ポルトガルの道17    今日も宴会 Albergaria a Nova

6月14日  日本出発から54日目
 キッチンでフィリップス、パベルと一緒に朝飯。アルベルゲで飼われている猫なのか、昨日からベッドルームを出たり入ったりしていて、今朝もキッチンにやってきておねだりしている。昨晩は自分のベッドに寝ていたので外に出したが、簡単に戻れて、パベルと一緒に寝たそうだ。パベルは猫好きらしい。

 7:10、まだ雨は降っていないが、今にも振り出しそうなので雨支度をして出発。アゲタ外れの民家に傘が3つ飾られていた。アゲタらしいのを見たのはこれが最初で最後だった。傘の通りは見られなかったけど、これだけでも見られたからいいや。9:17、Mancinhata do Vouga のカフェで一休み。カフェコンレチェとチョコパンで2ユーロ。安くてありがたい。


 歩いていると道沿いに西洋のお化け屋敷みたいのが現れた。リアル・ホーンテッドマンションか?石の文化の国の建築物は簡単には朽ちることはないので、こんな感じで残っている建物が結構ある。こういうのをカメラに収めることを道々の趣味にすると切りなくありそうな気がする。人が住んでいるんじゃ憚られるが、空家なんだから写真に撮るのは構わないんじゃないかな。ホントに歩いていると後から後から登場する。次は廃墟ではないが石つくりの古い橋。この下を巡礼路は貫いている。他の人のブログでは、ここが完全に水没していて迂回せざるを得なかった写真を見た。今日は何の問題もなく歩くことができるが、天気が悪いと水没してしまう巡礼路はあちこちにある。


 今日は二組4人の逆ルートを行く巡礼とすれ違う。ここからファティマまでは凡そ1週間、リスボンまでなら2週間の行程だろう。元気に歩き続けられることを祈ってブエンカミーノ。巡礼者同士はいつ何処で会っても国を越えて言葉を越えてすぐ打ち解けあえるのが素晴らしい。

 アルベリガリア・ベルハの町はそこそこ大きかった。町の中の巡礼路沿いに公営のアルベルゲがあって、ここなら買い物も便利そうだなぁと思って写真を撮っていたら、調度そこへオスピタレラが出て来て、手を挙げながら道路を渡ってやって来てくれる。。同じ方向に用足しに行くそうで、少しの間一緒に歩きながらお喋り(簡単な英語で)。フランスからこのアルベルゲにボランティアしにやって来たそうだ。偶然、知り合いになれたことだし、もう少し時間が遅かったら泊まりたかったところだな。

 舗装路と森の中を24キロ歩いてアルベルガリアーノバのアルベルゲに12:20到着。昨日の素晴らしいアルベルゲと比べると施設は劣るがオーナーの青年が凄く感じがいい。一泊10ユーロだけどウエルカムドリンクにビールが貰える。そのほか菓子や飲み物は勝手に飲み食いして価格分を自分で箱に入れるだけ。その箱にも鍵はかかっていないし価格表も良心的。私営アルベルゲの中には商売っけ丸出しの所もある中で貴重な存在と思う。ここは歩くのが早いフィリップスが先着していた。

 シャワー・洗濯を済ませて下屋のイスでまったりしていたら、オーナーの青年は買い物に出かけるので私に留守番しててと言う。巡礼がやってきたら、この冷蔵庫から小さいほうのビールを飲ませてねと伝言して行ってしまった。ホントに人がいい。

 3時前に昨日の大人数が到着してきたが、アメリカの老婦人とパベルの姿がない。二人とも男女の最年長なのでゆっくりと一人で歩いているんだろう。でもそれから30分したらパベルだけは到着してきたので、またこのアルベルゲで集合できた。早速みんな中庭にあるテーブルで飲んだくれているな。パベルは赤ワインを1本買ったようだ。

 食料を仕入れたいが、おかみさんに尋ねたら北に1キロ行った所にミニ・マーケットがあるそうだ。くそ暑い中をビーサンでぺたぺた歩いていく。着いたらてんでお粗末で買いたい物が何もないようだ。外から覗いただけで入らないでおく。そこから更に北に行った所にフルテリアがあったので、果物だけでも買えればいいやと入っていく。バナナ2、りんご、カシューナッツにアーモンドで5.81ユーロ。ナッツ類はどこで買っても割と高いが、昨日のグループと一緒になったことだし、また宴会になったらツマミとして提供しようと多めに仕入れておく。

 主食になるような物が買えなかったので、今晩の当てがないな。ポルトガルでもスペインでも、果物屋でもパン屋でも、ビールを始め色々な物を売ってたりするんだけど、ここんちは本当に果実類しか置いてなかった。(果物屋は次ぐ朝の写真)

 夕飯には地元の人しか行かないような、うらぶれた食堂を教えてもらいフィリップと出かける。看板も出てないし目印はただひとつ「入り口にホタテ貝が1個掲げられている」と言うだけ。外からは食堂とはまったく見えない店だったので、昼間、買い物をしにこの前を歩いたのに全然気がつかなかった。(これも次ぐ朝に撮ったもの)

 フィリップスがホタテ貝に気が付いて「ここだここだ」。中に入ると昨日の6人が既に着席していて歓迎してくれる。みんなも地元の食堂を教えて貰ってたんだね。パベルも後からやってくる。それからは昨日と同様、ひとつの長テーブルを囲んでワハハワハハと楽しい宴が始まった。そんなことになるとは予想してなかったのでタブレットもカメラも持っていかなかったから残念ながら写真が撮れなかったのが心残り。フィリップは盛んに撮っていたが、見せてもらったら白黒だよ。いまどきそんなデジカメがあるんだ!白黒だとメモリ節約になって良いと言ってるようだが、どんだけ貧弱なカメラなんだよ。フランス製か!?

 夕食代は8ユーロとアルベルゲで聞いてきたけど、レストランと同様にパンとスープ、サラダにメイン料理が一皿、デザートは濃厚なチョコレートムース。ワインは大振りの花瓶みたいなデカンタがふたつデーンとテーブルに置かれ、それが終わると頼みもしないのに勝手にデカンタごと追加してくれ飲み放題だった。レストランは老夫婦が二人で切り盛りしているようだが、今晩は大勢の客が押しかけたからなのか、外からコックがやって来た。

 コーヒーの後、極甘のポルトワインがグラスで一杯出てきた。更に食べ終わったチョコレートムースの容器にはスコッチが注がれる。店の人も久しぶりの大勢の客にテンションが上がったのか、最後にショットグラスに何やら強い酒と、さらに花から抽出したという強い酒(アニスと書いてあった)をミックスして撹拌。これは一気飲みするんだそうだ。8ユーロでは安すぎでしょう。これで儲けが出るのかな?ひょっとして今晩は赤字!?宴が終わると、また1kmの暗い道を8人でぞろぞろ帰って来る。なんか楽し過ぎ。(写真は昼間撮ったアルベルゲ)


ポルトガルの道18へつづく