Fatima6  アルベルゲ荒らし!? Valenca

7/2 Porrinoのアルベルゲ。真っ暗な中で行動開始。このアルベルゲは使用頻度の低い談話室とキッチンの明かりと水道は止められていた。元々キッチンにはなんも置かれてないし、アルコールは駄目と言う張り紙もあったし不親切。仕方ないので1階の薄ぼんやり明るいベンチでヨーグルトとパンで朝飯にする。

 明るくなって来たところででっぱつ。昨日、確認しといた通り、川沿いの草まみれの道を進む。前回はこの辺りはずっと町の中の舗装路をペタペタ歩いたが、今日の道はとても気持ちよく歩ける。どこまで続いてくれるのか期待しながら3,40分も歩くと大きな幹線路に出てしまう。ここには矢印がなかった。この時間に反対方向からやって来る巡礼は期待できない。少し待っていると出勤途中らしき女性がやってきたのでカミーノを尋ねるも知らないらしい。じゃぁ次の目指す町Tui方面を教えてもらう。Tuiは大きな町なので流石に知っていた。歩き出してから1時間40分経ったころ、やっと向こうから本日初の巡礼がやってきた。やっぱり朝は歩いている巡礼がいないので逆歩きの私には難易度が高い。

 次の村でまたカミーノを見失い、ゴミ収集中のおじさんにTui方面を教えてもらう。だが、少し歩いた先の分岐に青も黄色の矢印もないのでこれはカミーノじゃないのが分かったので戻ったところ、運良くカミーノを発見、復帰できる。毎日こんなんばっかやってる。収集のおじさんが乗ったトラックとすれ違い、おじさんが「あれ?」と言う顔をして通り過ぎたが仕方ない。おじさんはきっとカミーノじゃなく単純にTuiの方角を教えてくれたんだろう。

 Tuiの町が遠くに見えてきた。一番高い丘の上に聳えているのがカテドラルだろう。だが道はまっすぐカテドラル方面には向かわずにぐるっと回り込みながら町に近づくようで中々町の中には入っていかない。町手前に教会があったので、石段に腰掛けてパンとチーズでエネルギー補給。カテドラルが近くなってきた筈だが、近くなると見えなくなるのが町のあるあるだ。通りかかった町の人二人に教わりながらやっとカテドラルの前に到着。

 スペイン最後の町Tuiのカテドラル。でかくて古い。中に入ると受付みたいな人がいたので、スタンプがあるかと尋ねてスペイン最後のスタンプを押してもらう。そのまま入ろうとしたらチケットが必要と言われる。じゃぁ入らない、スタンプさえ貰えれば目的は達せられたのでそのまま出てくる。この近くに3年前に泊まった公営アルベルゲがある筈なので周囲を歩いてみたが見つからないのでスーパーへ行ってちょこっと買い物。缶ビールを1本買ってカテドラル前で飲んでやろう。戻る途中で泊まったアルベルゲを発見できる。もう扉の前にバックパックが二つ置かれていたな。カテドラル前の石段に座り缶ビールをごくごく飲む。これも良い時間だ。バチ当たり。

 広場にはインフォメーションがあったので行ってみると表に町の地図があった。ふむふむ、こうしてこう行くとポルトガル国境に簡単に行けるのが分かった。道順を頭にイメージして歩き出す。途中、同じ方向を歩いている巡礼者がいたので、おっ!とうとうファティマへ行く巡礼者と出会ったと喜んだが、単に食事できる店を探しているだけでサンチャゴへ行く人だった。がちょん。

 いよいよポルトガルに突入だ。遠くに見えるのはValencaの砦というか城並の大きさがある。スペインからの侵攻を防ぐ橋頭保だった大きな砦だ。長い橋が国境になっていて、橋の中央には剥げかかった黄色と緑のペンキで上がポルトガル、下がスペインと書かれている。これそろそろ塗り直した方がいいんじゃないのかね。橋を渡り終えた所にも大きな看板があって先ほどの靴の国境が描かれているが、こっちの靴の絵は奇麗なままだよ。看板に偽りありとはこのことか?

