Fatima12  ポルト到着 Porto

7/8 Vilachaのアルベルゲ。5時半に目覚める。睡眠導入剤のお陰で一度も起きることなく朝までぐっすり。ここはNo1ベッドルームとキッチンがひとつの空間で、まだみんな寝ているようだ。私が寝たNo2には仕切りのカーテンなんかなかったが、No1の方には縦にも横にも無駄に長いカーテンが取り付けられていた。公営のアルベルゲでカーテン付きは初めて見た。私はベッドの狭い空間にカーテンは息苦しく感じるが、女性にとっては嬉しいのかな?

 ここは就寝時にメインブレーカーを落としてしまうらしく、キッチンは元よりベッドルームもトイレも明かりが点かないし充電さえ出来なかった。途中に窓も無く真っ暗闇のトイレにはヘッドライト持参で行くことになった。カーテンなんかいらないからブレーカーを落とさないで貰いたい。

 薄明るくなった外のテーブルに移動してチョコパン2個と水コーヒーで粗末な朝飯。いつもだいたい粗末。広い庭で朝のヨガをしている人たちがいるよ。みんなが起きてきたらブレーカーが入ったらしいので短い時間だけどタブレットだけ充電しておく。残りが20%しかなかったので地図アプリのためには30%には戻して置かないと迷った時に心配だ。

 7時15でっぱつ。昨日やってきた道をぐねぐね辿って海岸へ出る。海岸からアルベルゲまで500mはきっと過少申告な気がする。今日の道は海沿いばかりで単純だから矢印がなくても心配なく歩いていられる。時間が経つと向こうから巡礼がやたらと歩いてくるようになる。思ったよりポルトを出発してラコスタを歩き出す人は多いようだ。一人の婦人から話しかけられて、リスボンをスタートしたそうだ。女性のソロなのに勇気あるなー。そういう人は間違いなくフレンドリー。この人を含めて「ファティマ?」と声を掛けてくれた人3人が3人ともファティマへ行く人を初めて見たとのこと。がちょん。

 砂浜には幼稚園の団体があちこちに展開している。みんな高さ1mほどのビニール柵を巡らして園児はその中で楽しそうに遊んでいる。これなら波にさらわれることもないだろう。海岸から戻るグループはみな手を繋いで、これも安全対策なのだろう。女の先生らしい人が元気にダンスを教えているグループもあったし、おやつの時間でアイスを食べているグループもあった。みんな楽しそうだなー。長い海岸線を歩いている間、至る所に同じようなグループがいたので、今の時期はみんな海に行くシーズンのようだ。

 海岸を離れ大きな川沿いになってきた。昨年歩いているのでこの先にきっと巨大な橋が出てくるんだろう。歩いていると予想どおり大きな橋が前方に現れてくる。これは真ん中が割れて大きな船が行き来できる勝鬨橋仕様らしい。橋の袂には途中からも上に上がれるグルグル階段があって、歩行者用通路で向こう側に渡ることができる。渡りきって下に下りると昨年、休憩したバルがあったが今回は入らない。この辺りは少し観光地ぽいようで海鮮料理を食べさせるレストランがいっぱい並んでいる。ここで日本人ぽい女の子巡礼がいたので話しかけてみると日系カナダ人らしい。日本語も喋れるが時々英語を挟んでいるし難しい日本語は苦手のようだ。ここからの道は川沿いから海岸に戻り、そこにはやっぱり幼稚園の団体が楽しそうにしていた。

 海岸沿いから川沿いの道を離れ急な坂を上がって本日のアルベルゲを目指す。川向こうにオンボロアルベルゲが見えて来た。上の立派なホテルと比べると本当にスラムみたいだが中に入ってしまえば見た目ほど酷くはない。このアルベルゲは経営が上のホテルと同じで受付だけは上のホテルの立派なレセプションだ。受付を済ませてこの建物を見る巡礼が可哀そう。「オーマイガーッ」と言う声が聞こえてきそう。ホテルとの落差あり過ぎ。

 この辺りの地理は知った積りが仇になって曲る道を間違えて迷ってしまう。地元の婦人に尋ねると、この婦人が親切な人で丁寧に教えてくれ、ぐーっと大回りして昨年泊まった公営アルベルゲに到着。誰か先着がいるといいなと受付に行ってみると、黒人の受付嬢からは意外な言葉が「オープン6オクロック」。え!?と怪訝な顔をしていると「6オクロック」と不機嫌そうに再度言われてしまう。何だよそれ、昨年はちゃんと早い時間にチェックインできたのに、6時まで待てる巡礼がいるのかよ。ここは普通にホテルも経営していて、アルベルゲは別棟の奴隷小屋みたいな所だ。儲からない巡礼は余り泊めたくないのかも知れない。だったらアルベルゲの看板下ろせよ。

