北の道28  アルベルゲは元校舎  Soto de Luina

6/11 Muros de Nalon の私営アルベルゲを7:15に出発する。ずっと山の中を上ったり下ったり上ったり下ったりを繰り返す。下ってもどうせ上るんだと思っているから下りに差し掛かってもちっとも嬉しくない。むしろ、折角貯めた貯金を強制的に下ろさなくてはならない気分だ。一日の半分登って半分降りる方がよっぽど有難い。

 村はずれの石垣に座ってチョコパンの朝飯を食べていたら、まずイタリアのパウロが一人で通り過ぎ、次にドイツとスペイン男が女の子二人を引き連れて通り過ぎて行った。やっぱりパウロってちょっと違うんだな。男らしいと言うか武士みたい。それに引き替えスケベなイタリア男みたいな顔したドイツのマイケルは老け顔でにやけてて気持ち悪い。もしかしてパウロってこの連中と離れたいと思ってもタイミングが掴めず離れられないのかな?

 山の中ばかり歩き続けていたけど、一瞬だけ海岸が見える。海岸に出たのは3日振りかな。奇麗な景色を見られると北の道にやって来た甲斐を感じる。その先では谷底みたいなビーチに下りてさっきの数人が遊んでいるのが見下ろせた。わざわざ巡礼路を外れて良く遊ぶな。どんだけ体力が余ってるんだよ。だったらスキップなんかすんな。

 山ばかりの道中からポコンと飛び出たような町にあった教会は前橋教会と良く似ている。今回は鉄の柵には鍵が掛かっていて中には入れなかったので柵の外から一枚パチリ。そこへアマンディで一緒だったイタリアの女性二人組が通りかかる。今日も白い体育帽を被っているな。それ物凄く似合わないよと教えてやりたい。余計なお世話と言われるに決まっている。更に「あんたの格好こそなに!」と言われるだろう。私は暑くなってくると昨年オウレンセで買った海パンで毎日歩いている。

 予想より早く4時間半でSoto de Luinaに到着する。15キロは平地なら3時間半で歩けるので、やっぱりプラス1時間は余計に掛かっていたのか。途中でへばらなくて良かった。

 広場のベンチでイタリアのパウロがパンをかじっている。ここ迄ほかの4人とはつるんで歩いて来なかったようだ。スーパーに行って缶ビールを2本買い、好感が持てるパウロに一本上げてみる。お礼の積もりなのか、チョコレートをひとカケラくれた。

 3年前は広場に面したバルECUでチェックインしたが、今回はそれは変更になっていてアルベルゲで直接チェックインすることになっていた。時間は大分早いが取りあえずアルベルゲへ移動。アルベルゲは元学校の校舎で広々している。だだっ広いと言うべきか。3年前はホントに何もないアルベルゲだったが、今年は自販機はあるわキッチンもそこそこ充実してるわ、外には洗濯機まで設置されていて格段に使いやすくなっていた。一番の到着なので外のテーブルに久し振りにシュラフを干してみる。パウロがやって来たので招き入れてやるが、オスピタレロがいないアルベルゲなので「いいのかな?」と躊躇している。いんだよいんだよと好きなベッドを取るように促す。

 スーパーに買い物がてらさっきの広場に行ってみる。今度はさっきは居なかった巡礼がぱらぱら休んでいるので声を掛ける。二人はアメリカの女子で、あと15キロ先まで歩くそうだ。ほかに三人いて一人がベンチに仰向けに横たわりくたばっている。あんな状態でまだ先を行くのか!大丈夫なんか!?死んじゃわないのか!?

 スーパーで冷凍チャーハン、安いワイン1リットル、カットスイカ、チョコパンを仕入れてアルベルゲのレンジで冷凍チャーハンをじっくり暖める。天気がいいので外のテーブルで食べることにする。ぱらぱらと巡礼が到着してきて、昨日の宿で一緒だった青年とかドイツのワイン飲み女とか、サンダーボルト杖の夫婦。4時過ぎてから長身のサイラスが到着してきた。私が一番乗りだったのだが、すでにバックパックが届いていて、それはやっぱりサイラスの物だった。今日のアルベルゲも知り合いが多く泊まって嬉しいが若者が殆どになった。年配者の方が面白いのだがな。

 オスピタレロが4時にやってきたのでチェックイン開始6ユーロ。と言ってもアルベルゲは開放されているので既に全員がベッドを確保している。パウロが近くにあるホテルのディナーが何時で場所はどこかと聞きに来る。私がその前に、3年前にそこで食べたよと言ってたからだろう。みんなで食べに行くらしい。ディナーは7時半からだよ。


北の道29へつづく