 余り当てにならない記憶のまま砦の右へと進んでしまったが、暫く歩いても見覚えのある風景にならないので間違ったことに気づく。元のところに戻ってから左へ行ったらすぐ城門があったので、まったく私の記憶は当てにならない。砦の中は町と同じで土産物屋が林立していて観光客もいっぱい。いつも山の中や人通りの少ない田舎道ばかり歩いているので、こうやって観光客が行きかう通りは何となく華やいだ気持ちにさせてくれる。小さな教会があったので中に入ってお参りさせてもらう。

 国境を守るための砦なので、通り抜けるのには城門を5つほど抜けなければならなかった。ひとつ城門を突破されると次の門で食い止めるんだろう。車一台がやっと通れるほどの狭い門なのに、交互通行で車がやたら通り抜けている。砦の中に車専用道路を加えるんじゃなくて現役で城門がそのまま今でも使われてるんだな。やっと砦の外へ出ると普通の町が広がっていた。すぐ大きなロータリーに出たので、さてアルベルゲが分からない。今回は運良くタブレットのGPSが程なく位置を示してくれると、なんとアルベルゲはロータリーの隣で今立っている所から見えていた。

 アルベルゲに1時15の到着。オープンは1時半なので少し待つことに。時間になっても外から管理人はやって来ないので、中にいるのかなとチャイムを数回押す。でも出てこない。相変わらず外からやってくる気配はないので数回チャイムを押していると、20分程してからドアが開いた。やっぱり居たんじゃん。だがその男は管理人ではないらしい。ドアを開ける数字が書かれた紙片を渡すとどっかへ行ってしまった。談話室にはバックパックが置かれているので巡礼のようだ。スーパーでも行ったのかな?訳が分からないが取り合えず2階のベッドルームへ行って荷物を広げる。一息入れて下へ行ってみると3人の母子とソロの女性巡礼が外で待っていたので入れてあげる。外からはドアにあるボタンの数字を入れないと開かないが中からは自由に開けることができるシステムだ。lこの母子が2日前に泊まったのは、3年前に私も泊まったことのある家族経営で温かい雰囲気のアルベルゲ、CASA Fernandeだったのが分かったので良く分からない言葉とタブレットに保存してあるフェルナンデの楽しい写真を見せて盛り上がる。

 シャワーしてから受付の所に行くとオスピタレラがやっと来たらしくチェックイン作業を始めている。そこで意外なことを言われる。どうやって中に入れたのか?と。えーと、こうして入ってとドアの番号が書かれた紙を見せて上げると、もう一人の助手らしい男の子に急いでドアの番号を変えるように指示している。更にベッドルームに他の人がいないかチェックしにも行かせたが私の他には誰もいる訳がない。この時はまだ事の重大性に気づいてなかったが、それが分かるのは夕方だ。ここはドナティーボと紹介されていたが5ユーロとのこと。どっちみち5ユーロを出そうと思っていたので定額はむしろ都合が良い。

 スーパーを見つけて買出し。初めてレンジでチンするピザを買ってみる。一番安い1.99ユーロのピザ。それとトマト2と1リットルビールにカット西瓜。明日用にはパンまで買って7.35ユーロ。これだと実感がないが、ポルトガルの物価はスペインより安いはず。バルやレストランで食べなくちゃ一日の目標額20ユーロに簡単に収まる。

 アルベルゲでピザをチンして食べることにする。日本でも冷凍ピザって買ったことなかったので若干半信半疑だったがチンしただけで食べられるようだ。そりゃ当たり前。でも味はいいけど少し硬いな。ずっと前から気になっていた前歯の差し歯が心配だ。帰るまでこのまま持って欲しい。キッチンに居た二人のおばちゃんはロシアから来たようだ。電磁調理器の使い方が分からないからと私に尋ねてきた。私も長いことこの使い方がハッキリ分からなくて試行錯誤を繰り返していたが、もう何となく分かる。最初にー(マイナス)ボタンを押すのがコツらしい。普通に考えると鍵のマークを押したりプラスボタンを押すと思いそうだが、実はマイナスボタンだったのだよ。

 アルベルゲは簡単に見つかったけど明日の巡礼路が分からない。ここはポルトガルの道が2本交差する町なので、間違って別の方に行くと片方の地図しか用意してない私はとても困る。オスピタレラに聞いてもはっきりしないので自分の足で探しに出かける。隣の消防署に入って行くと、消防士が6,7人もいるのに誰一人英語が話せない。親切に教えてくれてるようだが要領を得ないのでオブリガードと言って他を当たる事にする。アルベルゲに戻ってフェルナンダに泊まったおばちゃんなら同じルートを歩いて来たので分かるだろうと聞くも、やっぱり要領を得ない。おばちゃんは分かって教えているようだが、それが私には伝わらないのだ。近くで洗濯してる男性に尋ねたら、これがそこそこ分かりやすかったので、教えてもらった方へ探しに行ってみる。結局、地元の人都合7人に聞いてやっと青い矢印を見つけることが出来た。ここかー、その大きなロータリーは3年前に4人でぞろぞろと渡った場所だった。アルベルゲからはこんなに離れていたんだ!でも良かった見つかって、今日の内に見つけとかないと翌朝アウトだから。

