北の道21  魔女の宅急便?    Pineres

6/4 LLANESのA La Estasionアルベルゲ。大きなキッチン兼食堂には2.5ユーロで朝食の用意がされていた。数日前から何度も一緒になっているコロンビアのグループ4人も朝食サービスを利用しているが、私はスーパーから買ってきた食糧でささっと済ませよう。レンジでカップスープを作って固くてまずい黒パンをやっと終わりにする。普段は食べなれたパン類を買っているが、たまには黒パンにチャレンジしてみようと買ってみたがこれは失敗だった。コロンビアは美人ばかりと世界中の噂があるが、きっとこのおばちゃん二人も昔の美人に違いない。コロンビアの男は幸せだね。

 今日は20キロのコースとしているので8時ころに出発しようと予定していたが、結局流れで7時20に出発する。まもなく3年前にカタリナと一緒に泊まったアルベルゲのあるPooに到着。こんなに近かったんだとビックリした。Pooの町では泊まったアルベルゲを見てやろうと巡礼路を外れて狭い路地に入っていくと記憶より複雑だった。迷っている内に巡礼路に戻ってしまったのでそのまま進む。

 しばらく歩いた先に素晴らしい海岸が現れる。しっかりと締まった砂浜なので靴の中に砂が入ることなくその上を歩くことができた。おっちゃん巡礼二人がいたのでシャッターの押しっこをする。1押し1ユーロとギャグを飛ばしている。みんなでバルに入りコラカオ1.2ユーロ。このへんは少し安いようだ。今日はショートと決めているので歩いていても気楽。毎日手ごろな距離にアルベルゲが在りさえすれば気楽に歩けるんだが、北の道はアルベルゲが少ないのでそうも出来ない。

 今日予定しているアルベルゲは余り離れていない所に贅沢に2つある。手前には3年前に泊まったPineresに6ベッドだけの私営。その先には公営がある。どちらも近くにはバルも店もないのが分かっているので手前2キロにある町で食料を仕入れる必要がある。さてその町のスーパーが道沿いに現れたので入っていく。トマト2にさくらんぼと安いワイン。このワイン最安の0.9ユーロです。酒持ってると何となく嬉しくて気分も高揚する。アル中一歩手前か。

 町外れから矢印に従って幹線道路を離れるとうら寂しい山道になった。時間の割りに薄暗いのもあいまってマジかと言うほどの寂れた道を進む。こんな道歩いたかなーと心配になるほど。でもやっぱりこれで合っていて前に泊まったアルベルゲ前に出た。靴置き場の棚には誰かのブーツが1足置かれていたので、誰か先客がいるならここでもいいかとドアに手を掛けたが、扉には鍵が掛かっていて開かなかった。現在1時で、ここのオープンは2時半だから、今回は次を目指すことにして一枚だけ写真を撮って素通り。空模様が怪しくなって来たのでザックにカバーを掛けておく。降り出す前に次のアルベルゲに到着したいと足早になる。さっきのアルベルゲを素通りしたことを悔やまなくちゃいいが。

 山道を30分ほど歩き続けると目の前が開けて高い丘が現れた。あー、ここだったんかー。草が良く刈り込まれた丘の上にはぽつんと教会が立っていて、そこが今晩のアルベルゲだった。A Casa Rectoral がこのアルベルゲの名前で教会付属のアルベルゲ。オスピタレロが外にいて「ちょっと待って」と言うので時間前だが入れてくれそうだ。教会前に移動すると昼間あった二人の夫人が座り込んでいた。ここに泊まるんかなと思ったが先に進むそうだ。

 すぐ何度も会っている背の高いアメリカ人も到着。190cm以上はありそうな大男だが、いつもバックパックは配送サービスを利用していて今日もポンチョだけ被って歩いている。名前を聞いたらサイラスとカッコいい名前なのでグッドネームと褒めたらお礼を言われる。この男は立派な体格だけど配送サービスを使っていると言う事は、どっか体に不調があるのかも知れないと想像する。サイラスもここには泊まらずに次を目指して行ってしまった。みんな今にも雨が降りそうな天候なのに頑張るなー。それとも予約してあるから飛込みでは泊まれないのかな?宿の予約は安心して歩けると言うメリットの他に、フレキシブルに泊まれないと言うデメリットがある。私は臨機応変に使い分けたい。

 時間前にチェックインさせてくれてありがたい。オスピタレロも何かと気を使ってくれて親切なのでマリアカードを進呈する。ここは8ユーロだった。途端に本降りの雨がザーザー降ってくる。いま歩いている巡礼は大変だなー。レセプションには配送されたバックパックがひとつ置かれているが、3時半になっても巡礼は誰もやってこないのでオスピタレロは手持ち無沙汰のようだ。

 昼夜兼用の食事には持ち歩いているスペインのインスタントラーメンを作ることにする。スープは付属しているのだが、スペインのラーメンは麺に味付けがしてないのでとても薄味で不味い。日本から持ってきた固形スープを1個足して久しぶりのラーメンの出来上がり。丼が欲しいところだが、そんな結構な物はないので皿deラーメン。持参の短い箸を使いホッとするひと時。箸で食べるというだけで何となく嬉しいから日本食が食べたくなったらまたやろう。ほかには前から持ち歩いているバーガー用パンに来る前に仕入れたサクランボにトマト。1リットルワインを8割がた飲んで少し酔った気がする。

 4時過ぎになったらやっと別の巡礼が到着しだす。昨日と一昨日のアルベルゲで一緒だった濃いー顔のスペインおば様。置かれていたバックパックはこの人のだった。その後三人の巡礼が到着してきたので少し賑わって嬉しい。スペインおばちゃんのビクトリアが昨夜刺された蚊の後がかゆいと困っているので日本から持参の軟膏を貸してあげるとすぐ効いたようでお礼を言っている。そんなにすぐ効くのかなぁ?きっと気を使ってのことだろな。私以外は全員スペイン人なので、明日のアルベルゲがないと騒いでいる。まぁスペイン人なんで私が困るよりずっとマシだろう。私のデータでは私営アルベルゲがあるが、ここと同じで周りには何もない一軒屋なのでその前に食料調達が必須になりそう。

 外は雨だし夕方になったら更に寒くなって来たのでオスピタレロが薪のオーブンに火を入れてくれた。こんなの「魔女の宅急便」で見ただけだ。薪オーブンってスペインでは現役だったのかとビックリ!更にみんなの洗濯物が掛けられた移動式物干しをオーブンの前まで運んでくれていた。荷物を切り詰めている巡礼は着替えもギリギリしか持ってない人が殆どだろう。だから洗濯ものが乾かないと言うのはとても重要。このオスピタレロはそれが分かっているのだろう。とても親切。ちなみに、公営アルベルゲでボランティアしてるオスピタレロ(ラ)は巡礼経験者でないと出来ないそうです。


北の道22へつづく