ポルトガルの道28   ビーゴ到達 Vigo

6月25日  日本出発から65日目
 部屋の水道からはお湯が出たのでコーヒーを2杯飲む。いいねー、朝に温かなコーヒーが飲めるなんて。昨日、おばちゃんの雑貨屋から買っておいたボカディージョとクロワッサン風ドーナッツで朝飯。部屋のカギはドア廊下側に挿しっぱなしにしといたら、ホステルのおばちゃんが中にしてねと教えてくれる。更に、チェックアウトするときは廊下側に挿して出てってねとも。だから来た時に廊下側にカギが挿してあったのか。アルベルゲと同じ気になってたからドアにカギを掛ける意識がなかったよ。

 8:15、出発だ。オーストラリアのジェーンは既に出発したようだが、隣りのエステルの部屋にはまだドアにカギが挿さってないので部屋にいるようだ。調度廊下に出てきたので挨拶して霧雨の中を出発。スペインの4人組が歩いていたので少し話して追い越す。歩くのがとても鈍いグループだったな。

 山の中で矢印を見失い焦る。本物の山道なので危険を感じる。方向違いに行ってしまうとかなり危険だ。最後に見た地点まで戻ろうとするが、そこすらも見つからない。気分的には30分迷った気がするけど、実際はもっと短いだろな。分からない山道が怖くなったので舗装路まで戻ってこっちを歩くことにする。濡れたグレーチングが斜めになっていた所でズルッと滑り転んでしまう。打った膝と手をついた際の指が痛むが長続きしなかったので良かった。雨の日は滑り易いのにちょっと油断したな。箇条書きのような文が続いているが至って真剣だ。

 町に入った所に八百屋があったのでファンタオレンジ0.6ユーロを買って店先で立ったまま飲む。ごくごく。遠くのほうにビーゴらしいビル群が見えてるが、ここはまだ手前の町。段々と賑やかになってくると訳が分からなくなって来たのでタブレットの地図をみながら進む。GPS電波はキャッチできてないが、大雑把な位置は分かるので歩く方向はまぁ間違ってはいないだろう。

 とうとうビーゴのど真ん中にやって来た。人だらけ。ビルに囲まれた公園にやって来たが、ここから道は放射状に伸びているのでどこを行けばいいのか判断に苦しむ。ビルの谷間なので勿論GPSは当てにならない。まぁこれだろうと思う道を進むことにする。

 半信半疑のまま歩いていると、バックパックに下げた帆立貝を見たおじさんが後ろから声を掛けてくれる。チンピラみたいなホステルのおっさんがくれた大きなホタテ貝が図らずも役に立った。話をすると巡礼経験者のようだ。カナダの人で、今は観光でやって来たらしい。自分の進む方向に自信がなかったので、ここが何処なのか尋ねたら Camerias 通りと教えてくれる。「ほらそこに書いてあるだろう」と。そう言えばこっちでは通りの名前が住所になっているのを思い出した。ずっと前にお世話になった診療所の受付で日本の住所を尋ねられたときに盛んに「通りの名前は?」と言われてた。日本では住所を通りで現すことはないので返事に困ったもんだ。

 今居る位置が分からなくても通りの名前が分かったので進むべき方向も自ずと分かる。タブレット地図で、ここをこう行って公園沿いぐるっと回った所の交差点を左に曲がってうんたらかんたらと作戦を立てる。歩いていくとちゃんと公園も現れたので気を良くする。それからは地図の通りに進むことが出来て無事に今晩の宿に到着。

 ビーゴは過去数回訪れた町だけど宿泊は初めて。2回来た時は駅の周りをうろついただけで実際の街中へは今回が初めてだ。まぁ大きい大きい。大きすぎて予約したホテルにたどり着くまで一苦労。Hotel Canaima には1時半に到着だが天気が悪いのでずっと遅い時間に感じる。安宿のホステルやオスタルじゃなくて本物のホテルは今回初利用。まぁ私が泊まるんだから安いに決まってますけどね。部屋は最上階の7階、小さなバルコニーもついていて下の通りが見渡せる。でも部屋の天井が斜めってるので屋根裏部屋のようだ。この部屋が良いのか悪いのか分からない。

 勿論、トイレ・シャワールームも付属していてベッドは大きいWベッド。エアコンはなかったけど扇風機がある。快適だ。昼飯を求めて街に出ると、運良くスーパーの Froiz を見つける。1リットルビール、OIKOSヨーグルト2、KASレモン、チョリソーにバケツ野菜にバゲットパン。今回初物のスイカ4分の1も買ってみる。合計7.92ユーロ。円なら1030円と言うところ。日本で同じだけ買うなら半分も買えないだろう。物価安のスペイン万歳。今日もカードでお支払い。

 食べ終わってから一眠り。暇なので明日の巡礼路を探しに行ってみよう。ビーゴ手前から巡礼路と縁がなくなってしまっているので、さっぱり分からない。でもビーゴを貫いて次の町レドンデラまで巡礼路は続いているのでどっかにある筈。ふらふらしていると遠くに見慣れた駅が現れる。2回利用した駅なので懐かしいから覗いていこう。まあ当たり前だが構内は前と同じだった。改札がないので電車のあるプラットホームまで入っていける。ガードマンさんに「CAMINOはどこ?」と尋ねるが、この人はCaminoを知らなかった。でも市内地図をどっかから持って来てくれる。オブリガード。地図にもCaminoルートは記されてないけど、ないよりずっとマシ。

 地図を見ると、ビーゴにもサンチャゴ教会があるのが分かったので、サンチャゴ巡礼者としてはこれは尋ねないとだろう。ホテルの前を逆方向に行くと大きなサンチャゴ教会が通りに面してあったので簡単に見つけられる。中に入っていってスタンプを押してもらう。帰りに果物屋に寄ってトマト、ネクタリンにオレンジ1個で1.26ユーロ。店のお姉さんにカミーノは何処?と聞いたら、「カミーノかどうか知らないけど店の前をバックパックを背負った巡礼が良く歩いているよ」とのこと(スペイン語なので想像でそう理解した)。まぁ通りには矢印もないから本物の巡礼路ではないかも知れないが、ここを北上すればいずれ合流できるだろうと高をくくる。

 ビーゴにアルベルゲはないので、みんなどこに泊まっているんだろうと気になる。明日はきっとレドンデラの公営アルベルゲに集合するかな?もしかしたらセントラルを行ったフィリップスやパベルに再会するかもとほのかな期待が生まれる。

 ずっと使っている日記帳だが、日数が長いのでページ数が足りない年もあった。なので今回は最初から小さい文字で書くように勤めた結果、まだ沢山残りページがある。もうあと20日で旅が終わるので小さい文字で書かなくても大丈夫のようだ。これからは普通サイズで書くようにしようか。


ポルトガルの道29へつづく