 ようやく不安が解消できたのでアルベルゲに戻って西瓜を食べる。スペインのと違ってポルトガル西瓜は種が日本と同じで大きかったので出すのが面倒。でも味は甘くて美味い。これで1ユーロは安いよ。隣のおっさんが出発はどこからと尋ねてきたのでイルンと答えるとピンと来ないようで首を傾げている。そりゃそうだよね、この道を歩いている全ての巡礼はここValencaか或いはポルト出発だろう。リスボン出発なら勇者扱いになる。まるっきり方向違いのイルンなんて人がいる訳がないよ。でも理解してくれたら大いに褒めてもらえた。ちょっと嬉しいかな。母子三人組からは何処まで行くのかと聞かれる「ポルト?」と言うので「ノー、ファティマ」と答えるとファンタスティコと言われた。ファンタスティコって何語かな?逆歩きをしていると、たまに話しかけてくる巡礼がいて、ファティマと言うと拍手されたり褒め言葉を言われる。歩いている時もファンタスティコと言われたことがあったし、そう言うことを聞いて来る人は100%ファティマ巡礼を知っている人たちだった。

 夕方、アルベルゲ庭の石段に腰掛けてぼーっとしていたら私を最初に入れてくれた男が庭に出てきた。さっき談話室の片隅に腰掛けていたのを目にしたときに互いに会釈をしていた。バックパックを小脇に抱えて庭を通り抜けて低い塀を乗り越えて外へ行ってしまった。バックパックが異常に軽くて片手でヒョイッと運んでいた。それはまるで丸めた新聞紙しか入ってないように見えた。腰ベルトをすることもなくだらーっとした格好のまま離れたスーパーへ入って行ったので、空のバックパックに買った物を入れて戻ってくるのかと想像した。このとき嫌な予感がした。もしかしてアルベルゲ荒らしが空のバックパックで巡礼を偽装してたんじゃ!?もし男がスーパーから戻って来たら本物の巡礼で戻らなかったらアルベルゲ荒らしだ。帰って来ることを願いながら男を待ったが戻ることはなかった。泥棒決定。

 そう考えると確かに私が到着したときの事も非常に不自然だった。ここへの到着は13時15だったけどオープンは13:30なので、時間まで待ってからチャイムを何度も鳴らした。およそ20分後に扉が開いて中から出て来たのは管理人ではなく巡礼のようだった。男は私に扉を開けるパスワードを書いた紙を渡すとどこかへ行ってしまった。でもこの時間は私の勘違いで、スペイン・ポルトガルには1時間の時差があるので実際にはまだオープンの1時間前だったのだ。チャイムを鳴らし出してから20分もしてから男が開けてくれるまでの時間も不自然すぎる。中を物色してた男は、このまま私が玄関で頑張っていると本物の管理人がやって来てしまうから、その前に出てきたってことか。そして巡礼でいっぱいになった頃合をみて何食わぬ顔で談話室に座っていたところ、運悪くそこで私と顔をあわせてしまったので顔を覚えられたと思った男は悪事を働けなくなったので出て行こうとするが、バックパックを持ったまま管理人のいるレセプション前は通れないから裏から塀を乗り越えて逃げたのだ。こう考えると全て辻褄が合う。

 あとからこのアルベルゲ宛にメールをしました。もちろんこんな複雑な英語は分からないのでGoogle様の翻訳を使って。以下はその内容ですが前置きは割愛してあります。

不審1:何故この男は時間前に入れたのか?更に管理人が来る30分前になぜ姿を消したのか?

不審2:本当のオープン時間になると管理人が来て、私と私が入れてあげた巡礼数人がいることに驚いて、いきさつを伝えると急いで別の管理人にベッドルームに人がいるか確認させに行くと同時に扉のパスワードを変更しました。

不審3:夕方になるといつの間にか件の男が談話室の片隅に座っていました。私はまだ疑ってなかったので、目が合った時に会釈をしました。

不審4:外に通じる石段に座ってまったりしていると、男がバックパックを手に下げたまま低い塀を乗り越えて外へ行ってしまいました。本来、外へ行くには管理人のいるレセプション前を通ります。

不審5:そのバックパックは、丸めた新聞紙で膨らませたように軽く、背負っても腰ベルトをすることなく100m離れた大きなスーパーに姿を消しました。
このとき初めておかしいことに気付きました。空のバックパックを買い物袋にしてスーパーで買いこんでくるのかと想像して、男が帰ってくるのをずっと待っていました。帰ってくれば泥棒ではないからです。でも男が戻ることはありませんでした。男はアルベルゲ荒らしだと確信しました。
アルベルゲは被害がなかったようなので、たぶん、男は私に顔を覚えられたと思って犯行に及ばなかったのではないかと想像しました。

翻訳終わり
男の写真はないけど、男優の本郷功次郎に似ていたのでネットから写真をダウンロードして翻訳した文章と一緒にアルベルゲに送信しました。
ま、返事はありませんでしたけどね。


Fatima7へつづく