ポルトガルの道24   アルベルゲでBBQ Sardao

6月21日  日本出発から61日目
 上のキッチンへ移動して、昨日間違って買ってしまった野菜の残りでスープを作る。それとパンとヨーグルトの朝飯。エステルと若干メタボの姉ちゃんもキッチンにやって来て何か食べだした。三人とも同じキッチンメンバーで、アルベルゲには沢山の人が泊まっているが自炊する人はこのメンバーくらいだった。エステルがアボガドを一口くれた。

 エステルは今日アルベルゲの無い町のヴィラブライアデ・アンコラのホステルを予約してあるそうだ。どこなんだろう?でもアルベルゲがないんじゃ私は泊まらないけど。その他、多くの人は28キロ先の Caminha を目指すだろうが、日数が余りすぎている私はどこかでショートコースを3回入れた方がいいので、どうするかな。

 野越え丘越え線路も越えて、のんびり歩きながらも11時前にはもう Sardao のアルベルゲ前に到着してしまう。時間が早いとついつい先へ行ってしまうんだけど、今日は道端に候補のアルベルゲが出現して、覗いたら面白そうなので寄ってみた。早すぎる時間だが快く迎え入れてくれ、中を案内してくれる。私営アルベルゲの良いところ。外はすこぶる古い建物だし、中も相当なもんだが古さを生かしたリニューアルがしてあった。ベッドルームはモダンで近代的にさえ思えた。

 エントランスにはワインの搾り器が!昔は風呂桶サイズのこの中にブドウをぶち込んで足で踏ん付けてワインを搾ったんだろう。外側の小さなマスには蛇口が付いていて、絞ったワインがそこから出てくるようだ。壁も柱も石造りで古さを生かしながらもモダンな作りになっている。キッチンにはビールやコーラが冷蔵庫の中に入ってて、小さいビール瓶はなんと0.5ユーロだそうだ。外に買いに出る必要なくなったよ。ここも勝手に飲んで代金は小箱に入れてと言うことだった。メニューが置いてあったので、アルベルゲで食べられるのかと思ったが、村のレストランがデリバリーしてくれるそうだ。時間も決まっていて、夕方の7:45とのこと。昼飯は無理だ。

 くる途中に店があったので、ちょっと歩くが買い物に出かけていく。途中、一昨日のアルベルゲでワインを1杯飲ませて上げたドイツのお嬢さん二人がやって来た。ちゃんとレジ袋を提げているので、目指すスーパーで既に買い物を済ませて同じアルベルゲに向かっているようだ。なかなか手回しがいい。また後でなんて言いながらバイバイする。

 安い白ワイン1本とトマト、ポン菓子みたいの1袋、スープの素にスモモみたいのと卵6個で9ユーロ以上もした!ぼられたかな?それとも不便な所なので高いとか?ぼられるのが分かっていればひとつひとつの値段を確認しながら買えば対処できるが、そんなのは滅多にないことなので何気なく買ってしまうので防ぎようがない。

 スープを作ってみた。具は卵3個とトマトだけ。買ってきたクノールスープがトマト味なので合うかなと思って。食べてみるとまずまずかな。

 ベッドルームは二つあり、もう一つの方には子供を二人連れた夫婦が入った。こちらのベッドルーム、最後の下段にはドイツの女性がやって来た。40歳くらいかな?英語はリトルと言うことなので、英語片言同士の方が話が通じやすいので親近感が沸く。この女性はなんと一人でマラガまで歩くと言ったのでビックリ。マラガはイベリア半島の最南端で地中海に面している。こっからだと千キロ以上ありそうな遠いところ。2ヶ月くらい掛けて歩くらしい。華奢な体なのにすごいことを考えるもんだ。荷物は既に送ってあるそうで、軽装で歩けるらしい。ベッドルームでは黒いレギンスをアウターとして寛いでいる。日本人は決してやらないけど、欧米の人は気にしてないようで、たまにこういう人がいる。

 ここの自然な庭には馬や羊が放し飼いになっていて、ハンモックもあった。ドイツの女の子達がハンモックを利用しているので自分も寝そべってみる。人生初ハンモックかも知れない。ハンモックはボーっとのんびりするには最適だ。子供たちは大きな馬を怖がること無くなでている。見ている親も特に危険と感じてないようなので、普段から馬に接している家族なんかな。

 今頃になってオーナーがバーベキューの注文を取りに来た。夕方から始めるそうだ。え、そんなのがあったのか。早く言ってくれれば大金使ってスープを作らなかったのに。でもこういう機会は貴重なので腹は減ってないけどメンバーに加えてもらう。

 別棟になっているガラス張りの一軒屋に3人いたので遊びに行ってみる。日記帳に名前を書いてもらったら、カリーナと言うそうだ。へー、日本の車にカリーナってのがあって、うちでも乗ってたよ的なことを言って見るがすんなりとは伝わらない。そのうち気がついて、自分から「トヨタカリーナ!」と言った。ほー、トヨタのカリーナってドイツでも売られてたのか。もう一人の友達はジェシカ。私の年齢を聞いてきたので英語で言ったら、ドイツ語で68は「アクトン デェスティ」だと教えてくれる。ついでにみんなの年齢も白ばっくれて聞いてみると、ジェシカは20歳でカリーナは少しお姉さんの23歳だった。もう一人の女性はカリーナと似た名前でガリーナ35歳で、この人もドイツだった。3人は既に赤ワインを1本空けてしまっていたので、私に「ごめんなさい」と言っている。それで気がついて冷蔵庫に入れといた白ワインを持ってきて3人にも飲ませて上げる。

 バーベキューが始まった。焼きながら食べるんじゃなくて、アルベルゲの人が全部を焼き終えたのを自分の皿に取って食べるスタイルだった。肉より食べやすいソーセージの方が好き。家族連れ4人も参加して楽しいひと時になったがマラガへ歩いていく女性は不参加だったようだ。残念ながらワインなどは出なかったな。

 バーベキューの串を2本、ドイツの子が皿に載せてたので、ここは一丁箸の使い方を教えてやろうと言ったら、オーッと歓声があがる。これは意外だったが日本人が本場の箸の使い方を教えてくれるのはきっと意味があったのかも知れない。大人たちはすぐ使えるようになったが、子供にはやっぱり難しいようだ。先に覚えたお母さんが一生懸命に教えているが旨くいかない。まぁ人生初の箸体験にはなったことだろう。

 今日はショートコースで楽勝だったが、店の往復が暑い中、坂道を1.6kmとしんどかった。明日も18キロのショートコースなので気楽。あと2、3回ショートコースを入れて余分な日数を潰しときたい。


ポルトガルの道25へつづく