Fatima14  慈悲のアルベルゲ Madeira

7/10 Grijoのアルベルゲ。6時に起きて水コーヒーとパン3個。食べてる時にとうとう差し歯が取れてしまった。帰るまで何とか持って欲しいと願っていて、食べるときはずーっと気をつけていたが何とも呆気なく取れてしまった。まだ日本に帰るには丸1ヶ月もあるので、前歯の無くなった間抜け面でずっと過ごさなくてはならないことになった。笑うときにも工夫が必要かな?サンチャゴ巡礼で差し歯が取れたのはこれで3回目。5回歩いて3回とは6割もの確立で取れている。主な原因はこっちの硬いパンだろう、パンは美味いのだが食べるには毎回工夫が必要かな、何とも困った課題だ。

 7時でっぱつ。朝のうちは清清しくていいが、日が昇ってくると暑い暑い。これからは暑さとの戦いになりそうだ。重いのは嫌だが水も多めに持った方がいいだろう。食糧が終わっているし何か食べたいなーと思っている所に店があったのでヨーグルト4個とチョコパンを買って1.15ユーロ。店を囲んでいる低いコンクリート柵に座ってみんな食べる。いつもこんなことやってるので、どんだけと言われそうだが本人に悲愴感も惨め感もないので安心してください。

 12時20、今日のアルベルゲのある町マデイラに到着~。昨年も泊まった町だが反対側から侵入してきたのでまったく分からない。ラウンドアバウトに出たところで、どっちかなと考えていたら私をじっと見ている男がいた。バックパックは背負ってないが雰囲気からどうも巡礼らしい。男が近寄ってきて「ホステルか?」と聞いてきたので「ミセルコルディア」と一言伝えたら、すぐ方向を教えてくれる。自分もそこに泊まっているような事を言ってるらしいが良く分からない。ポルトガルなので「オブリガード」とお礼を言って歩き出す。やがて見覚えのあるロータリーに出る。あーここかぁ。ここから今日のアルベルゲはチョンの間だ。

 マデイラの不思議なアルベルゲ到着~。何が不思議かと言うと、ここは病院(正確には病院とは違うらしい)の中の一室をアルベルゲとして巡礼を迎えてくれている。名前はMisericordia de Sao Joao da Madeiraと言う長ったらしい名前。Misericordia はGgoogle様の翻訳で調べると「慈悲」と言う意味だった。慈悲の心で生活弱者をお世話してるかと想像できる。だから一般の病院とは違うようで、患者もそれらしい人たちが見受けられる。巡礼も慈悲の心でずっと受け入れてくれてたんでしょう。キリスト教国ポルトガルならではの施設。こんな有難い施設が日本にあったら、きっとホームレスが殺到するんじゃないかな。あたかもこれを書いている10月16日のニュースでは「史上最大の台風19号の為の避難所を台東区が設置したが、住所が無いものは入れないとホームレスが断られた」ニュースが流れた。ホームレスは体育館入口で雨風を凌ごうとしたが、そこさえも追い払われたそうだ。かたや生活弱者のための病院まであるポルトガル。日本はポルトガルと比べれば圧倒的に富める国だがこの差はどうなんだろ。とまぁ珍しく真面目に考えてしまいました。

 今は昼休みの時間なので、おとなしく受付前の長いすで待つことにする。格好を見れば巡礼と分かるので、前を通る女性も「12:30」と声を掛けてくれるので「うんうん」と顔で返事をしておく。泊まれるなら待つのは全然OK、ここは涼しいし。

 少し時間前に受付を始めてくれる。この受付婦人に昨年も泊まったと言ったら「でしょー」見たいな顔をして、私を覚えていると言ってくれたのでびっくり。思わず握手する。それだけ東洋人はやって来ないと言う事なんかな。「昨年はリスボンからサンチャゴで、今年はサンチャゴからファティマ」と何となく伝えてみると褒めて貰える。部屋に案内されると先客が一人いて、やっぱりさっき道を教えてくれた男性だった。ブラジルからやって来た50代と見える男性でエデと名乗った。これから時々会えるかも知れないと期待が膨らむ。今まですれ違う巡礼から聞く定番の言葉が「ファティマへ行く巡礼と初めて会った」だったが、サンチャゴを出発して14日目にして初めて同じファティマを目指している人と出会えたので嬉しい。後で気が付いて、私を覚えてくれていたセニョーラにマリアカードを上げたいと受付に行ってみたが、このときはいなかった。機会を伺っていたが結局渡すことは出来なくて残念だった。

 シャワー、洗濯して強烈な日差しが降り注ぐ物干し場に干しておく。1時間で丸ごと乾きそうだ。このアルベルゲにはキッチンも食べる部屋もないので久しぶりに店で食べることにする。少し歩いた先には巨大なモールがあるのでアチチと言いながら歩いていく。レストランで飲むビールは高いので、その前にモールの中のスーパーマーケットでビールのロング缶を買ってモール内の誰でも休めるスペースで一杯やって喉を落ち着かせる。フードコートへ移動して店を物色。パスタも美味そうだが今回はハンバーグにしてみる。シャンピニオンハンバーグとレモンジュースで8.35ユーロ。ポテトが山盛り付いてるが他には野菜も何もないので毎日食べるものじゃないな。高いし。

 巨大モールなので色んな店が入っている。靴の中敷がへたって来ていて石畳が痛い。2枚重ねで使いたいので平たく薄い中敷を探して見るがそういうタイプはなくてみんな土踏まずが立体的なのばっかだった。靴屋を二軒回ったが無いので諦める。スーパーで食料仕入れて帰ることにする。缶ビール、ファンタオレンジ、飲むヨーグルト4、スープの素、パンとお菓子で6.54ユーロ。モールを出たところに日陰の縁石があったので、そこでビールを飲んでみる。もうどこでも飲み食いしている。

 エデは明日、新しくできたアルベルゲに泊まるんだと言ってるが、私はもう少し先のアルベルゲに泊まる積もりだ。エデのブラジルはポルトガル語なので言葉の問題は皆無なのが羨ましい。このアルベルゲには昨年、私の他に旅友のフィリップスとパベルが泊まった他にイタリアのチャリ姉ちゃんが泊まったが、今回は二人だけで誰もやって来なかった。満員も困るが二人だけてのも寂しい。忘れない内に、ドナティーボの箱に5ユーロ札を入れておく。


Fatima15へつづく