Fatima11  海沿いの道 La Costaへ Vilacha

7/7 Ratesのアルベルゲ。今日は七夕、関係ないけど。早朝、ボールペンがどうしても見つからないので諦めた。ボールペンは毎日何度も使うので、しっかり同じ所に収納しとかないとどっかに行ってしまう。今回はノートのゴムバンドに挟んどいたのが原因かな。窓から光が差し込んで来た頃、同じ部屋のみんなも一斉に出発準備を始め出した。明るい部屋でパッキングすると忘れ物対策になっていい。

 ドイツの女の子は不思議な物を食べていた。日本で言えばこうせんの粉(大麦等を煎ってから粉にしたもの)をビニール袋から直接スプーンですくって朝食代わりに食べていた。ちょっと衝撃的。「それドイツじゃ普通なの?」と聞いてみたがハッキリしない。何度も話した青年と一緒に写真を撮る。青年は私の年が気になったらしく年齢を聞いてきた。父親が私と同い年だったので驚いている。年齢を言うと必ず驚かれる。もともと東洋人は若く見られるが、私の場合は実年齢より15歳くらい若く見られるので良いのか悪いのか。

 同じアルベルゲになっても毎回1日限定だけの交流だがこれも少しは慣れてきた。最初の数日は誰と仲良くなったとしても一期一会が決まっていたのでテンションが上がらずに、ポルトまで歩いたら別ルートの順コースを辿ってサンチャゴに帰っちゃおうかなと非現実的なことまで考えていたが、最近はやっと「ファティマまで絶対に歩き通すんだ」と言う気持ちに変わってきた。もう修行のような心持ち。まぁ巡礼ですけどね。

 今日から海沿いの道を歩くことに予定を変更した。ここから海までは凡そ12キロ、平地なので2時間半と言うところかな。アルベルゲを出発して暫く歩いていくと、昨日、メモしたとおりラコスタ方面に行くための国道NE-502の交差点が出てきたので左折。大きくて分かり易い国道なので簡単。国道沿いを延々と歩き続けるがカミーノでは無いので青いのはおろか黄色い矢印も一切出てこないが主要国道なので間違えようがないのが有難い。その代り、おっそろしく詰らない道だが海に出るまでの我慢だ。

 民家の隣を歩くことが多いので、そこで飼われている犬が突然吠え掛かってくるので心臓に良くない。一度、長さ20mほどのフェンスの向こう側をずっと追いかけて敵意丸出しで吠え掛かる大型犬が頭に来て、持っていた杖を構えた瞬間に逃げてしまった。本当に杖を繰り出す1秒ほどの間なのに、杖が届かない所に距離を取るのでなく、ダッと巣に逃げ帰ってしまった。こっちの本気の顔を見て危険を察知したのかなと思った。この長い木の杖は175cmほどの長さがあり真っ直ぐで軽い。これを槍のように両手で構えると凄く攻撃し易く、二本スティックなんか目じゃないのが分かった。でも短く出来ないから日本には持ち帰れないのでいずれは本物のスティックにする予定ではある。どっかに本物のスティックが2本落ちてないかな。

 そろそろ海が近くなって来たかなと思う頃、ローマの水道橋らしい古い建造物が現れた。この国道が水道橋を左右にちょん切って貫いてしまったようで道路の両側に長く続いている。現在の暮らしを優先して歴史的な物は後回しにしたって感じ。どっかの団体が騒ぎそうだが、こういうのもありなんか。実はこれより遙かに大がかりに同じことをやってた所を昨年見た。巨大な水道端を4車線の高速道路が貫いているのがコインブラ近くにある。こう言うのポルトガルでは普通なんかな?

 ラウンドアバウトを幾つか通り越した所にあった大きなスーパーPingo Doceでサンドイッチとジュースにコーラを買って2.15ユーロ。広い駐車場の縁石に腰掛けてホームレスよろしく朝食にする。見られても平気だ。食べ終わって歩きだすと小さなラウンドアバウトにタクシーがやって来て、私に気を取られたのか優先車が来ているのにノロノロとロータリーに入ってしまい、アーっと思ったがすんでの所で接触を避けられた。もう完全にぶつかるかと思ったよ。優先車はすぐ停まってドライバーが降りてきてタクシーのじっちゃんにに文句を言っている。あー良かったぶつからなくて。ラウンドアバウトってその名の通りアバウトなので、こう言う接触事故はいっぱいあるんだろな。

