Fatima17  地元民のレストラン Sernadelo

7/13 AguedaのアルベルゲSanto Antonio。1階のキッチンへ移動して残りのカット野菜をレンジでチンしてヨーグルト2とチョコパンで朝飯。ポーランドの6人組はまだ真っ暗な6時に出発していったな。出るときにブエンカミーノも言わないし、グループ巡礼は他の巡礼に興味がないことが多いので詰らん。

 6時50出発。すぐ昨日やって来たアゲタのメイン広場へ。この時間では静まり返っていて日本みたいに早朝から忙しくしている風景はスペイン、ポルトガルでは滅多に見られない。今日は昨年泊まったCluny修道会経営のアルベルゲに泊まろうか散々迷ったが、やっぱり次ぐ日のコインブラ迄が32kmになってしまうのでもう少し頑張ってSernadeloのアルベルゲHilarioに泊まることにする。昨年はその逆で、Hilarioに泊まる積もりがクリュニューに泊まってしまった経緯があった。1時間2時間歩けば次のアルベルゲがある環境はありがたい。

 アゲタの町外れに意味ありそうな標識があったので撮ってみる。どんなことが書いてあったんだろうと、あとで青い丸に書かれているポルトガル語を翻訳したら「アゲタからファティマへのCamino」だった。まぁ普通。

 クリュニューは巡礼路を数キロ外れた村にあるので、昨年、そこを通り過ぎたのに気づいた地点とか、見覚えのある風景が幾つも現れてきたので楽しい。民家の前を歩いていたら突然、大型犬が塀の上から顔を出して吠えかかって来たので咄嗟に杖が出る。当らなくて良かったかな。

 あれがクリュニューのアルベルゲがある村と思われる村が遠くに見えている。そこへ体中タトゥーまみれで髭もじゃスキンヘッドのインパクト抜群の巡礼がやってきた。普通に外国を観光してたら絶対に近づきたくないタイプだが、互いに巡礼者同士なので話しかけてみる。ベルギー人で私と同じような長い木の杖を持っているのでネタにして笑いあう。今日の宿は互いに自分たちが泊まったアルベルゲを目指しているのが分かったので、グッドアルベルゲだったよと教えてあげる。数少ない逆歩きの利点か。

 暫く歩くと今度はカナダからのソロおばちゃんがやって来たので立ち話を始める。もう12時を過ぎてるのに、今日のアルベルゲをまだ決めてないそうでケラケラ笑っている。自分が泊まったアゲタのアルベルゲ迄だって4時間掛かるんだよ、分かってる?アゲタのアルベルゲは良かったよと教えて上げる。ポルトを過ぎると巡礼はぐっと減って一日にすれ違う巡礼の数は片手以下なのでいちいち話しかけている。向こうも滅多に出会わない巡礼と会えたのでみんな嬉しそうにしてくれるので楽しい。サンチャゴを出発してからの数日間はどよよーんとした気持ちで歩いていたが、もうそんな事は無くなった。

 ここからの道は昨年、迷って思考錯誤しながら歩いた所なので記憶の外だ。あー、こんなだったなと思い出す所までは新鮮な気持ちで歩ける。しかし町を離れて山の中に入ると記憶とはまったく違う道になったので、巡礼路が変わったのかなぁと本気で思うが、やがて見覚えのある道に変わったので私の記憶があいまいだったのかも知れない。森を抜けて目的にしているアルベルゲさえ目の前に立つまで気がつかなかくて、あらっ、ここだ!な感じだった。

 昨年、泊まる積りでここにやって来たが、どうもスタッフの雰囲気が気に入らないので通り過ぎた経緯があった。今回もその雰囲気はそのままなので、気のせいではなかったようだ。チェックイン時もどっちが客だか分からない態度で接してくるし施設の案内も適当そのもの。このアルベルゲはずっとこの調子で巡礼に接してきたんだろう。アルベルゲの他にホステルも同じ敷地内で経営しているので、巡礼は安く泊まらせてやってると言う傲慢な気持ちがあって、それが態度に出ているのかもね。レストランも隣で経営していて、盛んに「レストランはそっちね」と商売気だけは一丁前。ここんちのレストランなんかで食べてやるもんか。

 私営アルベルゲのホスピタリティーはピンキリで、ドナティーボ(寄付)で二食出してくれるどころか無料で洗濯までしてくれる所もあるし、このような金儲け一辺倒の所もある。金儲けでやってる宿にホスピタリティーを求めること自体無理なんかも知れない。巡礼は何さまであってはならない。

 お陰でシャワーしてから炎天下を歩いてレストラン探し。店があれば食料が買えるが、店どころかレストランさえ暫く歩かないとならない町はずれだった。中国人の店があったので、スーパーかと思ったが入ってみると多種多様な品物があるけど食料品だけは売られてなかったのでそのまま出てくる。どうもこれ以上歩いても望み薄なので、途中で見かけたレストランに決める。大きなガラス窓から中を覗くと地元の人達でごった返していたのが決め手だ。待たされるの覚悟で脇のドアから入って行くとすぐ案内してくれる。満席に見えたが隅のテーブルはまだ空いていた。

 メニューを見せられてもポルトガル語なので何が書いてあるのか分からない。英語でなんとなく説明してくれるので意味が分かったクロケッタとオムレツを頼んでみる。最初にモッツアレラチーズとパンにマーガリン・ジャムにオリーブ。それと中身が不明な小さなパテも二つ出てきた。食べてみるとツナの味がした。これは注文してないので日本で言えば突き出しに当たるようだ。出たものはみんな食べる。でも隣にやってきたグループは同じ物が出されたら「これはいらない」と戻していたので、食べれば有料、食べなくちゃ無料だったようだ。小瓶のビールを2つ頼んで合計12.4ユーロだった。安いのか高いのか分からないが地元民でいっぱいなのできっと美味くて良心的価格なんだろうと自分を納得させせる。

 炭酸系飲料が飲みたいが店がないので水しか飲めない。同じ部屋の中に流しが設えてあって、ベッドがそのすぐ前まで備え付けてあるので水を飲むのさえ難儀する。唯一良い所はこの部屋は平ベッドが6台だった。60位のおっさんが私の後に入ってきて次に女子3、男子1のグループが入ってきたのでこれで満員。良かった、メタボ親父がいないので今夜はイビキなしかな。若い子は大人が二人いるので行儀が良さそうだ。リトアニアから来たと言うけどリトアニアの人は誰も杉原千畝を知らない。ユダヤ人には有名か知れないけど、当のリトアニア人には何をした人なのか関係ないのだろう。隣のベッドには女子高生くらいのが入ってきて、文字だけ書かれた紙を一心に見ているのでマップは持っていないようだ。私は日本で作ってきたマップを持っていて、表裏に数日分の地図とアルベルゲ情報が書かれている。通過した所から捨てているので、ちょうど捨てる4日分のマップが一枚あったので上げてみると喜んでくれる。逆ルートなので私が通過した行程をこの子達はこれから歩くので丁度いい。若いけど愛想のいい子だ。

 明日は早い出発にするので可能な範囲までパッキングを済ませておく。店がないので食料が手に入らない。朝飯はどっかで食べられるといいな。睡眠導入剤を飲んで早寝早起き。


Fatima18へつづく