ポルトガルの道29 懐かしやレドンデラ Redondela 6月26日 日本出発から66日目 ビーゴのホテル・カナイマ。残りの野菜とチョリソーをパンに挟んで朝飯。OIKOSヨーグルトとコーヒーも飲んでパワー充電完了。この部屋も蛇口からお湯が出るので便利だ。テレビを付けたら「くれよんしんちゃん」をやっていた。しんちゃんがスペイン語を喋っている。入念にパッキングして8:25スタート。天気がイマイチ。 ホテル前の道路には黄色い矢印がないが、ここを北上する意外に選択肢がない。どうせ巡礼路を外れていることだし、なるべく海沿いを歩いていればどっかで合流するだろう。でも田舎と違って都会では海岸沿いに造船所があったり会社が立ち並んだりしているので海岸線を歩くと言う訳にはいかず、なるべく海から離れないようにするのが精一杯。 9:55、最初の町にパン屋があったので休んでいくことにする。スペインに入っているのでお気に入りのコラカオが頼めるようになった。それとドーナッツで2.6ユーロ。カミーノからは外れているが、当たらずとも遠からずな感じがする。ちょっと心配なのは、この先に登場する複雑なラウンドアバウトだ。地図だととても大きな交差点に見えて、まるでインターチェンジかジャンクションに見える。もしかしたらあの交差点は自動車専用かも知れないな。歩行者は入っていけなかったらどうしようと一抹の不安が。 さて、問題の交差点がやって来た。すると手前に黄色い矢印が出現!!おっ、何て幸運。矢印はあの細い坂を指しているようだ。これで間違いなしに進むことができる。交差点から矢印に導かれるまま坂を登りだす。それにしてもこの辺りが巡礼路になっていたんだなぁ。どこで合流したのか全然気が付かなかった。 坂を登って行く途中からはビーゴ湾に掛かる大きな橋が見えてきた。あの橋はポルトとリスボンへ行くバスで2度通過したことがあるが外から見るのは初めてだった。 山の中に入っていくと結構な角度で長い坂が続いている。スティックを頼りにえっちらおっちら登っていくと、昨日の朝に見かけたスペインの4人グループが屋根つきのバス停で休んでいた。アハハ、また会ったと向こうも笑顔で迎えてくれる。いつも一人で歩いている私に年齢は幾つなのか聞いてきたので、68と答えると一様にビックリしていた。まぁ日本人は若く見えるからね。メンバーの一人が足を故障していて、それで歩くのが鈍いと言っていたな。ブエンカミーノ。 下の方に町が見え出した。でも大きくはないので目指すレドンデラとは違うようだ。逆方向からやって来た巡礼は日本人青年だった。へー、こんな若い子が歩いているよ。学生でもなさそうだし、どういう素性なのか謎だった。十字架を首から下げているのでカトリックかと聞いたら、そうだけど洗礼はまだだと良く分からないことを言っている。頼りなさそうな兄ちゃんなので、ちゃんと歩き通せるのかなぁと心配になるほどだった。 町外れのラウンドアバウトでまた迷う。タブレットを出して確認してる最中に離れた所を行く巡礼を発見。あとに続く。徐々にレドンデラ市内に入って来て、こんな感じだったかなぁと言う街並みも出てきた。レドンデラは正面に見えてきた町を跨ぐ長くて高ーい鉄橋が特徴なのを思い出す。見るまで忘れてたよ。 やがて泊まったことのある公営アルベルゲ前に到着。まだ12時半なので1時のオープン前だった。既に十数人が並んでいるので最後尾にバックパックを置いて、知り合いがいないか列の人たちを見ていくと、いたいた、フィリップスがいたよ。ポルトで別れたのが最後だったので、9日振りの再会だ。でもパベルの顔が見当たらないので、歩くのが遅く航続距離も短いパベルはまだここまでたどり着かないようだ。 約15人ほどが行列を作っているが、最初の数人から後ろは間をぐっと空けているので並んでいる風でもないらしい。単にベンチがあるところに座っているだけに見える。10mほど開いた空間に後からやって来た4人グループが入ったので、じゃぁ自分もその人たちの後ろに並んでしまおう。時間になったので受付開始。どやどやとアルベルゲの中に入っていく。順番通りじゃなく早いもん勝ちか?ベッドは指定じゃなくチェックインした順に好きなのを取れるスタイルだった。早い受付だったので選び放題。ここは場所によっては二つのベッドがぴったりと並んだ強制Wベッド状態。フィリップスは早い受付なのにWベッド状態を選んだな。余り気にならないのだろうか。私は隣が壁のシングルベッド状態を当然選ぶ。 ここはカミーノが合流する町なのでアルベルゲの収容人数も大きい。でもその割りにシャワーは男女別のが2つずつしかない。まぁ日本の温泉入浴じゃないんだからみんな短時間で終わらせることが出来るので、そんな不便でもないかな。物干しは湿度の高いシャワールーム内なので乾くのは絶望的。 スーパーへ買出し。久しぶりに生ハム1ユーロとペーストのチーズ、今日はビールじゃなくて1リットル白ワイン。ヨーグルト4にクロワッサンで7ユーロほど。キッチンで飲み始めたらフィリップスがやって来たので広げた物を自由に飲み食いさせたる。ガリシア州のアルベルゲには食器も何も置いてないので、ワイン用のコップがないと言ってる。「フィリップスはペットボトルを持ってるじゃん、それをナイフでカットすればコップになるよ」と身振りを交えて提案したらさっさと不器用にカットしてコップを完成させた。自分のコップは昨日のホテルから持ってきたプラコップだが、これが軟くてバックパックの横に挿しておいたらビキッと割れていた。でも割れてない所に上手にワインを注げば使うことができる。次は自分もペットボトルをカットしてコップを作ろう。フィリップスは要領のいいところがあって、それは時々感じていたが今回も最後に1枚残った生ハムをぺロッと食べてしまった。普通は飲み食いさせて貰ってるんだから遠慮するだろー。 そこへエステルがやって来た。この子は色んな服を持っていて、とっかえひっかえ色んな格好をしている。バックパックの中身はみんな衣服なのかな。 ワールドカップはフィリップスの地元フランスが試合をやる日なのでテレビを見に行こうと誘われてバルへ。もう酒はいいのでコラカオにする。近くに顔見知りの巡礼の女の子がいたので、声を掛けたら一緒のテーブルになっていいかとやって来てくれる。ロシアの子だった。今回がファースト・カミーノだそうだ。ロシアはバリバリの共産国なので巡礼にやって来る人はとても少ないが、たまーに会うことができる。それでも4年間に会ったロシア人はこの子で3人目かな。2年前に会ったのは夫婦で、名前をセブトラナとルステルと言った。物覚えが悪い私にしては不思議なほど覚えている。スパシーバ(ありがとう)だけロシア語で言えて、あとは簡単な英語でお喋りする。 女の子はスーパーへ行き、テレビを見続けているフィリップスを残してアルベルゲ前のベンチでまったりする。もっと知り合いがやって来ないかなーと待ってみたが、今日はもう誰も来なかった。 ポルトガルの道30へつづく |