  暫く歩くと街中に入ってきてやがて海に出た、いやー海だ海だ。丁度そこにあった教会で賑やかな音楽が鳴り出した。何か催しがあるようで大勢の人が教会前でたむろしている。コーラは少し歩いて海沿いのベンチに座って日記を書きながら飲む。そうそう、ボールペンはバックパックの想像を超えた場所から無事に生還しました。どうやったらここに潜り込むのかと不思議なよう。

 このあたりはもうリゾートスタイルの海水浴客で大層賑わっているのでバックパックを背負った私はかなり浮いている気がする。この長い杖が更にパワーアップしていることだろう。伸び放題の髭面だし着ている物も貧乏ったらしい。大きなリュックを背負ったホームレスと思われても仕方がないだろう。はいはいホームレスでいいですよ。現在11時37なのでアルベルゲには12時半ころに着くかなと想像する。今日は楽勝だな。

 海を守る大きな砦が現れた。特に中は公開していないのか、観光客も出入りしていないようだ。砦を半周するとWCと書かれた看板を発見する。ずっと観光地ぽい人混みが続くので、ここらで利用したほうがいいだろうと近づいて行くと、入り口に係りの婦人が立っているので有料トイレかなと看板を見ていると、婦人が「入ってオーケーよ」と言ってくれるので地下に降りたトイレを使わせてもらう。特に有料ではなさそうだ。昨年この道を歩いた筈だがこんな目立つ砦は覚えがない。で、曲がるべき角はとっくに通り越したことにやっと気づく。

 Vila do Condeのアルベルゲには12時20に到着する。1時のオープンかと思ってやって来たが、3時だった。3時か~、2時間半はちょっと待ち過ぎだな。次のアルベルゲを目指すか考えるがこの海沿いルートは予定外なので情報を何も持っていない。取りあえず昨年やってきた巡礼路でも探してみるかと探索に出かけてみる。大きな橋を渡り終えたら橋の袂からすぐ左に曲がる筈と記憶しているので行ってみるが、黄色の矢印は最初だけ現れたが、その後は青は元より黄色の矢印さえ続いてはいなかった。うーん、巡礼路が変わったのかなと考えていると反対側の角から巡礼が現れた。もしかして巡礼路が二系統になったのかも知れないが情報がないので確信が持てない。暫くするとまた巡礼が同じ方向から現れたので、こっちの方が正規の巡礼路になった気がしてきたが、取りあえずまたアルベルゲ前まで戻ってみる。

 さて、オープンまでにはまだまだ待たなくてはならないし次を目指すにしても今日はこれまで歩いてきて青い矢印は皆無だったので、この先もゼロだろう。海沿いのラコスタを遡ってファティマを目指す巡礼はいないのか!?黄色矢印を逆に辿るにしても不安はあるしアルベルゲ情報も無いも同然だ。唯一、今朝一緒に写真を撮ったドイツの兄ちゃんが泊まったと言うアルベルゲがビラチャ村にあるらしいの「らしい」だけだ。タブレットの地図アプリにも予定外のカミーノなのでアルベルゲ情報は記してない。何よりも、ここで待ってさえいれば今晩の宿は決まりなので、ここを離れて当てのない次を目指すのは命綱を自ら離してしまうようでちょっと冒険だ。

 と、ここまで考えて閃くものがあった。ここは昨年泊まったアルベルゲなんだから、もしかしたら建物の近くなら Wi-Fi が捕まえられるんじゃないか? Wi-Fi が受信できれば次のアルベルゲ情報もゲットできると言うわけだ。早速建物の壁際まで行ってタブレットを開いたら、これが何と Wi-Fi 電波をキャッチできてパスワードも自動的に入りネットが使えるようになった。これはラッキー。早速この後のアルベルゲがどこにあるのか探してみる。だが、目指そうとしているビラチャ村は紹介サイトには出てなかった。でも、ビラチャ村から5キロ先と7キロ先にアルベルゲがあるのは確認できたので、ビラチャで泊まれなくても次があるのを確認できたことだし歩いて行くことに決める。

 橋を渡り、昨年とは違った反対側の道を遡って行くと向こうから1組の巡礼がやって来たので心強い。その後は逆を行く悲しさで青い矢印はゼロだし黄色矢印もないし巡礼もやって来ない。ここは当てにならない勘で動くしかない。やっぱり無謀だったかなーと悔やむが、すでに大分歩いてしまったので、今更ビラドコンデまで戻ることは出来ない。

