北の道30   アルベルゲ難民続出 Luaruca

6/13 Cadavedo のアルベルゲ。若者グループは朝早く出発して行ったが今日はルアルカ迄15.3キロのショートコースなのでゆっくり。キッチンの片づけをキッチリやってから袋ラーメンで朝飯にする。

 8時出発。今日はホテルを予約済みなので気楽。中盤まではゆるいアップダウンを繰り返し、終盤にきつい上りが現れるがホテルを予約してあるので平気。予約効果はいたる所に現れる。しかも本物のホテルだ!!まぁ料金から推測して小さいホテルなのは想像しているのでツアーなんかで泊まる豪華なホテルである筈がない。なので行ってみたらガッカリなんてこともない。一人で部屋を丸ごと占有できるだけで贅沢な気分にさせてくれる。

 朝飯が軽かったので腹が減って来た。ちょうど山の中にポツンとバルがあったのでこれ幸いと寄って行く。コラカオと卵焼きが挟まったボカディージョを注文する。外のテーブルで食べだしたら雀がやって来た。嫌に馴れ馴れしく人間を怖がっていないので、どうやらここでおこぼれに与るのが日課のようだ。物欲しそうな顔をしてこちらを見ているので試しにパンを小さく千切って投げ与えると突っつき回して食べだした。有る程度の大きさになると口ばしに加えてどっかに運んでしまった。近くに家族がいるようだ。でもまたすぐ戻って物欲しそうな顔をしているので再度与えると、また同じことを繰り返している。結局そんなことを3,4回繰り返しこちらも飽きてきた所で出発する。

 そろそろルアルカが近くなって来たかなーと思うころに町が現れたのでルアルカに着いたかなと勘違いする。そこには前にも見たことのあるマリア像のある教会があった。入り口は施錠してあるが、格子窓から奥に安置してあるマリア像が拝めるところだ。今回も格子窓からカメラを入れて撮っていたら地元の婦人から声が掛かった。この教会の関係者らしく、鍵を開けて入れてもらえる。像はマリア様じゃなくてカルメンと言う聖人だった。この小さな建物はカルメン専用の祠(と言うのかな?)で、隣の大きな聖堂に繋がっていた。いわれを色々説明してくれるがスペイン語なのでさっぱり。でも明日この教会の守護聖人カルメンのフィエスタがあることは分かった。それで隣の広場に大きな屋外施設を作っていたのか。やって来るのが明日だったらその祭りが見られたんだなーと、ちょっと残念。

 マリアカードを上げて「ソイデハポン、ソイカトリコ(日本から来ました。私はカトリックだよ)」と伝えたら「あらあら」と言う感じでカルメンのカードとミニスカプラリオ(お守りみたいな物)をプレゼントされ、またその説明をひとくさりやってくれるがさっぱり分からないから生返事だけしておく。でも意味は分からなくても有難いことを言ってるのだけは分かるので何となく嬉しい。ルアルカ迄はあと3キロだと教えてくれる。良かった、ここがルアルカかと思い込んでいた。このまま町外れに出てしまったら要らぬ心配をするところだった。

 海辺の町 Luarca 到着~。昨日と比べれば楽勝。ルアルカは谷底の港町なので町に入る時の景色がすばらしい。異国情緒がたっぷり感じられて旅行会社のパンフレットみたいだ。ここだってプロカメラマンが撮ったらクロアチアのドブロニクみたいに撮れるんじゃないのかなと思うほど(行ったことないけどパンフレットで良く見る)。坂を下りて行くと果物屋の前で大勢の巡礼が何やら集まっていたので話しかけてみる。このグループはドイツからの巡礼で全員で8人。全部同じ仲間だと誇らしげだ。みんな年配者で英語が喋れるのは一人か二人だったけど皆フレンドリー。このグループとは今後何度も道中で一緒になって仲良くなるが、大所帯なのでアルベルゲには泊まらないようだ。

 橋を渡って市内へ。今日は本物のホテルで、90日間の旅行期間でホテルと名の付くものはここだけだった。Hotels.comのポイントを使ったので約20ユーロの差分で泊まれるのもルンルン気分に拍車をかけている。ルアルカには12ユーロのアルベルゲが1軒あるだけで、他は高いオスタルになってしまう。それ考えるとこれは値打ちもん。ルアルカは分かりやすい地形なので簡単にホテルを見つけられる。Hotel La Colmena は隣がレストランだった。エントランスに入って行くとレストランから係りがやって来て受付をしてくれる。「あれ一人?」みたいな事を言われる。どうもメールで送られてきた予約確定のお知らせに「二人一部屋」と書かれていたのが気になっていたが、やっぱり二人で予約されていたのか。でもヨーロッパのホテルは一人でも二人でも部屋貸しなので料金に差はないからノーブロブレム。誰かソロの巡礼で宿の困っている人でもいれば半額で泊まらせちゃうよ。そしたら一人10ユーロと、ここのアルベルゲより安い。ま、そんな都合のいい人がいる訳なかった。

