北の道33  カテドラレス海岸  Praia das Catedrais

6/16 リバデオのアルベルゲ。今日は二人のフランスおばちゃんと一緒にカテドラレス海岸見物に行く。予約しといた時間8:40になったらタクシーがやって来る。大きなRV型タクシーで8人乗れるらしい。スペイン語が話せるラッフィーが助手席に乗ってドライバーといろいろ話してくれるので楽ちん。お喋りなドライバーでずっと何か話している。途中の名所らしき所で停めてくれて近くを案内までしてくれる。ここがカテドラレス海岸と思ったが、本命のカテドラレス海岸は少し先だった。前日の話ではタクシー代は15ユーロで一人5と割り勘し易かったが20ユーロといわれる。まぁそれでも日本と比べれば格安だろう。3分の1の7ユーロを出して残りは二人にお願いする。

 カテドラレス海岸はテレビで見たことがあった。そのもの凄い景色に是非行ってみたいと憧れていたが、それと同じ景色が目の前に広がっていた。どうです、この景観。さすがスペイン3大海岸と言うだけあります。二人はさっさと裸足になって砂浜の感触を楽しみだした。欧米人ってこういうのが好きだよな。私は砂まみれになった足をきれいにするのが面倒なので靴をはいたまま歩き回る。海水が染み込んだ砂浜は締まっていて歩きやすい。

 二人が砂浜に大きく何か書き出して写真に撮っている。「ULTRAIA ウルトレイヤ」フランス語で「もっと遠くへ」とか言う意味らしく、サンチャゴ巡礼では有名な言葉だ。やたらと写真を撮りまくったり、膝までの水溜りをじゃぶじゃぶ入って行ったり楽しんでいる。あとで分かったが、この二人は何処へ行っても写真を撮りまくっていることに気がついた。日本人は誰でもやることだが欧米人にしては珍しいかもね。

 この海岸のメーンエベントが現れた。この空洞みたいな崖みたいなのが巨大なカテドラル建築で使われる飛梁(フライングバットレス))に見えることからカテドラレス海岸と言う名になったらしい。ここいらは潮が満ちると海の底になってしまい歩くことが出来ないようだが、時間を調べることなくやって来たら運良く見られたってことでいいんかな?来る前から来たかった名所にやって来られて大満足。一緒に来てくれたおばちゃんに感謝だ。それと間を取り持ってくれた凸凹の兄ちゃんにも。

※お役立ち情報
 カテドラレス海岸は夏季(多分7月から9月まで)は予約が必要です。私が行った6月はセーフ。観光案内所で予約できるらしいが特に料金は発生しません。潮の満ち引きで溺れる人が出ないように入場者を管理してるようです。もよりの駅はReinanteで海岸までは歩いて15分位です。

 一通り見終わったころに団体の観光客がうじゃうじゃ到着してくる。良かった、混む前にゆっくり見物できて。二人は砂まみれの足をパッパッと簡単に払っただけで靴を履きだした。やっぱりな、そうすると思ってたよ。団体客の行列と入れ替えに海岸を後にする。駅の方向はラッフィーが分かっているようなのでまかせる。ちゃんと事前学習してきたんだな。小さな小さな駅は無人駅だった。11:15、ほどなく電車が到着して乗り込むと車掌がやってきて料金を払うことができる。リバデオまで1.65ユーロくらいだった(あやふや)。駅からアルベルゲまでの道は二人は知らなかったが、ここは私の出番だ。何しろ昨日往復してるからね。二人は帰る途中でもそこかしこで写真を撮りまくっている。

 帰る前にお昼を食べるんだと繁華街方面へ。レストランには拘りがあるのか、あちこち物色してやっと決める。たこ、イカ、帆立貝とビールをシェアして一人16ユーロも掛かった。一回の食事代としたら今回の最長不倒距離が出てしまったよ。本当は半端なお釣りがあったのだが、ラッフィーがチップと勘違いしてお釣りは貰えなかった。そう言えばフランスってチップの文化があったんだよなと思い出す。うへっと思ったが顔には出さない。ラッフィーは安さに拘ってレストランを選んだようだが、結局メニュー(定食のこと:平均10ユーロ)より高くついた。私は店で食べる時は定食以外食べない。

 アルベルゲに戻ると既に扉は開いていて先着の巡礼が入っていた。無事にバックパックを回収して歩き出すも矢印は町の中をぐねぐねと階段を上ったり下ったり無駄な動きをしている。これ絶対におかしいルートだよなと思うが矢印を離れるのも嫌なので素直に歩いて行くと先ほど食べたレストラン前に出る。やっぱり普通に直線で来れば良かったんじゃん。このあたりで二人がアイスを食べるんだと店に入るので付き合う。

 町外れでソロの巡礼と出会った。すっごいインパクトのある男だが巡礼同士なので怖いことはない。日本の漫画「セイントセイヤ」のTシャツを着ている。そんなの日本じゃ子供しか着てないよ。途中の休憩所でまた会った時は、缶ビール片手にこの屋根のない休憩所で泊まるようなことを言っていたが冗談なのか本気なのか分からない。

 今日のアルベルゲはリバデオから7キロ歩いた山の中にある筈だけど、いい加減歩いたのにまだ出てこないのでラッフィーが心配になったようだ。タブレットを出して地図ソフトで確認する。そしたら次の角を曲ればあるのが判明。すぐそこだよと言って歩き出したら本当にそこにあったのでタブレットの株が上がった気がした。。

 3年前は雨の中、ここに立ち寄りコーヒーを一杯飲んだだけで通り越したバルで、どこにアルベルゲの施設があるのか分らないようだったが、店を出て裏に回ると立派なアルベルゲがあった。既に数人がベッドの上で寛いでいる。しかも二段じゃなくて平ベッドだ。ヨッシャーッ。シャワーも小奇麗で豪華。バルだけ見たんじゃ想像できなかったよ。周りに何もないところなので、夕飯はまた三人で一緒に食べることになった。ペリグリノ・メニュー10ユーロ。外食するときはこれが一番安くて量もあるから鉄板だ。今日はタクシー代、高い昼飯代、高い私営アルベルゲ代、夕飯代で全て計算したら47.5ユーロも使った。目標としている倍以上の出費だ。まぁ普段はやらない観光したんだから仕方ないか。47ユーロは円なら5,700円ほどだ。日本ならビジネスホテル代程度で観光から宿代飲食代まで賄えるなら呆れるほど安い筈だが経済観念が節約巡礼モードになっているので恐ろしく金を使ってしまった感になった。

 レストランを出ると夕闇迫った隣りの芝生でテントを設営している女性の3人組がいた。ワイルドだなーと声を掛ける。後で聞いたらこの三人は母子だった。アルベルゲに泊まることもあるが、基本はキャンプらしい。5回ほど一緒になって、ある時は夕方に町を後にしたのでその日もキャンプするのが分かった。とってもワイルドで明るい親子。最後にサンチャゴのアルベルゲ・メノールで再会したが、相変わらず愛想が良くて楽しい親子だった。

 このアルベルゲの裏手には空家があって、壁には大きく「Albergue de Peregrinos」と書かれているので公営アルベルゲのことだ。じゃぁ現在のこの私営アルベルゲは公営の後を引き継いだ形で今に至っているのかも知れないと想像した。公営と言っても個人がバルに併設して運営しているアルベルゲもあるので、これも有りなんだろう。公営アルベルゲは値段を安くしなくてはならない制約がある気がするので、私営にした方が儲けは大きいから経営する側からしたらこっちの方がおいしい。


北の道34へつづく