 記憶では何度か海を離れた内陸を歩いたので、内陸で迷うとどこに行ってしまうか分からないのでそれがちょっと心配だったが、運良く近くに海が出てきたからこれで安心だ。海から離れさえしなければ巡礼路から外れることはないだろう。木で作られた遊歩道を歩いていられるので、これでもう一安心。

 遊歩道を歩いていると、100mほど離れたところを巡礼のグループが歩いているので手を振って挨拶する。彼らはなんで遊歩道を歩かないんだろうと不思議だったが、その理由がすぐ判明する。遊歩道は大げさに修理中で通行止めだった。だからあっちを歩いていたのか。向こうからなら通行止めになっているだろうがこっちからは何もなかったので入れてしまったと言うことか。仕方ないから一段高くなっている遊歩道を降りて下の砂浜を歩いてからまた遊歩道に復帰する。

 今日は14キロの積もりで水も少なめにしてきたのが尽きかけて来たので心配になる。でもあと5キロ、悪くても8キロ歩けばアルベルゲがあるだろう。山登りだと水を大量に消費するが、ここは平坦なので1時間くらい水なしでも大丈夫だ。海沿いに小さなスーパーがあったので渡りに船と寄っていく。海水浴客用の店らしくビーチ関連のグッズがいっぱいだ。観光地値段かなーと思ったが、ポルトガルのビール、スーパーボックの小瓶が1ユーロとコーラより安かった。外のパラソルのベンチで飲んで持っているチョコパンを食べてみる。

 そろそろかなと思った頃にビラチャ村の看板が現れた。きっと巡礼路沿いにアルベルゲの看板がある筈だと、頻繁に後ろを振り返りながら進む。看板は絶対に逆方向からやって来る私には見えてないだろうと想像して。ビンゴ、アルベルゲ500mの看板を発見する。巡礼路を離れて500mは結構な距離だが意気揚々と村の中に入って行く。村の道は分岐がいくつもあって少し迷うが地元の婦人に二度教わって3時20、無事にアルベルゲに到着~。気の良さそうなオスピタレロのおじさんが受付をしてくれる。ここはドナティーボなのでいつものように5ユーロを箱に入れる。ベッドルームに案内されて、No1がいっぱいだからとNo2のベッドルームに通されたがここには既に先客が一人だけいた。メタボの親父なのでイビキが心配だが、少し早い到着ならNo1の上段ベッドになるところだった。

※お役立ち情報
 私はドナティーボのアルベルゲを想定して、いつも5ユーロと10ユーロ札を切らしませんでした。20ユーロでお釣りをくれって言うのも言いづらいしね。

 近くのスーパーを教えてもらって行ったはいいが、シエスタで閉まっていた。来るときに道を教えてもらったセニョーラの小さい雑貨店まで行ってみると、これが開いていた。セニョーラも私を覚えていて嬉しそうだ。道案内の恩返しになったかなと思ったが、先にスーパーへ行こうとしたんだから勝手なもんだ。今日もスープを作ろう。玉ねぎ、ジャガイモ、コーン缶詰とソーセージ缶詰、Super Bockの1リットルビールにコーラ、チョコパンで6.15ユーロ。昨日と同じようなスープだが、缶詰の水を全部入れたお陰で塩を入れただけで良い味のスープができた。タンパク質には昨日は卵だったが今日はソーセージ。少しばかり変化を付けてみた。

 このアルベルゲは昔の漁業の博物館を併設していた。昨日のアルベルゲは昔の布作り博物館を併設してたし、公営なのでアルベルゲ以外に使命があるようだ。きっと小学生の郊外学習に使われたりしているんだろう。建物は古いが広い展示室が二つもあるし、内容もとても立派な展示品の数々だった。後で気づいたが、ここの看板にはアルベルゲと言う文字と並んで「Museu (博物館)」と言う文字も列記されていたから本物だったんだ。

 6時過ぎに二人と三人のグループが入ってくる。みんな若者。今時分まで歩いていて、アルベルゲがフルで泊まれなかったらどうしようって考えないのかな?日記を毎日書いているので青インクが終わったようだ。黒インクと交代で使っているので黒も終わりが近いか知れない。次にスーパーがあったらボールペンを探そう。その後も続々と巡礼が到着してきてとうとうフルになってしまった。最後にチェックインしてきた婦人は床に毛布を敷いて寝るらしかった。気の毒なので私の使わない毛布をそっと足しといて上げる。

 明日はポルトまで海沿いを歩くので楽しみ~。一昨日で累計1,000kmを超えたけど、まだまだ歩きます。


Fatima12へつづく