ポルトガルの道27   コリアの歌姫 Ramallosa

6月24日  日本出発から64日目
 7時半、今日からスペイン時間に時計を合わせる。ポルトガルなら6時半だ。ホステルの部屋で昨日と同じ物を食べる。コーヒーが飲みたいがお湯がないので水溶きコーヒー。飲まないよりずっとマシ。コーヒー持ってると便利だ。ホテル側のフロントまで出向いてカギを返して、ついでにネットをチェックする。

 ホテル前で出発の用意をしていたら目の前を巡礼が歩いて行く。すぐ合流したのはコリアのお嬢さん。学生かと思ったらプロのジャズシンガーとのことでビックリ。Youngmi(ヨンミ)ちゃんは日本語を少し話すので喋っていて楽しい。その上この子は、こんなおっさんでも一緒に歩くのが楽しいらしく、写真を撮ってると待っててくれるし、休むと言うと一緒に休んでくれる。朝飯のようで、ボカディージョを取り出して「一緒ニ食ベマスカ?」と聞いてくれるが一人分サイズなので勿論ノーサンキュー。

 昨晩は私とほぼ同じモウガスのホステルに泊まったそうだ。ビーチがいっぱいある地域なので、探せばそんなのがあったのか。今日は私の目的地より4.2km手前の Baiona のホステルに予約を入れてあるらしい。15ユーロだそうなので、ちゃんと安いところを探してるんだな。結局、ヨンミちゃんが泊まるという町まで一緒に歩く。この Baionaと言う町は観光地のようで賑わっている。インフォメーションに入りましょうと言うので付き合う。ヨンミちゃんはこの町止まりなので情報収集したいのかな。「私の泊まるホステルはこっち」と言う角まで一緒に歩きそこでバイバイ。お喋りしながら歩いていると時間が経つのが早い。

 1時少し前に Ramallosa の町に到着。地図どおりの橋を渡って坂を登り、突き当たった所が今晩の宿。歴史を感じる立派なホステルだ。名前も立派で「Hospederia Paso Pias」。この町にはアルベルゲがないけどネットではこのホステルを紹介している。情報では個室で15ユーロの筈。でも到着して張り紙を見たら受付が3時だった。うえ、2時間待ちかよ。それを知ってたら同じ料金なんだからヨンミちゃんと同じホステルで良かったなと思うが後の祭り。どうも昨日から宿では多少の苦労が付きまとう。

 スーパーは大きなチェーン店の Gadis と Dia が近くにあるのに日曜で両方とも閉店だった。すっごいついてない。チェックインまでかなりあるし、ちゃんと泊まれるか確認しときたいな。もし泊まれないようなら何か別のことを考えなくてはならない。誰かやって来ないかな。中で音がするのは聞こえてくるのだがこっちまで出てこないので確認しようがない。

 暫くしたら運良く顔見知りの巡礼夫婦礼がやって来た。他にも泊まる人がいると思うとほっと一安心。もし泊まれなかったとしても一人じゃないし。夫婦はどう言う訳か、扉のない1室の中にリュックとスティックを置いて、私にも「モチーラはここに置けるよ」と言い残してどっかに行ってしまった。まぁ多分泊まれるのを確認できたので、スティックだけそこに置かせてもらい食べ物を探しに町に戻って行く。

 メインストリートにはバルが何軒もあるが、やっぱり店から買ったもので安く済ませたい。路地の先に小さな店があるのを発見。近づいていくとここんちは開店していた。やった。スペインは日曜休みにする店が多いが、中にはこうやって日曜も開けるしシエスタさえやらない店がたまにある。中に入ると本当に雑貨屋で、子供のおもちゃから手作りパンまで置いてある。ビールは見当たらないが尋ねると客からは見えない冷蔵庫からエストレージャの大小缶ビールを出してきたので大きいほうを頼む。それとガラスケースの中から指差しでトルティージャ。両方で3.5ユーロだった。食べられそうな所も見当たらないので、石段に座って飲み食いする。500ml缶ビールはそこそこ飲み出があってグー。

