Fatima9  青い矢印増えた Tamel

7/5 Ponte de Lima のアルベルゲ。6時になると窓が明るくなってきたのでPC室からシュラフを担いで元のベッドルームへ戻る。隣のイビキ夫婦は既に出発して居なかった。熟睡できたので軽快にスタートできたんかな。煽りを喰った私は寝不足。食料が入った袋を持ってキッチンへ移動。インスタントの玉ねぎスープを作ってパンとコーヒーの朝飯。近くで数人がベッドルームからバックパックを持ってきて出発の準備をしている。

 6時50、スタート。この先の道はちょっと分かりづらい記憶があるので、昨日Gronzeのサイトから巡礼ルートをキャプチャしといた地図を見ながら歩くことにする。なのでタブレットはバックパックの腰ベルトに差し込んで小まめに見ながら歩いて行く。

 道端に小さな小さな教会が現れた。教会と言うより御堂レベルだ。ここで兼ねてより考えていた長袖のポロシャツを捨てることにする。もう暑くなって来たので長袖を捨てるタイミングを計っていたのだ。アルベルゲに不用品コーナーがあればそこに捨てるのが一番良かったが、さっぱり現れなかったから仕方ない。スペイン・ポルトガルは夏でも寒い時があるし、加えて帰りの飛行機内は寒いのが分かっているので、それ用にはペラペラの長袖フリースが一枚あれば十分、二枚はいらない重たいから。教会前にあったポールに紫色のポロシャツを引っ掛けて記念写真を撮っておく。日本から捨ててもいいようなのを毎回着てくるが、贅沢を言わなくっちゃまだ着ることは出来るので、もしかしたら誰か拾ってくれるかの期待を込めて。考えようによってはゴミ捨てなのだがそこは勘弁。

 次の村の中でキャプチャしたルートを見ながら200mをショートカットしてやろうとしたが失敗。三叉路で分からなくなり考えていたら地元の車が止まって教えてくれる。「サンチャゴかファティマか?」この辺りでは巡礼は二通りを目指すことを良く知っているようだ。ファティマへ行くならやっぱりさっきの分岐まで戻った方が良いらしい。慣れないことはするもんじゃない。

 向こうから本日最初の巡礼がやってきた。男みたいに見えるがれっきとした女性だった(こら)。「you are first peregrino this morning」。ここんとこ毎朝、最初に会った巡礼に話しかけて写真も撮ったりするのが日課になっている。毎回すれ違うだけで旅友の出来ない私のささやかな楽しみだ。みんな喜んで応じてくれるが、たまーに苦虫を噛み潰したようなのが来るときがあって、当然ながらそういうのはスルースル。笑顔は大事。

 また矢印のない分岐が現れた。サンチャゴへ目指すのならここに矢印はいらない。道なりに歩いて行けばいいのだから(私が歩いて来た方)。しかし逆歩きだとどっちに行けばいいのか見当が付かない。まだ朝が早いので向こうから巡礼がやってくる確立は薄い。左を選んだが次の分岐に矢印がないので間違えたことに気づく。でもさっきの三叉路から100mほどしか歩いてないし、扇形の三叉路だったので右に行けばさっき選ばなかった道に出るはずだろう。案の定、次の交差点には矢印があった。このくらいなら間違えても大したことはないが、時には何キロも歩いた先で気が付くこともあるから怖い。それでも今日は今までと比べたら青い矢印が多いほうなので、これからもっと増えてくれると有難いんだがなと期待する期待する期待する。大いに期待する。

 Casa Fernandaのアルベルゲ前にやって来た。昨年も吼えていたうるさい犬っころと共におばちゃんが居たので話しかけてみたが、この人はフェルナンダの人ではなく近所の人で、採れた野菜を納めに来たようだった。まぁ時間も早いし通り過ぎることに決める。フェルナンダの夕飯は巡礼と共に家人も一緒に食べて大盛り上がりだ。有りったけの酒も並ぶしギターも登場して文字通り、飲めや歌えの大騒ぎになるから泊まると絶対に楽しいのが分かっているのでちょっと惜しい気もする。表にいたおばちゃんがフェルナンダの人で(顔を覚えている)、泊まってと言われたら絶対に泊まってしまっただろう。写真は巡礼のためのお休み所でフェルナンダとは関係ありませぬ。

