北の道23  ボナペッチョ  Sebrayo

6/6 朝は何も食べずに7時10出発。今日は27キロの行程なのでひたすら歩くだけ。さいわい天気がいい。巡礼路から50mだけ外れた所にバルがあったのでコラカオを頼んでチョコパンを食べる。チョコパン買っといて良かった。ひもじい思いをしないで済んだ。

 山の中にポツンと一軒家があって、放し飼いの犬っころが2匹で吠えかかってくる。それほど攻撃的じゃないので試しにヨシヨシと声をかけたら簡単になついて来て腹を見せている。もう一匹はそれを見て察したようで何も言わないでいる。こういうのばかりだと犬もいいのだが、殆どは狂ったように吠えるばっかりだ。

 海の側から山の中まで歩き続けてColunga の町に来たところで食料の買出し。今晩の宿がある Sebrayo まで8キロも手前だが、そこには店もバルも無いのが分かっているのでここで買うしかないのだ。スーパーで1リットルワインにパン、チョリソー、チーズ、トマトを買ってうんこら運ぶ。さすがにプラス1リットルは重たく感じる。今日はスーパーで一緒に買い物したスペイン親父と一緒に歩いた。ガイドブック持ってるので分岐点では教えてくれるし片言だけど話し相手にもなる。スペイン語を色々教えようとしてるけど上の空なので覚えない。それでも食べていると良く声をかけられるフレーズ「どうぞ召し上がれ」とか「美味しそう」に当たる言葉が「ボナペティー」なのだが、これはフランス語で、スペイン語では「ボナペッチョ」と言うらしい。Vの発音が難しくて何度も言い直しをさせられる。まぁこんなの大体で覚えてればいいんだよ。その場面で言えば通じるんだから。

 途中にあった村の教会前で休んでいたら他の巡礼たちも休みだした。韓国からやってきて、道中何度も一緒になるお姉さんは教師だと言ったな。夏休みを利用して歩きに来たらしい。一人で歩いているけど、すぐ二人組の韓国男性もやってくる。ほんとに韓国人はカミーノにいっぱいいる。三人にレモン味の飴を上げてみる。飴は自分で舐めるのは勿論だが、コミュニケーションの手段としても買っているので自分が食べるのは3分の1くらいかな。

 数キロ手前に公営のアルベルゲがあったが素通りして Sebrayo の公営アルベルゲに二人して到着。2年前に泊まったプリミティボのアルベルゲとまったく同じ作りだった。他でもこのスタイルの建物は目にしたので、スペインではポピュラーな建築スタイルらしい。時間はまだ2:10。オープンは3時だったので暫く待つことに。ここの二階踊り場からSさんが顔を出した。今日もスキップをしたらしい。一度やるとタガが外れるのかじゃんじゃんスキップを入れているようだ。私は若いころに自転車で関西を往復したことがあって、そのとき山越えで熱射病になった。幸い山肌を伝っていた水に助けられ危機を脱することができたが、予定より大幅に遅れてしまったためにタクシーに自転車を載せてスキップしたことがあった。それが40数年経った今でも汚点として心に残っているのでスキップは金輪際したくないと思っている。ま、命に関わるような事態に陥れば話は別だが、そんなことは滅多にあることではない。

 先ほどのコリアのお姉さんはここに泊まるようだが二人のコリアンおじさんは先を目指して行ってしまった。その後はパラパラと巡礼が集まりだして時間前に待っているのは7人に増えた。ここは2段ベッドが7台なので、これなら全員が下段ベッドに納まることができそうだ。オスピタレラがやって来てチェックイン開始。私が一番に受付して貰えたので一番よさそうな端っこのベッドをゲットする。Sさんも下段ベッドだが、強制Wベッド状態になったな。アルベルゲによっては部屋の都合でときどきベッド同士がぴったりくっついた強制Wベッドの所がある。上段よりましだが出来れば避けたいベッドだ。すぐ隣で大イビキでもかかれたら寝るどころではないし、誰が隣に来ても若干の緊張があるだろう。寝ている間に隣の人の足や手が飛んでくる可能性だってある。

 シャワー後に二階のキッチンで昼飯にする。同じテーブルにコリアのお姉さんがやって来たが、コーヒーしか食べ物がなさそうだ。このアルベルゲの近所は何も無いというのを知らなかったんだろう。私が食べているのと同じハンバーガーセットを勧めてみる。バーガー用パンにチョリソーとチーズを挟み待ってましたとばかりにパクパク食べだしたので腹ペコだったようだ。トマトも美味いよ。これ一週一善に入るかな?

 お姉さんに日記帳に名前を書いてもらったら Hyewon Kim と書いてくれた。ヘイワンと読むらしい。私は名前を教えてもらっても速攻で忘れてしまうので、チャンスがあるときは書いてもらっている。自分の名前を誰かに呼んでもらえると嬉しいので、自分も人の名前を呼べるようにしているが中々に難しい。

 アルベルゲ前に移動販売車がやって来た。近くに何もないアルベルゲでは時折こういうことがあるが、その情報は持ってないので当てにする訳には行かない。食べる物がないのは辛いので重くても自分で食料を運ぶしかない。トラックの中を覗き込んで缶ビールと果物とコーラで2.5ユーロ。移動販売だけど特にぼったくるようでもなさそうなので良心的販売のようだ。でも1缶が1ユーロなのでやっぱりスーパーよりかは高めだが許容範囲だ。

 明日泊まろうとしているアマンディのアルベルゲに予約のメールを入れたら、「勿論あなたのベッドを用意しています。また明日」と嬉しい返事が来た。アマンディは3年前に泊まって家族とも親しくなったアルベルゲでフェイスブックでも何度かやり取りしたことがある。なのでスペイン来る前から楽しみにしていた。ここからアマンディまではたったの8キロ。明日は骨休めの一日になるだろう。

 コミージャで同じ部屋だった迫力抜群のスロバキアからやって来たドミニカ・子持ちのおばちゃんに「アマンディに明日の予約をした」と言ったら、ドミニカも予約したいと言い出して、今日一緒に歩いたスーパーマリオ髭のスペインおじさんルイスに頼んで電話予約をしていた。ルイスも一緒に予約したらしい。これで明日は三人ともショートコースに決定だ。とても気楽。


北の道24へつづく