Fatima23  ファティマの休日 Fatima

7/19 ファティマ二日目。もらったここのガイド小冊子をGoogle翻訳しながら読んでいたら「アルコール禁止」と書かれていた!昨日は知らずにキッチンで堂々とビールを飲んでしまった。どうりで同室のスペインおじさんが買ってきたビールを別のペットボトルに移し替えていた筈だ。おかしなことするなーと思ってたが、こういう事情があったとは!私が飲んだ1リットルビールのプラボトルはキッチンのゴミ箱の中だ、キッチンはまだ施錠してあるので入ることはできない。まぁプラボトルなんでそのままゴミとして出されることだろう。ベッドルームでパン数個を牛乳で流し込み、胃薬も飲んでおく。かぼちゃメロンめ。

 同室のおじさんは真っ暗闇の5時に出発していった。カシャリアスかトマールか、どっちのルートを行くのか聞きたかったな。ここのガイドには9時チェックアウトと書かれているので、連泊でも9時には一旦外に出ないとだろう。あんまり早朝だと外に出ても面白いことはないだろうけど仕方ない。

 7時半、濃霧の中、取りあえずバジリカへ行ってみると早朝でもミサがたてられていたので途中からだけど与ってみる。大きな聖堂には朝の早い内から多くの人が与っているので、さすが聖地と感心する。ミサが終わってからマリア様に会ったという子供の墓に書かれている名前を改めて読むと並んでいたのはヤチンタとルチアで女の子同士だ。離れた所に埋葬されてたのはフランシスコだった。フランシスコは男の子なので長生きしたのは修道女だから変だなと思ってググったら並んで埋葬されてるのは女性二人で亡くなった時期は関係なかった。フランシスコ一人ぽっちで可哀そう。

 ミサ後は近代的で巨大な聖堂へ入ってみたり土産物ストリートへ行ったりバスセンターへ行ってネットに繋いでみたりして時間を潰す。町には修道服を着た男女がアチコチ歩いてる。きっと世界中から聖地ファティマにやって来ている。バスセンターは近代的ぽいのに電光掲示板のお知らせなんてなくて、いちいちチケット売り場の女性がバスの発着をアナウンスしている。ポルトガル語なんて分からないので明日のバスに乗るのに一抹の不安を抱く。バスはリスボンからやって来るのかここが始発なのかも分からないし、遅くとも30分前にはやって来て情報収集に努めるのが良さそうだ。

 胃の調子が戻らないので日本ならおかゆだろけど、ここはポルトガルなので胃に優しいスープが飲みたい。お土産屋やレストランが立ち並ぶ賑やかな所へ行ってスープを飲ませてくれる店を探すが、どこも食事の提供は11時からだそうだ。昨日、宿のカプチーノを探してるときにマックの横を歩いたのを思い出したので、マックなら早朝から深夜までやってるだろうと少し離れたマックまで歩いて行ってみる。オープンはしているが、相変わらずマックの注文は券売機みたいなのを操作しないとならなくて分からない。いつものように直接店員の所に行ってスープを注文。他には?と聞いているようなので、小さめのバーガーを指差すと、時間前なのでノーらしい。ここも本格的なハンバーガーみたいのは11時にならないと提供されないようだ。じゃぁ他に何を注文しろと?飲み物か?スープだけしか飲まないのだから飲み物はいらんだろう。大きなカップスープが1.9ユーロ。

 スープを飲んでも腹の調子はいまいちだったのでトイレを探す。さすが聖地ファティマで大きくて掃除の行き届いた公衆トイレがバジリカの周辺に幾つもありトイパーも完備していたので感心する。もちろん無料だ。スペインもポルトガルも公衆トイレなんて滅多になくて、駅のトイレさえ有料だったりするのでやっぱり聖地ファティマはトイレも別格だった。ちなみにALSAの長距離バスはトイレも有料。

 歩き回ったら腹も復活してきたようで空いてきた。朝、スープを捜し歩いてた時にチェックしといた安いプレートを食べさせる店に行って見る。親父が私を覚えていて「ソパ(スープ)があるよ」と言ってきたが「マックで飲んだ」と身振りを交えて答える。外のテーブルでチキンのプレートを頼む。サラダ、チキン、米とポテトが一枚のプレートに載っていて、これで5ユーロは安い。ビールを飲んでも6.5ユーロ。他の店もプレート料理なら6ユーロほどで提供しているし、ポルトガルは料理が安いのを思い出した。

 他に行くところないし、バジリカ周辺をうろつくしかない。土産物屋を覗いてみたり火事場みたいになってるロウソクコーナー見たりする。ここはファティマを訪れた人たちが願い事をするのか、売店で買ってきたロウソクを灯すところだ。あまりに多くのロウソクが立つので炎が炎を呼び時々こうして火事場みたいになってしまうようだ。当然、この近くのロウソクはどろどろに溶けてしまっている。

