北の道13   一週一善

5/27 Castro Urdialesのアルベルゲ。まだ寝ている人の方が多い6時半、狭いキッチンで朝飯にする。チーズとチョリソーを挟んだゴマパンとヨーグルト2。アルベルゲにインスタントコーヒーがあったので有難くいただく。まだ雨にはなっていないが雨仕度は必要だろう。7:20スタート。

 IsLares までは何箇所か見覚えのある所が続き、やがて海岸線に出ると良い景色が現れるようになる。コリアの夫婦が前を歩いていたのでアンニョンハセヨと挨拶。私は韓国語を単語ばかり10個くらい知っているだけだが、日本人の喋る韓国語は発音がネイティブと同じらしく、すぐペラペラと韓国語で話しかけられることが度々ある。すぐジャパニーズと訂正するのは言うまでもない。

 巡礼路沿いにある IsLares の公営アルベルゲは3年前に泊まったところだが今年は閉鎖されている。ここから6キロの所にある公営アルベルゲも閉鎖。それを知らずにやってきた巡礼は途方にくれるだろう。今回はここだけでなく、あちこちの公営アルベルゲが閉鎖されているのを見た。何でかな?人手不足?

 IsLares を過ぎると絶景が現れる。3年前は大雨の中を歩いたので、こんな絶景は覚えてなかった。やっぱり天気の良し悪しは大事。今日のこの道には何人もの巡礼が歩いているので、まるでフランス人の道のようだ。


 昨晩は隣のベッドだった長身金髪のお姉さんは大小4つのバッグを提げたり抱えたりしている。きっと巡礼のために専用グッズを買い揃えるんじゃなくて、あった物で間に合わせて来たようだ。でも雨の時はあんなに抱えたバッグでどうするんだろうと心配になる。何度も一緒になってるがいつも愛想のない人。でも今日は分岐点で追い付いたら自分から近道を教えてくれたのでぶきっちょだけのようだ。この道はカミーノを離れて国道N-634をずっと歩き続ける道で、3年前に歩いたときは素直にカミーノを行ったので凄い山道だった記憶が残っている。雨の中だったし、それから比べたら今日の道はへのかっぱ。

 テーブルのある休憩所でSさんが休んでいた。今日はLinedoのアルベルゲに泊まるそうだが、私はまだ時間が早いのでひとつ進んだLaredoのアルベルゲを目指す。Laredoまでの山道がきつかったーっ!中盤までは舗装路歩きが続いたが、後半は結構な山坂になる。海岸沿いには一歩足を踏み外すと20m下の岩場に真っ逆さまの危険ヶ所があり、覗き込むことさえ怖くて出来ない。崖の下にはきっと白骨化した巡礼が幾つか転がっているやも?!それだけに景色は抜群だった。タブレットで写真を撮っていたら金髪のお姉さんもやってきたので、Laredoの町の中までほぼ一緒に歩いていく。町のなかでアルベルゲが見つからずに二人でウロチョロしていたら、お姉さんは何も言わずにフッとどっかに行ってしまった。愛想のないのは相変わらず。

 広場でタブレットを出してアルベルゲを探しているがGPSが今日も不調で見つからない。そしたら地元のおじさんがTabaco(タバコ屋)を左に行くんだと教えてくれる。その通りに進んだらアルベルゲ前に到着~。前に来たときは何てことなく見つけられたのだが、これはタブレットの違いだろう。前のはGPS電波を簡単に捉えられたし地磁気センサーも搭載されていたので北も分かるので地図アプリを利用するときには絶大な力を発揮した。今度のはNECの癖にGPSに関してはさっぱり電波を捉えられないロクデナシだし地磁気センサーもないので方位磁石を買い足して持ってきている。新しくタブレットを買い替えるにあたってタブレットと言うのは全て地磁気センサーが搭載されてるものと思ってたよ。NECめ。

 今日のアルベルゲは修道院。前に来たときは夏だけのオープンだったらしく閉まっていた。仕方なく海を渡ってサントーニャに行かざるを得なかった。今年はどうかなと若干心配しながらベルを鳴らすと入れてくれたので一安心。メタボのシスターが受付してくれる。数日前に泊まった修道院のようなツインの部屋を期待してたけど、極狭の2段ベット4人部屋でしかも上段でガチョン。同じ部屋にはフランスの親父3人組がいて愛想が良かったのが救いだった。

 小腹が空いたので小雨の中をバルへ。飲み食いしてると顔なじみのイタリア兄ちゃんがやってきて、私と同じテーブルに座りコーラを飲んでいる。どうも目当ての女の子を捜しているようだ。この兄ちゃんは女性にはすっごくマメだが男にはそっけないのが露骨。やっぱりイタリア男ってこんなのが多いんだよなと再認識。

 ちょっと離れた路地を一人の女性巡礼が行ったり来たりしているのが目に入る。もしかしてアルベルゲを探しているんかな?帰り道、さっきの女性が雨宿りしながらスマホを覗いて迷っているようなので声をかけたら予想通りアルベルゲを探してた。勿論連れてってあげました。とても嬉しそうにしてくれたので私も嬉しいよ(ちびまる子風)。一日一善は無理だけど、一週一善くらいなら可能かも。

 夕方の6時過ぎにコリアの青年が到着してきたが、シスターが不在でチェックインできないでいる。探して来るよと言ってはみたが、シスターはどこにも見当たらないので青年もレセプションから動けずに宙ぶらりんのまま。7時からミサが始まり、終わってもまだ青年はレセプションで待っているし、さらに二人も増えていた。シスターはミサの方にいるかも知れないからと探しに行ってはみたが、さっきまで開いていた聖堂の扉は閉ざされていたので、またしてもチェックインならず。もう自分には手の施しようがない。青年は大丈夫と言うのでそのままにせざるを得なかったが、最後はちゃんとベッドをゲットできたようだ。一日ニ善ならず。

 写真は修道院の入口で階段を上がって右に行くとアルベルゲの扉があり入る時はベルを鳴らして中から開けて貰わないと入れない。階段の奥には石のベンチがあり酔っ払いがワインをラッパ飲みしていた。ホームレスなのかな?そのうちゴロンと横になって寝てしまったがミサが終わるころにはどっかに行ってしまっていた。こう言うのがいるからアルベルゲの入口は終日施錠しとくんか。


北の道14につづく