北の道6  山の中のアルベルゲ

5/20 歩き4日目 Zumaia、元修道院のアルベルゲ。キッチンはないので談話室に移動して二人で朝飯みたいのを食べる。バナナ、クッキー、すももみたいの。健康的だけど炭水化物を食べないと喰った気がしない。何か食料を仕入れたいな。今晩の宿はデバを5キロ入った山の中のアルベルゲを予約して貰ったのでそこを目指す。

 オスピタレロのおっちゃんが「こいこい」と言うので着いて行く。古めかしい扉を開けると螺旋階段が下へ続いていた。どういう構造になっているんだろう、ここは1階の筈だが地下3階はありそうなくらい階段は下に続いている。モナステリオと言うので、修道院に続いているらしいが降りては行かなかったので何があるかは不明のまま。サービスの積りで案内してくれたんだろうが、得体が知れないのでちょっと気味が悪い。

 8時に出発。今回4日目にして初めて青空の下での出発。ここは港町なので取りあえずは山登りだ。ぐりぐりと山の中を歩き続け、天気がいいのでさすがに合羽を着ていたのでは暑くなって来た。3年前にも休んだ椅子・テーブルのある広場で二人して薄着になって歩きやすくする。時々顔を合わせているソロの婦人も今日の日差しで被り物をしていた。見るとシスターのスカーフ(と言うのかな?)のようなので、もしかしたらシスターかも知れないと二人でささやきあう。

 眼下に港町デバが見えてきた。ここからは急な下りが続く。そこでソリさんスローモーションのように優雅な尻餅。やるときは注意しててもやるのが下りだ。転ぶときは一瞬なので成す術がない。でも痛くはしなかったようなので上手に転んだようだ。

 デバの町に入るカミーノは3年前とは違っていた。高台から町に入るにはスケルトンの無料エレベーターで降りる筈だが、カミーノの矢印に従って行くと階段で降りるようになっていた。前を歩いていた巡礼の兄ちゃんは階段で下りだしたが、折角なのでエレベーターを使おうと提案する。だってすぐそこに見えてるんだもん。地元のご婦人がエレベーターの扉が閉じるのを開けて待っていてくれた。ついでにアルベルゲの方向も教えてくれる。今回はここには泊まらないけどカミーノはアルベルゲの隣を進むのでありがたく聞いておく。

 デバはもっと入り組んだ道を歩いた記憶が残っていたが、なんてことなくアルベルゲ前に到着する。ちょうどお昼の時間なのでアルベルゲ前のバルで定食10ユーロをいただく。おかみさんに、3年前にもここで食べたんだよと言ってみたけど伝わらなかったようだ。腹もいっぱいになったところで再スタート。デバの駅を通り過ぎて川を渡るとすぐ上りが続いて疲れだす。いつもこんなに疲れてるかな?体力落ちてる?

 山道を歩き続けてアルベルゲへの分岐でカミーノを外れる。ここからはフランスのおばちゃん二人と一緒にアルベルゲを目指す。簡単に到着するかと予想していたが、かなり山道を歩くことになり道なき道みたいな所まで歩くことになった。本当にこの先にアルベルゲがあるんかな?普通はカミーノを外れたアルベルゲは遠くても数百メートルと思っていたので尚更遠く感じるのかも知れない。やっと小奇麗で大きな建物が現れたので、あ、これかとの期待はあっさりと裏切られる。着いたアルベルゲは兵舎のような建物で若干がっかり。ベッド13ユーロの食事が12で合計25ユーロのお支払い。一日の経費を20ユーロに設定している私には予算オーバーな一日だ。レセプションにヒッピーのような爺さんがいるのが気になった。

 ベッドルームは男女別々だがどちらも扉どころか部屋の隅を素通りする作りなので開放的。だったら男女別にする意味あるのかな?ソリさんが洗濯機のシェアを申し出てくれる。お金はいらないと言うので3ユーロの所を1ユーロだけ出させてもらう。お待ちかねのビールだが、小瓶しかないそうだ。小瓶を2本大きなコップに注いでもらって3ユーロ。スーパーなら3リットル飲める金額だがここは山の中の一軒屋なので致し方ない。こんな辺鄙な山の中のアルベルゲで、私が頼りにしている巡礼の情報ページGronzeにも載ってないのに巡礼が後から後からやってくるのが不思議。最近の巡礼本では紹介されてるのかな?

 ソリさんはまだ米を持っているので、明日朝はおむすびを作ってくれるそうだ。でもコンロがないので電子レンジで試しに少し炊いてみるとのこと。これが成功したので明日は2合を炊いてくれるそうだ。私が持っているスープの素を加えて炊き込みごはんモドキにするようだ。ベテラン主婦の実力って凄いと感心する、私には逆立ちしても出て来ない発想だよ。こっちのコメでいいから、いつかアルベルゲの鍋でご飯を炊いてみたいもんだ。

 デバから5キロ山の中に入ったIsarbideという山村のアルベルゲ。周りは家がポツンポツンとあるだけで、店もバルもないのでここの夕食を食べる以外に選択肢がない。でも、宿泊客全員で食べる夕食は楽しいので大好き。昼寝をしていたら夕飯だよと起こされて食堂に行くと私が一番最後のようでポツンと空いた席に座る。ヒッピー然としたおじさんもテーブルに付いているので巡礼のようだ。出てきた料理はどれも美味しく、ワインも飲み放題で予想どおり楽しい夕餉になりました。


北の道7へつづく