 ホテルでもオスタルでも巡礼路の施設はみなクレデンシャル用のスタンプを備えている。熊野古道とのコラボクレデンシャルを珍しがっているので説明をしたげると写真を撮らせてと言ってきた。このクレデンシャル、行く先々で説明してるので少しは熊野古道の宣伝になっている筈。しかも今回は昨年行った熊野古道館でクレデンシャルを沢山貰って来たので、そのお礼の積もりでスタンプを全部集めたら古道館にプレゼントしようと計画している。そのため毎回2冊のクレデンシャルにスタンプを貰う都合上、その説明までしているから尚更宣伝になっているだろう。自称「熊野古道広報大使」だ。

 チェックインしたけど部屋は外から出て裏のような説明なので、一旦外に出てからぐるっと裏手に回ってみるも見つからない。おっかしいなー、地図だとこの辺りなんだけど。仕方ないのでまたレセプションに行って尋ねると、説明の仕方が悪かったのか、説明を理解できてなかったのか(たぶんこっち)、レセプションから上の階がホテルと言うだけだった。部屋はバス・トイレ付だがバスタブには湯を溜めるための栓がなかったから湯に浸かることは出来なくて残念だった。滅多に泊まることがないホテルなら風呂に入れると期待していたのだが。でも、バスタブがあるので兼ねてから計画していた作戦を実行する。それはゴアテックスの合羽は汚れたままにしていると防水機能が落ちるから洗濯すべきと言う物。しばらく前にネットでこの情報を見てからチャンスを伺っていたのだ。アルベルゲにはバスタブはないしシャワールームで合羽の洗濯まで出来ないから、バス付の部屋に泊まる今が千載一遇のチャンスと言うわけだ。栓がないからお湯は張れないけど合羽をバスタブの中に広げてボディーシャンプーを溶かしたぬるま湯でせっせと汚れを落とす。優しく洗うのがコツだそうだがスポンジは無いから手で洗うほかない。ほぼ乾かしてから備え付けられているドライヤーを当てる。この熱を加えると言うのも防水機能を蘇らせるコツらしい。ネットって何でも教えてくれてとても便利。

 さて大仕事が終わったのでスーパー探しだ。外に出たら広場にスペインのアウレイリオのグループがいたので寄っていく。他に新たなメンバーが加わったが、もしかしたら昨日一緒にカルボナーラを食べた青年かも知れない。それとスペイン・アルゼンチン女子の2名でみんな若者。ここのアルベルゲがコンプリートだったので、今から14.5キロ歩いて次の公営アルベルゲを目指すって、それかなり無謀な気がするんだが。到着は5時過ぎだろう、次もコンプリートだったらどうするんだよ。でもみんな若いんだから大丈夫か、4人もいるし。アニモ(がんばれ)と言って送り出す。

 今朝、彼らは私より大分早く出発した筈だが、いつものように途中で引っかかって遊びながらやって来たんだろな。到着が遅いとこういう浮き目にあうが、それを犠牲にしても楽しみながら歩く方がいいんだろう。若者の特権かも知れない。私らシニアはまずベッドを確定しないと安心できないんだよ。

 スーパー前のベンチでパンを食べているのは昨日のアルベルゲのガレージでテント泊した若者たち。やっぱりベッドがいっぱいでアルベルゲには泊まれなかったそうだ。まだ2時半なのにフルなのか、明日は我が身だ気をつけよう。やっぱり高いオスタル等は探さずに次を目指して歩き出すそうだ。みんな逞しい。

 スーパーで買う物はいつもと同じ。でも今日はサクランボを買ってみた。日本じゃ高くて買えないがスペインの物価は安いのでサクランボも西瓜も時々買っている。ワインの飲み残しを持ち歩いているが、やっぱりビールも買う。最近の傾向としては、飲み残しのワインはペットボトルに入れて持ち歩くようになった。ビールだけじゃ口淋しい時にワインが少しあると丁度いい。クッキーひと箱は行動食用。こういうのを常備しておくと店がないバルもない宿に泊まったときに淋しい思いをしなくて済む。


北の道31へつづく