ポルトガルの道14 コインブラ到着 Coimbra 6月11日 日本出発から51日目 厚い雲が立ち込めているが、今のところ降ってない。このまま持ち続けてくれい。朝飯には最初からカットされているバーガー用パンにサラミとムースチーズを挟んで食べる。持ち歩いていたケチャップの小袋がやっと役に立った。カップにスープの素を入れてレンジでチン。朝なのでコーヒーを飲みたいが、昨日のスーパーにはインスタントの小袋が置いてなかったので、どっかで仕入れたいな。 8:15、出発。途中で逆方向に歩く夫婦の巡礼と会ってエールの交換。奥さんの持ってるスティックは又もや細い紐がぶら下がった柄の青い奴を持っていた。これあちこちで目にするのでよっぽど売れているようだ。ベルトじゃないとスティックは100%の実力を発揮できないんだけどな。最初からこのタイプを使ってると気にもならないだろけど。 今日は降られずに済みそうだ。11時半、高台からコインブラの街並みが見えるところに到達する。やっと大都市コインブラまで来ることができた。半年の内にコインブラ二度来てしまったよ。しかもリスボンから歩いて来てしまったなんて嘘みたい。高台からは下りになり町の中に入っていく。大きな町は迷い易いので矢印が見つからない交差点などでは慎重に遠くまで目を光らせる。 大きな修道院が道筋に現れて、これが今晩の宿「Igreja da Reinha Santa Isabel」だ。ここはサンタ・イザベルの棺が祀られている有名な場所。大きな修道院の棟続きにアルベルゲの入り口もあったので、有名な施設に泊まれると、ちょっとワクワクする。でもまだオープン前なので、入口に「 Arbergue 」の文字を確認して素通りし街中を目指す。 大きな川の手前に旧修道院というのが現れて、この修道院は川端にあることから、幾度となく水害に遭ったために現在の高台に新しいのを建てたと言うことだ。外から見ると廃墟そのもので中を見学できるような雰囲気はなさそうだが、中庭辺りにガラス張りのエレベーターらしいのが見えるので、観光地になっているのかな?こんなとこに足を踏み入れたら床や壁が崩れて大怪我しそうだが。そんなことで、取り壊されることなく今に至っているようだが本当の所は分からない。 長い橋を渡るとこっからは本来のコインブラの街だ。渡り切った処に三角公園があって、1月にトラピックスツアーでコインブラに寄ったときに、自由時間の集合場所にしていた公園だ。公園沿いにはツアーの時にお土産として金平糖を買ったお菓子屋もある。ツアーの時に案内された道を逆に辿りファド博物館。ここは自由に入って見物してもいいらしく、観光客が群れている。石段に座ってた男が手のひらを向けて来たが、これが物乞いかと思わせるほど普通の男だった。働け。 坂の途中にはツアーの時、外から見ただけで入らなかった旧カテドラルがある。ツアー時の説明ではコインブラ大学の卒業式後に、この教会前で学生が帽子を放り投げる伝統があるとの説明があったが、カテドラルはそんな軽い説明で済ませる処じゃなかった。国王の戴冠式が行われたり、聖堂の中にはイザベル妃ともう一人従者の墓があった。その前で熱心に祈る人の姿もあったので、イザベル妃って聖人なのかな?ちゃんとした説明版が設置してあるが恥ずかしながらここでは文盲なのでまるで分からない。泣 日記には「サンタクララの遺骨がある場所と肖像画を写真に撮る」と書いてあった。それで思い出した、これは確かに聖人だ。じゃぁ妃は???何だか良く分からんね。肖像画の優しい妃は貧しい民衆に食べ物を施し続け、それを見咎めた王がエプロンに隠した食べ物をチェックしようとしたときに、食べ物がバラの花に変わったという奇跡があったとかなんとか。ホントかなぁ?私は現実主義的天の邪鬼カトリックなので、そんなしょーもないことに奇跡を起こさせるかなーと信じる気にならないが、ここで言ったら袋叩きに遭うだろう。 ここからコインブラ大学に行こうとしたが、ちょっと迷う。でもタブレットのGPSがうまい具合に機能したので軌道修正。無事にコインブラ大学の門をくぐれる。広い庭には今日も観光客がぱらぱら居たが大学の黒づくめの制服を着た学生の姿はなかったのでちょっと残念かな。華やかな空間にホームレス一歩手前姿の私はかなり浮いている気がする。 ここは有名な図書館があるが、これかなと思った部屋は大学内の聖堂だった。どこなのか今回も分からないまま。まぁ事前情報では図書館に一度に入場できるのが60人迄なので数時間待つそうだ。おまけに10ユーロじゃ入る気がしない。と言うことで最初から諦めてたけどね。戻る途中に新カテドラルがあった。立派だけど新しいのは興味が薄れるので外から見るだけにしておく。 帰りはツアーで歩いた道順のとおりに戻ってメインストリートらしき通りに出る。ここを三角公園と逆に行けばサンタクルス教会だ。教会は無料で入れた。中は大きなアズレージョが一面に施されてあり、これだけでも見ごたえがある教会だ。