 ファティマは膝で進みながら祈るスタイルがあるようで、そのための道まで作られている。数人ながら挑戦している人たちがいる。みんな痛そうでヒーヒー言ってるように見える。両脇を家族に支えて貰いながらやってる人までいるので止しゃぁ良いのにと思うがファティマに来たらこれやりたいって人なんだろな。3時に英語のミサが外のマリア様出現の聖堂で始まったので最初から与ってみる。天の邪鬼カトリックだけどやっとファティマでまともなミサに与れた

 教会裏を抜けてアルベルゲに向かう途中には大きな公園があって、そこにはキャンピングカーやテントを張って寝泊まりしている人たちがいる。みんな節約して聖地巡礼をしているんだろう。バックパックを背負った人がいて私のホタテ貝が描かれたTシャツに反応して話しかけてきた。アルベルゲに行ったが断られたそうだ。ここのアルベルゲは歩いて来たことが証明されないと泊めないんだよなー。歯が2,3本欠けてるので更に気の毒だけどこの人はクレデンシャルを持っていないのかも知れない。半分浮浪者ぽいのでちゃんとした巡礼ルートを歩いているのでもないのかな。

 アルベルゲに5時ころ戻ってネットしていたら、珍しく昨年リスボンでお世話になった千春さんが私のフェイスブックに投稿してくれて、ファティマお勧めのレストランを教えてくれる。昨日、買い物したスーパーの相向かいだったのですぐ近くだ。腹の調子も戻ったことだし行ってみよう。ポーク、目玉焼き、ポテチが載ったプレート料理でビールを足しても7.5ユーロだった。店の人はパンとコーヒーを薦めてるようだが別料金らしいのでいらない。ポテチは食べ切れなかったので紙袋に入れて持ち帰ることにする。今日は珍しく肉をいっぱい食べられた。歩いてないのに栄養取り過ぎ。

 今晩のアルベルゲは私の部屋に一人と別棟に女性が一人泊まっているようだ。ここは男女別。二人とは7時半でもまだ顔をあわせていない。靴の溝がつるつるになって来ているのでナイフで溝を掘り出したら手元が狂って腿に刃が当たってしまう。ちょっとだけ血が滲んでいるが大したことにならなくて良かった。切れないナイフもいいことあるんだな。これがカッターだったらズバッと行っただろうと青くなる。溝堀りはもう止めておく。

 夕方になったころ、やっと同室の青年が戻ってきた。30代くらいかな?いきなり握手を求めてくるフレンドリーさ加減。自転車でポーランドを出発して11ヶ月掛けてヨーロッパ中を旅するらしい。もちろん会社は辞めて来たが、戻ったら会社に復帰して良いと言われてるそうだが良く分からない。そんな都合のいい会社あるのかな?

 夜のロウソク行列に行こうか迷ったが、ファティマを訪れるのもこれが最後かなと思い、結局行くことにする。9時半になると教会の鐘が盛大に鳴らされて、これから始まるよーと言う事らしいので暖かくして出かけていく。昨年はみんなが持っているロウソクがどこで手に入るか分からなかったが、今回は昼間ロウソク売り場を見ていたので知っている。一番小型のロウソク(と言っても長さ30cm)と風よけの両方買っても0.7ユーロ。代金は自分で箱に入れる方式なのでお釣りなんてないから半端は誰もが寄付だろう。大きなロウソクとプラスチック製の立派な風避けが両方でたったの90円もしないとはね。極太で60cmの巨大ロウソクでさえ2.7ユーロ、日本円で320円ほどだ。四国のお遍路は寺で書いて貰うだけの御朱印が300円+ロウソクやら線香やら納め札などが必要らしい。それが88箇所!もっと巡礼のことを考えてくれない限り世界遺産の道は遠い。

 風が強くて風よけがあっても頻繁に火が消えてしまう。そのつど近くの人からもらい火を続ける。もらい火って隣家が出火した煽りをくらって自分ちが燃えちゃうことだよな。「もらい水」なら詩的だけど。周りのみんなも同じ「もらい火」を盛んにをやってる。各国からの巡礼が一人ずつ先唱してはロザリオを延々と続けている。長いよ、きっと規定以上やってる。それが終わるとロウソク行列の始まり。大きな光る十字架を先頭に、なんだか分からないグループが続いてそのあとに一般がロウソク片手に行列を作る。昨年は気にならなかったが、今回は行列奉行がやたらとやかましいな。広場を一周して最後に司祭の「グッナイ」と言う言葉で締めくくられるのが粋だ。時間を見ると10時25だった。真っ暗けの公園を突っ切ってアルベルゲに戻る。

 今日はファティマを歩き回ったので、万歩計の数字は23,401歩になっていた。明日はサンチャゴへ戻り明後日からイギリス人の道とフィステラ・ムシアの道を目指す。残り240kmは長いのか短いのか。


Fatima24最終回へつづく