ残るのを心配してるのかな?合計で6.9ユーロ。

 食べるのはモールの中に沢山置いてあるテーブルを利用するのだった。だから店内の明かりは消しているのか。それにしても明かりが消えてたんじゃ休みと思って客が来ないんじゃないのかね?それともサンタレンでこういうのは普通の営業形態なんか?見ているとたまにやって来る客は店先で買ったのをお持ち帰りしていた。

 テーブルで待っていると出来たての焼きそばが運ばれてくる。上には大きな春巻きがどーん。太麺の焼きそばには肉とマッシュルームがたんまり。久しぶりに出来たての熱々料理を食べられたので大満足。やっぱり中国人経営のレストランは安くて美味い。割り箸の袋には日本語で「竹のたより」と書かれていたけど店とは無関係だろう。

 帰りに同じモール内にあるスーパーで缶ジュース2とバナナ、ヨーグルト4個買って帰る。明日は晴れるといいな。明日からはサンチャゴ巡礼路を外れてファティマを目指す。


ポルトガルの道7へつづく