 オープンまでの待ち時間はたっぷりあるので、大きな川岸に移動して日陰になったベンチで日記を付けながらまったり。サーフボードの上に突っ立ってオールで漕ぎながら移動している人がいる。あんな遊びがあるんだ。向こう岸に巡礼路が見えているので、エステルでもやって来ないかなと期待してみる。エステルは来なかったけど、今朝会ったおばちゃん巡礼がやって来た。あの人もきっと同じホステルを目指しているのだろう。橋を渡り終えた所で待ち伏せしてホステルまで一緒に歩く。彼女はオーストラリアからやって来たジェーンで年齢は私より少し若いかな。

 まだ2時だが、二人でホステルの玄関を入ったところに調度レセプションの扉が開いたので運良くチェックインできる。1時間も早いチェックインなのでついてる。15ユーロで一人一部屋なのが喜ばしい。バスタオルとハンドタオルも部屋に付属していた。まぁ普通は当たり前だろけどアルベルゲばかり好んで泊まっているとこんなのも有り難いと感じる。かなり年季の入った部屋でシャワー・トイレは共同だが安くちゃ何でもオッケーだ。シャワー、洗濯し終えたらエステルが到着して隣の部屋に落ち着いた。面白い偶然が続くもんだ。

 5時、キャッシング兼ねて買い物に出かけて行く。まだ100ユーロもあるのでピンチじゃないが、カードの決済日が27日なので、いまやると利息が3日分で済む計算だ。キャッシングの利息は年率15%と高額だが、それは1年借りた場合だ。返済が数日なら大した利息にはならないので決済日近くになったら追加キャッシングするのが利口な消費者だろう。今回は300ユーロできたので手持ちが大枚400ユーロになって気がでかくなる。昼前には開いていたので、後で買い物に来ようと目星を付けておいた店は午後になったら閉店してたので、昼に買い物したおばちゃんの店へ。

 ここんちの食べ物はパン類とお菓子しかないので、ピザ一切れと明日用にボカディージョとドーナッツを仕入れる。それとビールのロング缶で9.3ユーロ。調理パンは世界中どこでも割りと高い。2度も買いに行ったので、おばちゃん小さなお菓子をサービスしてくれる。レチェがどうとか言ってたので牛乳を元にした揚げ菓子のようだ。砂糖が振りかけてあって甘い。

 ビーサンだからか、こないだぶつけた足の親指が痛むようだ。旅先で、しかも体が資本の巡礼なので少しの変化でも悪化すると困るので気になる。

 このオスタルは全室個室だが、巡礼仕様なのか簡単なキッチンがあってコップや電子レンジもあって便利。ピザをチンして食べたら美味しかった。おばちゃんの手作りだろう。飲み物の自販機が2台も設置してあるが、ファンタオレンジが1.2ユーロと高いようだ。高い自販機は滅多なことでは利用しない。

 Wi-Fiを繋いだらヨンミちゃんから早速フェイスブックの申請が届いてた。そこには韓国ソウルのクラブで歌っているカッコいい姿があった!歩いているときは純朴そうな少女に見えたが、化粧もバッチリでずっと大人に見えた。やっぱりジャズシンガーだ。(写真はヨンミちゃんのフェイスブックのムービーから)

 明日はビーゴまで歩を進める。ビーゴにはアルベルゲがないので、宿を予約しておくことにしよう。宿予約に利用している Hotels.om は10泊の利用で1泊分が無料になる。既にタダの権利をゲットしているので、今回はそれを使う。と言ってもどこでもタダになる訳じゃなく、利用した過去10泊の平均だから高いホテルには泊まることができない。念入りに調べてホテル・カナイマと言うのに決める。ホテルにしては休めだし立地もビーゴの中心なのでこれなら便利そうだ。Wベッドのシングルルームで一泊4,191円+税・サービス料込みで4,610円。無料分が3,580円なので、足が出た分の差額1.033円だけのお支払いで済む。これで明日の宿は安心。でも巡礼路からどのくらい外れるのかがさっぱり分からない。近づいたら早めにGPSで探すしかない。ビーゴは大都市なのでGPS電波届くかな?

 仲良くなったエステルとジェーンが同じホステルにいるのに、それぞれ個室なので顔を合わせる機会がない。個室はありがたいけど、こういう点では一長一短ありだな。


ポルトガルの道28へつづく