 さてどうするか。安い宿を取るなら急ぐ必要がある。取りあえずソファーに座るとそこには6時まで待つ気になってるらしい女性巡礼がいたけど自分のことで精一杯なので話しかけない。ここの Wi-Fi は昨年登録したので使える筈だ。他の私営アルベルゲを予約してみようか。アルベルゲじゃないけどBookingcomで安めのPorto Downtown Hostelの予約が取れたのでさっさと移動開始。タブレットの地図ソフトで位置を確認して画面を見ながら歩いて行く。バッテリーが心細いので途中で落ちた時のことを考えて大雑把でもホステルまでの道順をざっくり頭に入れておく。タブレットの地図がないとポルトガル語なんか殆ど分からないので人に尋ねることも儘ならないからホステルに辿りつけない。かなり必死だ。

 ホステルが近づいた所で少し迷うが尋ねた店の二階以上がホステルだった。目の前にいたのに全然分からなかったよ。宿代はちょっと高めの13ユーロ。指定された部屋は二段ベッドが3台で既に3人が入っているが女の子二人は上下のベッドなので残りの下段ベッドが取れたのでラッキーだ。二人は居なかったが置かれている荷物で女の子と言うのは分かるし友達同士なのも想像できる。部屋にいた男の子はブラジル青年で愛想が良かったので嬉しい。この後も女の子はいつも居たことないのでポルト観光で忙しいらしい。シャワー・洗濯したけど物干し場がないのでベッドの柵に掛けておく。

 次は買い物。スーパーは見当たらないのでパン屋に入って小さいクロケッタ(コロッケ)3つと何だか分からないフライ1つ、それと美味そうなパンを指さしで買って、帰りにホステル1階にある雑貨屋で白ワイン1本と生ハムも購入。両方でも3ユーロと格安。ホステルの広いキッチンでのんびり飲み食いする。ワインが冷えててとても美味い。宿が決まって食料も手に入るととても満ち足りた気持ちになる。とってもシンプルな生活を毎日送っている。

 さてやる事やったので観光でもしてこようと外に出る。ここのホステルは朝飯が付くのだが、離れたパン屋まで行かなくてはならないそうでチケットを貰ってある。まずそこを確認しに行くことに。すぐ近くかと思ったが結構離れてたな。前日に確認できてよかった。次はグレリゴスの塔。有料の塔には登ったことがあるので、今回は無料の教会内だけ見ておく。ここ入るのも4回目だが無料では申し訳ないような奇麗な教会で、祭壇のマリア様の顔が柔和で大好き。この近くで日本人夫婦と会ったので暫くお喋りできる。世界一美しいと評判の本屋は今日も長い行列ができているが私は今回もパスしてタイルが美しいサンベント駅へ。ポルト来るのはこれで4回目だが、この駅だけは毎回訪れている。世界遺産なのに無料なのはいいことだ。駅の中で日本人のお嬢さんに会ったのでまたお喋り。相棒とバックパッカー中のようだ。凄いね、本物のバックパッカー初めて会ったよ。バックパッカーってもっと薄汚れているとの先入観があったが、このお嬢さんはこざっぱりしていた。私の方が小汚くてよっぽどバックパッカーぽいよ。

 昼飯に白ワインを飲んだが、とても美味かったので帰ってからまた雑貨屋で同じのを1本仕入れる。1.5ユーロと安いことは良い事だ。ちょっと飲み過ぎかなとも思うので、近くにいた人に勧めてみるが誰もいらないそうだ。結局飲みきらないのでペットボトルに入れて翌日に持ち越すことにする。

 8時とまだ早いけど、やることがないのでもう寝てしまおうか。暮れなずむポルトの町をベッドルームの窓から写してみる。パチリ。路面電車の線路が光ってポルトぽい。

 夜中にトイレに起きたら、明るい内はずっと居なかった女の子二人が帰ってきたらしく、ベッドで寝ていた。結局この子たちとは一言も言葉を交わさなかったな。と言うより顔も見てない。


Fatima13へつづく