中央の祭壇には上へと続く不思議な階段があって、一風変わったデザインだな。いわれを知りたい処だが想像するしかない。まぁ見た目からしたら天国への階段がどうとかなんだろう。ネットで調べても日本語のサイトでは階段に言及しているところは皆無だった。これより奥へ入るには料金が掛かるらしいので入らない。 三角広場へ戻って、近くのToledo と言うカフェに入ってツナのボカディージョと飲み物のセットで4.9ユーロ。もちろん、飲み物にはビールを選択だ。観光地でこれなら安いほうだわ(想い出の九十九里浜風)。 アルベルゲのオープンが2時なので、そろそろ移動を始めよう。長い橋を渡って反対側の高台へ向かう。ごつごつ石畳のすごい急坂。1:45だけど、門が開いているので入ってもいいのかな。ここは建物の中にカフェがあって、そこがアルベルゲの受付もしていた。ベッドルームはカフェを通り越した先にあった。ここで念願の新しいクレデンシャルをゲットできる。2ユーロ。一発目のスタンプはもちろんコインブラだ。ベッド代は公営にしては少し高めの10ユーロだった。イタリア人の4・50代と思われる二人のご婦人が一緒にチェックインした。ここは一応、男女別の寝室になるようだ。女子が1階で男は2階。男は女子のベッドルームを通り越してキッチンや出口に向かう。逆の方がいいんじゃないのかね? シャワー・洗濯をしてベランダの物干しにかけていたらフィリップスが到着して来たのが見えたので2階から「フィーリップスーッ」と声を掛ける。同時にパベルも到着。また同じ部屋に3人が揃った。ホントに縁が深い。 フィリップスと一緒に買い物に出かけることにする。フランスに沢山あると言う LiDL と言うスーパーを来る途中に見たというので付いていく。手前に雑貨屋があって、フィリップスはタオルをどっかで無くしたと言って雑貨屋から小さめのタオルを1つ買っていた。幾ら注意してても無くす時には無くしてしまう。 スーパーで1リットルビールを今回は2本買ってみる。フィリップスとパベルがいるので二人にも飲ませてやろう。トマト2、大き目のヨーグルト2、黒パンと念願のインスタントコーヒー10本入りで合計7.33ユーロ。今回もカードでお支払い。 アルベルゲに戻って早速飲み食いを始める。隣のテーブルでフィリップスも始めたのでビールを何杯も勧める。イタリア女性もやって来たので若い方にまずビールを勧めてみるが、この人はいらないそうだ。遅れてやって来た年配の方に勧めたら、この人は1杯飲んでくれたな。フィリップスは今晩ファドを聞きに行くと言ってる。そんな趣味があったんだ。 サンタ・イザベルの棺があると言う博物館を訪問しにいって来よう。カフェのおかみさんにそう言ったら、この横っちょから直接行くことができると言う。へーっと驚いていると「ここも修道院の中だよ」と言ってるようだ。秘密の通路みたいな穴倉を通って博物館のレセプションまで行くことができる。こりゃ無料で入れるのかなと期待したが、そんな甘いことはなくて2ユーロを支払うことに。レセプションには受付の女性の他にアルベルゲの中をうろちょろしていた身なりの良い男性がいたので、ここの職員だったのか。当然、私のことを覚えていて「お、来たね」みたいな顔をしてくれる。2ユーロで入れる空間は聖堂のみだったが、祭壇の上にはサンタ・イザベルの棺があって、荘厳な空気で満たされているようだった。その前で熱心に祈っている人も二人いる。でも写真は撮る。 見終わってレセプションに戻ると、さっきの男性が「庭も見てって」と案内してくれる。修道院にはどこでも中庭があるようで、ここもちゃんと整備されていた。ここまでやって来る観光客は少ないのか、庭師のほか2人しかいなかった。コインブラは大学が超有名なので、ここはその影に隠れてしまうのかな。コインブラの有名どころはこの他に「悲しみの泉・愛の泉」と言うのがあるそうだ。王子と次女の悲恋の話の舞台となったと言うことだが、実際は色ぼけのろくでなし王子のために周りが不幸になった話だろう。歩いて行ける距離だが行くほどの所でもないので止めておく。 8時から飲み会しようねと約束していたので、時間になったらキッチンに集合。私とパベルの1リットルビールが2本並び、フィリップスはワインを仕入れてあった。フィリップスはフランス人なのでチーズとワインにはうるさそうだ。何か講釈を垂れているがそんなの聞いちゃいない。興味があるのは値段だ。幾らのワインかと聞いたら3ユーロらしい。3ユーロって400円未満だよな。それでもワインにうるさいフランス人のお眼鏡には適うようだ。 つまみが無いので、売店に行ってポテチを買ってきて提供する。パベルはクラッカー、フィリップスは正体不明の酸っぱい物を出してきた。わははわははと楽しんでいたら、パベルがキッチンのドアをそーっと閉めたので、寝ている人に気遣いすることを忘れていた。それからは小声でお喋りを続ける。パベルの英語だけは流暢のようだが、私とフィリップスは片言だ。それでも何とはなしに楽しいのが嬉しい。 ポルトガルの道15へつづく |