Fatima19  カプチーノ Rabacal

7/15 Coimblaのアルベルゲ、キッチンでパンにチーズを挟んでチンしてジュースと共に食べる。1リットルのジュースは缶コーラと同じ値段だし健康を考えたら行って帰るを5回くらい繰り返す違いがあるので、買い物リストに入れよう。歩きながら飲むと徐々に軽くなるし。今日はセルナーシュ11kmとの考えがあるがどうするか?着いてから考えよう。

 7時半スタート。昨年と同じように薄暗くて気味悪い秘密の階段をぐるぐる下って重厚な扉から外に出られる。ここだけジャンバルジャンの物語のよう。扉は外に出て閉じるとロックされてしまい、外からは開かないので出る時に忘れ物がないかもう一度確認する。まぁバックパックは背負ってるし忘れるとしたら帽子と杖だけだけどね。

 歩きだしの最初から急坂が続く。小雨が降っているのでザックカバーを掛けておくが歩いている内に止んだのでカバーは外しておく。昨年は本当にこんなとこを歩いたかなーと言うような道を歩いて行く。特徴がある道なのにまったく覚えがない。

 暫く前に紹介したのと同じタイプ、ローマ時代の大きな水道橋を高速道路が分断してしまった地点が現われた。こんな凄い歴史的建造物を道路のためにぶっ壊してしまう感覚が分からない。水道橋に限らず、スペイン・ポルトガルではローマ時代の遺跡を平気で壊したり放ったらかしたりしている所を何度も見ている。余りに数が多すぎて、こういうことをやっちゃうのだろうか。

 セルナーシュのアルベルゲには10時に着いてしまう。やっぱりこんなモンだろう。このアルベルゲは昨年お世話になって、管理人は今年もきっと道路の反対側に家がある同じ人だろう。その人を写した写真もタブレットの中にあるのでちょっと楽しみではあったが、さすがに早すぎるので次を目指すことにする。

 町外れでカプチン会のスータン(修道服)のまま巡礼している二人組に会った。シスターの修道服で歩いている人は何人も見たけどスータンは初めてだ。知らない人が見たらコスプレと思うだろう。珍しいのでカメラを出して撮っていいかと聞いたらノーとのこと。野次馬に見えたようだ。写真はノーだったが色々と片言英語で話してみると共通の話題があって盛り上がる。「ミイグレシア、フランシスカンニューヨーク」と言ってみたところ、一人が「フランシスカン、ニューヨーク」に反応したのが分かった。もう一人に私が言ったことを尾ひれを付けて説明している。ホントに通じたのかな?「Youはクリスチャンか、だったらファティマではカプチン会の宿に泊まるといい」と言って宿のカードをくれる。見ると修道院じゃなくて普通のホテルみたいに見えるんだがどうだろう?ホテルの名前はカプチーノと書いてあった。これってコーヒーの名前だよね。カプチン会員はカプチーノなのでコーヒーと関係ありそうだな。あとでネットで調べてみよう。「サイレンス」と言うので数年前に封切りになった遠藤周作の「沈黙」の映画のことを言っているのが分かった。「シューサクエンドー」と言ってみたけど原作は知らないらしい。この人は映画を見たようだが私は原作だけ読んだだけで映画は見てない。ユダヤ人虐殺とかキリシタン殉教の映画は大嫌い。

 いよいよファティマまで94キロと迫った。ファティマの道標もこの辺りからカウントダウンが始まり出した。セルナーシュを通り過ぎて今日はRabacalのアルベルゲを目指すことにする。ときどきこんなことをやってるが先に進んだがために途方に暮れるパターンもあるので時には賭けの気分だ。今回は判断ミスにならなきゃいいが。ファティマまで94キロのモホンが出てきたのでパチリ。大きな町にスーパーがあったので、大きなガレットと飲むヨーグルト2本を買って店前にあったテーブル・イスを使わせてもらってエネルギーチャージ。

 村はずれの山の中にローマ時代の大がかりな遺跡があった。昨年は気がつかなかったが、こんな大きな物を忘れるはずがないので巡礼路が変わったんだと思う。有料で入れるらしいが勿論入らないで素通りする。

 本日の半分はご覧のような山の中。炎天下での上りはしんどい。ここで出会ったのはイタリアとポーランドの婦人二人組。写真撮っていい?には「オフコース」と3人のカメラで撮りっこする。ポーランド婦人は英語を喋ったが、イタリア婦人は無言でニコニコしているだけなのでイタリア語オンリーのようだ。イタリア、フランス人あるある。今日すれ違った巡礼は先のカプチーノ二人とこの二人だけの四人。大きな町コインブラを過ぎたら極端に巡礼が減った気がする。この人達も今日出会ったのは私だけだったろう。本当に巡礼が少なくなったお陰で絆が強くなった気がする。滅多に出会わない巡礼同士が会うと互いに大喜びする。特に人里離れた山の中で会うと嬉しい。

 やっと村が見えてきたので目的地のラバカルかなと早合点したが違った。こういうのはちょっとテンションが下がる。更に「ラバカル3.5km」の看板を見てガクッとなる。道端に水道があったので、頭から水をぶっかけてリフレッシュ。暑い日にはこれに限るが水道が山の中にある訳ないので滅多に幸運は訪れない。ハーハー言いながら今度は本当のRabacal村に到着~。昨年も泊めてもらったアルベルゲ・ボニートに一直線。旅のノートはまだ昨年のがそのまま使われていたので、おかみさんに昨年書いたのを「ほら同じ名前だよ」と見せると驚いている。チェックイン時にパスポートを渡すと、おかみさんは私より3歳下の1953年生まれだと言って喜んでいる。

 シャワー中に真っ暗になる。どうもブレーカーがダウンして中々復旧できないらしい。ずーっとそうなのでこの家だけの問題じゃないのかな?暗い中で洗濯して明るい物干しに干してから併設してあるカフェへ移動。途中の通路には本物のプールがあって水を湛えていた。あれ!昨年はビニール製の大きな丸いプールだったのに本物のプールを作ったんだな。村唯一のカフェなので結構儲かっているようだ。カフェで瓶ビールを2本飲むが1本1ユーロもしない誠実価格だった。キッチンに戻ってからペットボトルに入れ替えて持ち歩いているワインも飲んでみる。ワイン持ってると何かと便利。アル中か。

 小さなプールだけど水着に着替えて入る人がいた。自分も毎日海パンで歩いていることだしちょっと入ってみることにする。冷たいのですぐ出てくる。自分は歩くための行きがかり上で海パンを持っているが、泳ぐために水着を持ち歩いている人がいるんだな。

 この村には同属経営のレストランがあって、今年も休めの7ユーロのままなので食べに行ってくる。同じアルベルゲに泊まっている巡礼も食べに来ているな。この人を入れても今日会ったのはたったの3組だった。アルベルゲの中で彫像を彫っていた爺ちゃんもワインを飲んでいるが、この人は巡礼なのか職人なのか不明だ。最初の皿はマメのスープ、赤ワインがデカンタで出てオリーブの実がアテで出てくる。二皿目には肉の煮物。意外なほど腹がいっぱいになってしまったのでワインが飲みきれなかった。も、もったいない。帰りに小さな店で明日用のパンと1リットルジュースを買って帰る。

 明日はAnsiaoまでの19キロにする予定。距離的にそこしかないし。その次が問題で、ファティマへは2ルートある。直接ファティマを目指すなら昨年歩いたのと同じカシャリアスを目指す道だが、歩いたことのないトマール経由も魅力的だ。あした決めよう。


Fatima20へつづく