 途中の工場みたいな柵の中で子犬が二匹やかましく吼えてやがる。通り過ぎると柵から出てきて追いかけてくる。振り向くと立ち止まって吼え続ける。毎度毎度やかましい奴らだ。小石を拾って投げる真似をすると射程距離の外まで後退しやがる。本当に憎らしい。もっと他の楽しみを見つけろ。

 そろそろ目的の村Tamelが近づいて来たころ、父娘と思われる超軽装の二人が写真を撮りながら歩いていて親父の方がやけにテンションが高くてブエンカミーノだの巡礼がどうたらだのと話しかけて来る。自分も巡礼者と思っているのか、それにしては軽装過ぎる。女の子の方は親父のハイテンションが恥ずかしいようでモジモジしている。適当にあしらって先へ進むとまた道を間違えたようでバイクの地元民が聞きもしないのに教えてくれる。村の人はみんな親切。

 村に入って行くと見覚えのある三叉路が現れた。3年前はあそこのバス停で私を待ち伏せしていたマリアおばちゃんと連れ立ってフェルナンダに泊まったことがあるので良く覚えている。この角を曲ればアルベルゲはもうすぐた。意気揚々と歩いて行くと道端に引き売りのトラックが止まっていた。この村には店がないのが分かっているので何か仕入れたい。1リットルビールは無いそうなので重たい瓶ビール2とバナナ、パン1袋にさくらんぼいっぱいで4.5ユーロのお買い上げ。レジ袋をガチャガチャ提げたままアルベルゲを目指す。

 アルベルゲは道沿いと記憶していたが良く見るとそれは役場だった。その裏を通り過ぎるとすぐの所に近代的なアルベルゲがあった。1時45の到着。先着の二人が開くのを待っていた。Gronzeの紹介ではここのオープンは15時だが、実際には14時オープンだった。やっぱりGronzeはスペイン時間で紹介されていた。ポルトガルのアルベルゲはポルトガル時間で掲載すべきじゃろ。オスピタレロは15分遅刻してやって来たがフレンドリーで良い奴だった。5ユーロ。立派な建物でキッチンもベッドルームも申し分ない。アルベルゲのガラスケースの中では食材を売っていて、飲み物の自販機まであって冷えたビールも買えるのだった。外には良く手入れされた広い芝生があり、ぱらぱらと巡礼たちが寛いでいる。

 あと10キロ歩くと有名なバルセロスだが、手前に公営アルベルゲがあるのは覚えていたのでここに泊まるんだと決めていた。3年前は泊まるかどうしようか考えた挙句、結局10キロ歩いてフェルナンダに泊まったが、今回はその逆。フェルナンダも良いけどこのアルベルゲは素晴らしかったのでこれはこれで正解。

 昼寝をしていたら「トラックが来たよ」と教えてくれる。でも既に食料は仕入れてあるので何があるか覗きにだけ行ってみる。まぁ同じようなものなのでいらないかな。周りに店がないアルベルゲではこうして売りに来てくれるトラックがあったりするが、その情報は持っていないのでやっぱり自分で防衛するっきゃない。必ず来ると分かっていれば離れた所から食料を運ぶ手間が省けるのだがな。

 8時近くなったので夕飯みたいのを作ってみる。他の人がガラスケースの中に6個だけあった卵を4個買ったので、残りの2個を買える。卵パック6個は多かったので買うのを躊躇していたがバラ売りもしてくれるんだな。2個残してくれたのでラッキーだ。インスタントスープの素で味付けして卵と一緒に買った小さいコーン缶詰を丸ごとブチ込んで簡単なスープの出来上がり。パンがすんごく不味い。


Fatima10へつづく